Summary

  • ARIN の 2026 年 10 月 28 日の記録は、Wilkes University の元の範囲 146.94.192.0/18 のうち、下半分 146.94.192.0/19、8192 アドレスだけを RIPE NCC 地域の SERVERNET INTERNET LIMITED に移したと記す。元の登録日は 1991 年 1 月 29 日だ。
  • 上半分 146.94.224.0/19 は現在も ARIN で Wilkes University の DIRECT ALLOCATION。移った下半分は RIPE NCC で LEGACY と表示される。二つの範囲は隙間なく元の /18 を構成する。

古いアドレス資源の話では、しばしば「誰が昔から持っていたか」に注目が集まる。今回大事なのは「いま誰がどの半分を登録しているか」だ。ARIN の移転原簿にある Wilkes University の元の範囲は 146.94.192.0 から 146.94.255.255。移転したのは 146.94.223.255 までだった。原簿には各オクテットに先行ゼロが付くが、通常の表記に直せば /18 の 16384 アドレスから下半分の /19、8192 アドレスを切り出した計算になる。

残った上半分について、ARIN の RDAPは 146.94.224.0146.94.255.255 を WILKES1 として示し、登録者を Wilkes University、種類を DIRECT ALLOCATION とする。登録日は 1991 年 1 月 29 日、最終変更日は 2026 年 10 月 28 日だ。移った側については、RIPE NCC の RDAPが 146.94.192.0146.94.223.255 を示し、組織参照から SERVERNET INTERNET LIMITED を確認できる。こちらの種類は LEGACY、国コードは GB。片方を調べてもう片方まで同じ保有者だと考える余地はない。

日付にはもう一つ罠がある。ARIN の移転行には元資源の登録日時 1991-01-29T05:00:00Z と移転日時 2026-10-28T14:18:56Z がある。一方、RIPE の現行オブジェクトは 2026 年 10 月 28 日 13:56:01 UTC に登録されたと表示する。そのネットワーク名は UK-SERVERNET-19910129。文字列に 1991 年が含まれていても、RIPE オブジェクトの作成日まで 1991 年に戻るわけではない。古い資源に新しい登録記録が付いたのである。

ARIN の規則 8.4は、相互に合意し、互換性のある需要ベースの規則を持つ RIR 間で IPv4 などを移転できると定める。受領者に適用する条件は受領側の RIR が決める。RIPE の手続き文書は、域内へ入る資源について必要なデータベース更新を行い、必要なら資源オブジェクトを作成すると記す。二つの RDAP の表示をつなぐのは、この記録業務だ。

原簿に載る相手は SERVERNET INTERNET LIMITED、種類は RESOURCE_TRANSFER。価格も、Wilkes University がキャンパスで使うアドレスの棚卸しも書かれていない。売買条件や運用上の影響を語るには、当事者を明記した契約書か大学の利用記録が要る。公開資料が示すのは、移転の境界と現在の登録先である。

DIRECT ALLOCATION と LEGACY は、それぞれの RIR が現在のオブジェクトに付けたラベルだ。1991 年の出来事を二種類に塗り直すための見出しではない。むしろ数字が強い。223.255 の次が 224.0。大学の側と移転先の側は、ぴったりそこで交代する。