- ICANN の AFRINIC 紛争への介入は、それが開放性を守ろうとしているのか、それともモーリシャス憲法に違反して統制を目指しているのかという懸念を引き起こした。
- ICANN の立場は、司法の独立性とマルチステークホルダーモデルを損なうリスクがある。
批判を浴びる ICANN
ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、ドメイン名と IP アドレスの世界的な調整を管理しており、アフリカネットワーク情報センター(AFRINIC)の危機への関与について批判されている。ICANN は長年、開放性と透明性の擁護者を自認してきたが、今回の紛争における行動は、包括的なガバナンスを支援するというよりも、統制を図ろうとする試みと受け止められている。
2025 年 6 月の選挙が近づく中、委任状の有効性が争われて選挙全体が無効になるなど、新たな混乱が生じた。ICANN がモーリシャス最高裁判所の任命した司法管理者に送った書簡は、激しい批判を招いた。CEO のクルティス・リンドクヴィストは、AFRINIC のガバナンスに関する正式な調査を開始すると脅し、AFRINIC がアフリカ向けのインターネットレジストリとしての地位を失う可能性を示唆した。こうした動きは、司法権を損ない、ICANN をモーリシャスの政治勢力と同調させるものと受け止められ、地域インターネット運営・政策の独立性が外部からの圧力に犠牲にされるのではないかとの懸念が広がっている。
関連記事:AFRINIC 理事会選挙はいかにして政治的戦場となったか
関連記事:AFRINIC の破綻がインターネット運営・政策に世界的な影響を与える理由
司法監督 vs. 行政権力
モーリシャスは今や憲法上の対立の中心にある。モーリシャス最高裁判所はレジストリの運営を監督する権限を繰り返し確認しており、透明な選挙の実施や不正な会員資格の是正などを含む。しかし、モーリシャス政府は大統領令を盾に AFRINIC をより厳しい監視下に置こうとしており、ICANN の立場も火に油を注いだ。
ICANN の CEO、クルティス・リンドクヴィストから公式管理者に宛てた書簡は、会員資格の問題に関する説明を求めただけでなく、調査の末に AFRINIC がアフリカの地域レジストリとしての承認を失う可能性もあると脅した。批判者にとって、これは ICANN が司法の監督を尊重するのではなく、行政権力と同調していることを意味する。
真の問題はインターネット番号ではなく、権力の分立である。ICANN が裁判所に対する行政の介入を支持するとき、それは民主主義そのものを損なう。
ICANN の介入は、マルチステークホルダーモデルへの公約からの逸脱を示す。管理者が ICANN の指示ではなく裁判所に従うなら AFRINIC が失効する可能性を示唆することで、ICANN は地域コミュニティを強化するのではなく、カリフォルニアに管理を集中させる前例を作るリスクを冒している。越権行為の非難は AFRINIC だけにとどまらない。ICANN の説明責任の構造は、理事会と幹部に不均衡な権力を与えている。しかし、AFRINIC の件でこれらの懸念がリアルタイムで明らかになった。
関連記事:AFRINIC、理事会選挙を前に有権者登録を開始
関連記事:AFRINIC 選挙:投票を遅らせる 2 度目の試みが失敗
グローバルガバナンスへの警告
この危機はアフリカを越えて影響を及ぼす。地域インターネットレジストリは、安定したグローバルシステムに貢献しつつ、地域のニーズを反映するよう設計されている。批判者たちは、AFRINIC の独立性が損なわれれば、他のレジストリも外部からの圧力にさらされる可能性があると警告する。
これはインターネットにとっての憲法上のテストケースである。裁判所の権威が政治的な同盟や国際的なロビー活動によって覆されるならば、マルチステークホルダーモデル全体の信頼性が失われる。
ICANN にとってもリスクは同様に大きい。その評判は、中立性とコミュニティ主導のガバナンスへの敬意を示せるかどうかにかかっている。法の支配よりもご都合主義や行政との連携を優先していると見なされれば、アフリカの利害関係者だけでなく、世界のインターネットコミュニティ全体からの信頼も失う危険がある。
今後の展望
ICANN にとっての問題は、アプローチを再調整するかどうかである。開放性の守護者としての役割を強化するのか、それとも中央集権的な統制の認識を強めるのか。今後数か月で、AFRINIC がコミュニティ主導の機能的なレジストリであり続けることができるのか、それともインターネット運営・政策の権力がさらに統合されるのかが決まるだろう。

