要約

  • RIPE 93でRIPE NCCのRobert Kistelekiは、ホストが手元のRaspberry PiにNCC提供のイメージを書き込み、Atlasのハードウェアプローブとして使う構想を示した。
  • RIPE NCCは供給の限られた配布用プローブを、利用者のいるネットワークや測定点の少ない地域に優先している。機器の持ち込みだけでは、その配置を決められない。

梱包箱を一つ減らせば、測定点が一つ増える。そんな単純な計算ではない。RIPE NCCが2024年に説明した配布方針では、ハードウェアプローブの申請が在庫を上回り、スポンサーの支援が発注数を左右し、配送や税関が障害になる地域もある。だからこそ、限られた機器はエンドユーザーのいるネットワークや観測の薄い場所を優先する。

10月27日のRIPE 93の測定・ツール作業部会の記録で、Robert Kistelekiは供給網の問題に触れ、次の案を示した。使っていないRaspberry Piを持つホストが、RIPE NCCの用意するイメージを書き込み、ハードウェアプローブにする。発表は構想についてであり、イメージの公開や正式な受け付け開始を告げたものではない。Atlasの第4四半期計画でも、ハードウェア向けOpenWRTのパッケージ作業は「進行中」だ。

自前の機器でAtlasを動かす道はすでにある。ソフトウェアプローブの案内は、自分のサーバーやルーター、仮想マシンへの導入と更新をホストに求める。2024年の配布方針には、ハードウェアを自作する実演へのリンクもある。今回の案で変わるのは、RIPE NCCが提供するイメージを使い、ホスト所有の機器をハードウェアプローブとして運用する道筋を整える点だ。

その道筋が開いても、観測に役立つ位置は自動では決まらない。すでにプローブが密集するネットワークにもう一台置く場合と、空白だったアクセス網で初めて動かす場合では、得られる視点が違う。ホストは自分の機器と回線を選べる。RIPE NCCには、どのネットワークを優先するか、接続が続くか、機器が移動したらどう扱うかを記録する仕事が残る。

現在の公開資料には、配布イメージ、対応機器一覧、持ち込み型ハードウェアプローブの登録手順がない。その公開が、構想から運用への切り替わりを示す。

出典:RIPE 93記録、Atlas四半期計画、RIPE NCCの配布方針、ソフトウェアプローブ案内。