要約
- 英政府は海底データ通信の事業者だけでなく、修理船や機材を提供する企業にも国家安全保障上の指示を出せる仕組みを提案した。
- 捜査の証拠を残すため修理を遅らせ、通信を迂回させ、重要な接続を優先させることが想定される。現在は意見募集段階で、発令済みの命令ではない。
海底の断線箇所を見つけ、修理船を寄せ、ケーブルを引き上げる。通常なら次は接続作業だ。10月22日の英国政府白書は、この手順の途中に新たな判断を挟む。すぐに直せば妨害の痕跡が失われる場合、担当大臣が修理を遅らせるよう命じられる制度を設けたいという。復旧を急ぐ現場と、原因を突き止めたい当局の時計は同じ速さで進まない。
対象はケーブルの所有者に限らない。海底データ伝送システムやサービスの提供者に加え、敷設、保守、回収、修理に使う船舶や機材を供給する企業も含む。提案例には、ケーブルや陸揚げ局の調査、記録や現物の保全、修理の延期がある。通信経路を一時的に変え、影響を受けた系統を切り離し、重要サービスの接続や国全体への影響に応じて修理の順番を変えることも挙げた。これは将来の権限の使い方の例であり、実際の事故への対応記録ではない。
政府は、急を要する海底ケーブル事案で業界に行動を強制する明確な法的根拠が現状ではないと説明する。提案された発動条件は、特定の損傷や脅威が国家安全保障上の危険を生み、指示が必要かつ均衡していること。通常の契約や自主的な協力では十分な対応を確保できない場面を想定する。一般的な故障をすべて政府の指揮下に置く設計ではない。
英国につながるシステムなら、領海外を含む全区間に指示を及ぼす案も示された。海底のエネルギー設備は今回の通信向け権限の対象外だ。別途、政府が平時からケーブル容量や修理能力の情報を求める権限も提案する。危機の最中に船を探し始めては遅い、という発想である。
指示には原則として理由を付し、可能な範囲で相手方と事前協議し、見直し、議会に写しを提出する。だが安全保障や商業上の理由で公表内容を削り、受け手に守秘を求める余地もある。指示への従属を他の法的義務より原則優先させる案も含まれる。意見募集の焦点は、誰が修理を止められるかと、その理由を後から誰が検証できるかだ。
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