要約

  • 10月29日付の個人Internet-Draftは、Internet Routing RegistryのデータをRDAPで検索する6経路を提案した。SETの3クラスと経路ポリシーの項目は任意である。
  • RIPE NCCのRDAP /help 応答には、草案の拡張識別子 irr0 が載っていない。Whoisを退役させるには、サーバーごとに取得できるオブジェクトを確かめる必要がある。

出口表示には小さな但し書きが付く

RIPE 93で、ある運用者はRIRのルーティングレジストリー・オブジェクト対応を、Whoisから移るために最後に待っていた機能だと説明した。6つの経路名が草案に並んだからといって、出口が開いたわけではない。

Datatrackerは10月29日、draft-aggarwal-regext-rdap-irr-00を公開した。4人の著者にはRIPE NCCのMahesh AggarwalとARINのJasdip Singhが含まれる。提案の狙いは、Internet Routing Registry(IRR)のデータをHTTPS上の構造化JSONとしてRDAPから返し、既存の登録データと同じプロトコルで扱えるようにすることだ。

草案は6つの検索パスを挙げる。irr0_route、irr0_routeSet、irr0_autnumSet、irr0_rtrSet、irr0_peeringSet、irr0_filterSetである。routeの検索キーはプレフィックスと起源ASN。SETのメンバーは配列で表せる。autnumの応答には、import/exportポリシーを順序付きで含める案もある。マルチプロトコル形式やimport-via、export-viaも対象だ。

ただし、草案はpeering-set、rtr-set、filter-setのサポートを実装者の裁量にした。irr0_policiesも任意だ。クライアントが新しいRDAPの語彙を理解していても、サーバー側に日々のフィルターが読むオブジェクトがなければ答えは返らない。紙に描いた6つの入口は、稼働中の6サービスとは違う。

ARINの説明を読むと、その違いは単なるAPI設計ではない。ARINのIRRは公開Whois情報とは別のデータベースで、資源保有者がRPSLオブジェクトを登録し、別のIRRがネットワークの経路判断に使うために取得する。ARINはNRTM、ファイル配布、43番ポートのWhoisを提供する。自らのNRTMについて、ARINは一部を「authorized」オブジェクトと呼び、登録と契約に関する条件を説明している。移行では、文字列をJSONに入れるだけでなく、こうした運用上の手掛かりも保たなければならない。

RIPE Databaseの現行文書が列挙するRDAP型はautnum、domain、ip、entityの4つだ。実際の/help応答には複数の拡張が載る一方、irr0は見当たらない。これはRIPE NCCの現時点の応答だけを示す。それでも、提案と実装の間にある距離は測れる。

草案の位置付けも明白だ。Datatrackerは個人Internet-Draftとして掲載し、IETFの承認を受けておらず、標準化過程で正式な効力はないと記している。IESG状態はI-D Exists。次に必要なのは新しい図ではなく、動くエンドポイントの証拠だ。

JSON化だけでは移行できない

この草案は、RPSLのrouteやSETをRDAPオブジェクトに写し、安定した検索パスと順序付きのポリシー項目を定義する。データ源ごとに異なる解析器を維持する負担を減らせる可能性がある。一方で、変換後も意味を守る必要がある。経路ポリシーの文字列は宣言であり、BGPで観測した経路ではない。RDAPのroute応答だけで、その経路がネットワークから広告され、受け入れられているとは判断できない。

任意項目がある以上、各サーバーが実装範囲を決める。草案は、対応サーバーにrdapConformanceとヘルプ応答でirr0を示すよう求める。クライアントはその表示を確認できるが、実際に使うクラスを一つずつ検査する必要がある。プライバシー節も、レジストリー内の個人に影響する検索があり得ると述べる。共通JSON形式は、公開すべき連絡先データまで決めてはくれない。

移行記録には、ヘルプがirr0を広告するか、どのクラスが応答するか、メンバー配列・ポリシーの順序・登録と変更イベントが保たれるか、非対応クラスに何が返るかを残したい。既存のRPSLレコードとミラーフィードを基準にすれば差を再現できる。

この草案には、各RIRサーバーの実装状況を並べた表がない。参加サービスへの実クエリーと、RPSL出力とのフィールド比較を添えた版管理付きの表が出れば、現時点の評価は変わる。

RIPE 93で運用者が仲間に求めたのは、毎日使うオブジェクトを確かめることだった。そこから始めればいい。「RDAPがある」は通信方式への回答だ。Whoisの出口を開くのは、必要なレコードが崩れずに届くことだ。

出典