要約

  • AFRINICの2023年監査は、Joint RIR Stability Fundへの10万米ドルの約束を支払いや費用ではなく偶発債務として扱う。
  • これはNROが保有する共同口座ではない。各RIRは発動時まで約束額を自らの準備金に置く。
  • AFRINIC理事会は2022年4月6日に5万米ドルから倍増させた。賛成7、反対0、棄権1であり、全会一致ではない。
  • 2021年には支援要請が検討されたが、確認できる当時の公開記録では正式要請に至っていなかった。
  • 現在のpurported理事会とReceiverは、約束の現状、要請権限、発動履歴、技術サービスへの効果を公開すべきだ。

「基金」という名称を会計の実態から読む

AFRINICが2026年に公開した2023年財務諸表の注記21には、Joint Regional Internet Registry Stability Fundへの10万米ドルが偶発債務として載る。2022年から同額を約束しているという記載である。

これは10万米ドルをNROへ送金したという意味ではない。監査は、資金が別口座へ分離された、エスクローに置かれた、使用された、失われたとも述べていない。将来の条件が満たされたときに発生し得る義務である。

NROは制度設計時に、別法人、エスクロー、信頼関係という選択肢を検討し、最後の方式を採った。各RIRは約束額を必要になるまで自らの準備金に置き、事前送金も特定口座も求められない。支援は資金だけでなく人員などの現物でもよい。「fund」という単語だけから共同資金プールを想像してはならない。

この構造には利点がある。使われない緊急資金を別の官僚機構に移す必要がなく、実際の危機に応じて支援を組み立てられる。一方で、約束が現在も利用可能かどうかは、名称や古い一覧だけでは分からない。

5万米ドルから10万米ドルへ

最初の約束は2015年6月24日のオンライン決定である。2016年5月11日の訂正版理事会議事録は、5万米ドルの約束を全会一致で追認した。資金は必要になるまで、必要にならない可能性も含めて、各RIRの準備金に残し、AFRINICは2015年7月1日から偶発債務として表示するとした。

2022年4月6日、決議202204.689が約束額を10万米ドルへ引き上げた。議事録ではAAが提案しAOが支持、記載された7人が賛成し、反対はなく、Benjamin Eshunが棄権した。可決ではあるが全会一致ではない。

理事会は増額に関する資料を確認したとされる。しかし今回固定した公開資料にその本文はない。したがって、そのリスク分析、支払能力の検討、発動管理の内容を推測することはできない。新しい監査が証明するのは、2023年末に倍増後の条件付き約束が計上されていたことまでである。

発動には複数の鍵が要る

影響を受けるRIRの理事会は、必要な理由と求める支援を記した正式要請を出さなければならない。例示される事態は、財務的困難、重要職員の喪失、自然災害、戦争や政治的不安定、サイバー犯罪、深刻で継続的なインフラ障害である。レジストリ運用またはポリシー策定手続と関係しない活動は原則対象外となる。

承認には具体的な予算付き行動計画と定期的な監査財務報告が必要で、NRO EC全員の同意を要する。配分後は、NRO Treasurerの調整下で全RIRのCFOが共同管理・会計処理する。実際の使用にも、拠出する全RIRのCFOによる承認が必要だ。現物支援を拠出として数える場合も全RIRの合意が要る。

つまり、約束、要請、承認、配分、使用は別々の行為である。統制規則は存在するが、規則そのものは発動やサービス維持の証拠ではない。

2021年は正式要請の手前で止まった

銀行口座への制約が問題となった2021年7月27日、当時のCEO Eddy KayihuraはStability Fundを選択肢の一つとしてNRO ECに説明した。口座凍結命令の変更申立てが失敗した場合にのみ発動するという説明で、CEO間の事前協議は非公式と記録された。

8月17日のNRO議事録でも、AFRINIC理事会はまず法的手段を検討し、その後に要請するか判断する段階だった。NROは全RIRの合意が必要だと確認した。RIPE NCC理事会は、3か月以内に適格な正式要請が届いた場合に対応できる権限をマネージング・ディレクターへ与えた。運用に関する正式な要請も対象になり得た。

それでも、ARINの2021年10月20日の公開会合は、要請はまだなく、各RIRが個別の約束を保有したままだと報告した。RIPE 83の議事録もその時点で未要請とした。RIPE NCCの2024年活動計画は、発動時の最大100万ユーロを準備金から出す一方、同年はAFRINIC向け予算を特定していない。

これらは各時点の記録である。後年にも何も起きなかったという証明にはならない。現在の発動台帳が必要な理由はそこにある。

25万米ドルの法務支援とは分ける

NROは別の経路でAFRINICを実際に支援した。2022年2月、法的代理費用として25万米ドルを承認し、2021年NRO経費報告に計上した。AFRINICの監査は後にこれをその他収益として認識した。

固定資料は、この支援をStability Fundの発動とは認定していない。AFRINIC自身の10万米ドルの約束を取り崩したものでもない。現実の法務拠出と条件付きの相互支援約束を一つにすると、存在しない資金経路を作ることになる。

出典

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