要約

  • セーシェル最高裁は2021年11月12日、Cloud Innovation Ltdの会員資格の終了・停止・取消し、2022年更新手続の拒否、会員資格を通じて割り当てまたは取得した番号資源の利用への干渉を暫定的に禁じたが、約11か月半後の2022年10月28日、その差止命令を直ちに無効とした。
  • Dodin判事が判断したのは、セーシェルが適切な法廷地となるための基準を満たさないという点である。契約の本案、会員資格終了の最終的な有効性、番号資源への権利、ルーティング、損害賠償について勝敗を決めた判決ではない。
  • 同じ当事者間のモーリシャスでの訴訟、モーリシャス法を準拠法とする契約7(a)条、セーシェルとの限定的な結び付き、AFRINICの所在地と活動地、そして命令を実効的に執行する場所が法廷地分析の中心となった。
  • Cloud Innovationには、セーシェル法人として現地との結び付きを主張し、モーリシャスの先行手続では契約本案が最終判断されていないとして、回復が難しくなり得る変更を防ぐ暫定保護を求める筋の通った説明があった。それでも裁判所は、契約・当事者・事業・執行の重心がモーリシャスを指すと判断した。
  • 司法上の救済を決めるのは主権国家の裁判所である。AFRINICは重要な民間の技術台帳管理者、会員向けサービス提供者、調整者ではあるが、主権、立法権、規制権、警察権、訴追権、処罰権、没収権、公法上の裁判権を持たない。

十一か月半で反転した暫定保護

2021年11月12日、セーシェル最高裁は係争中の暫定措置として、African Network Information Centre Ltd(AFRINIC)がCloud Innovation LtdのResource Membershipを終了、停止または取り消すこと、2022年の更新処理を拒むこと、そして会員資格を通じて割り当てられ、または取得されたインターネット番号資源の利用に干渉することを差し止めた。実務上の争点は抽象的ではない。会員関係と、それに結び付く番号資源の記録・利用を、紛争の間どの状態に置くかという問題だった。

しかし2022年10月28日、同じ最高裁のDodin判事は、セーシェルがこの紛争の適切な法廷地となるための基準を満たしていないと判断した。その帰結として、前年11月の暫定差止命令は即時に無効とされた。判決の表紙は事件をCloud Innovation Ltd vs African Network Info. Ltd(CS103/2021)[2022] SCSC 971と記す。他方、AFRINICの事件索引は関連案件をMA 239/2021と表示する。両番号は資料上の役割が異なるため、同じものとして置換せず併記する必要がある。

この反転を、AFRINICが契約本案で勝ったと読むのは誤りである。裁判所が決めたのは「どこで救済を求めるべきか」であって、「契約上どちらが正しいか」ではない。会員資格終了の最終的な有効性、番号資源の所有または利用資格、リースやルーティングの適法性、AFRINICの方針の妥当性、損害の有無も判断されていない。さらに裁判所は、既判力の争点を検討する必要がないと明言した。消えたのは暫定命令であり、未決の本案が判決によって一方当事者に帰属したわけではない。

法廷地は住所欄だけでは決まらない

Cloud Innovationはセーシェルの国際事業会社であり、AFRINICはモーリシャスで設立され、地域インターネットレジストリのサービスを提供する会社である。原告がセーシェル法人であることは接点になる。しかし国境をまたぐ契約紛争で適切な法廷地を定めるには、法人登録地だけでなく、請求と被告の結び付き、証人、適用法、複数手続と判断衝突の危険、当事者間の不公平、命令の執行可能性、公正で効率的な司法運営などを総合して見る必要があると裁判所は説明した。

裁判所が認定した重心はモーリシャス側にあった。同じ当事者がモーリシャスで訴訟をしていたことに争いはなく、Cloud Innovationが先にモーリシャスの裁判所を利用した事実は、少なくとも当初は同国を便宜な法廷地として受け入れていたことを示す材料とされた。ここで重要なのは、モーリシャスで何が最終決着したかを本稿が推測することではない。セーシェル裁判所が、自らの法廷地分析に必要な接続要素として先行訴訟の存在を扱った、という限定された点である。

契約7(a)条も重かった。判決が引用した条項は、各当事者がそれぞれ事業を行う法域の法令を守ることを求める一方、契約自体にはモーリシャス共和国法が適用されると定めていた。前半はCloud Innovationがセーシェルとの接点を主張する余地を与えるが、後半は契約解釈の中心をモーリシャス法に置く。裁判所は契約がモーリシャス法に準拠すると認定し、この契約から生じる紛争はモーリシャス法の下で解決される可能性の方が高いとした。

さらに、セーシェルとの明白な結び付きはCloud Innovationの法人登録であり、事業はそれ以外の場所で行われているように見えたと裁判所は述べた。この事情の下では事務所の所在だけでは足りない。AFRINICにはセーシェルでの業務活動がなく、有効な差止命令はモーリシャスで執行されなければならないとも判断した。命令を発する裁判所、命令に従う主体、実際に履行を確保する場所が分離しているとき、救済は文言だけで完結しない。法廷地の選択は、命令が国境を越えて現実に働くかという問題に直結する。