要約

  • RFC 3038が扱ったのは、ATMのVPI/VCIはローカルなリンクラベルで次のホップで書き換わり得る一方、隣り合うATM-LSRはLDP上で同じ仮想回線を対応付ける必要がある、という不一致だった。
  • 点対点のインバンド手順では、未確認の提案を合意と見なさない。PROPOSE、内容が一致するACK、その後のLDP REQUESTという三つのメッセージを経てから、マッピングがVCIDを運ぶ。

一つの回線に複数のローカル名

2001年1月、MPLS標準群はATMスイッチをラベルスイッチングルーターとして使う方法を整えていた。セル転送のためVPIとVCIを参照するハードウェアはすでにあったが、それらは一般に一つのリンク区間で意味を持つ値だった。スイッチは次のリンクへ転送するときにラベルを置き換えられる。したがって、ある隣接ノードが見るVPI/VCIだけでは、LDPで両者が調整する仮想回線を安定して識別できない。

RFC 3038はローカルラベルのほかにVirtual Connection Identifier(VCID)を導入した。同じVCの両端が同じ値を関連付けることが要点である。VCIDはセル転送に使うVPI/VCIを置き換えず、ATMネットワーク全体で一意なラベルを作るものでもない。隣接ATM-LSRがそれぞれのローカルな入力・出力ラベルを共通の回線識別に結び、LDPのラベル情報に含めるためのものだ。

順序を取り違えてはならない。RFC 3038はシグナリングまたは管理によってVCがすでに確立された状態から始まる。通知は回線を作るのではなく、二つの隣接ノードがそれをどう認識するかを調整する。その後にLDPの要求とマッピングが続く。VCの確立、ローカルラベル、VCIDとの対応、マッピングの配布、実際のパケット転送は別の事実であり、どれか一つからアプリケーションへの到達を推定できない。

ACKだけでは終わらなかった理由

点対点のインバンドVCでは、上流ノードがVCIDを選び、メッセージIDを付けたVCID PROPOSEを新設VC上で送る。両端はそのIDを各自のローカルラベルに対応付ける。下流は受信したVCIDとメッセージIDを含むACKを返す。上流は二つが一致するか確認し、所定のACKがなければ提案を再送する。

ACKのあとに、上流はメッセージIDを含むLDP REQUESTを送る。下流はこの要求を、上流がACKを受信した証拠として扱う。RFC 3038はPROPOSEが信頼性のない形で送られるため三メッセージが必要だと説明する。ACKを送った事実だけでは、相手が受け取ったことは分からない。REQUESTが届くまでは、下流は当該VC上でVCID PROPOSE以外のパケットを破棄する。

手順完了後、LDP MappingはLabel TLVにVCIDを含められる。これは隣接制御プレーン間の対応が成立したことを示すのであって、ユーザートラフィック、長い経路上の全スイッチの合意、アプリケーションの受信を示すものではない。

接続の種類で手順が変わる

RFC 3038はすべてのATM接続に同じ通知を要求しない。両端のVPI/VCIが等しい透過的な直結点対点リンクには通知が不要である。Virtual Pathではインバンド通知かVPID手順を使える。隣接ノードまでのVPが一つだけという限定条件では、共有VCIを使える場合もある。PVCはインバンド通知を使う。SVCでは、信号メッセージの十分大きなフィールドでVCIDを運ぶ、より小さい一時フィールドを使う、またはインバンドに切り替える選択肢が記されている。

方向性も関係する。通知を開始するのは上流側で、双方向VCには各方向の手順が必要だが、単方向なら許可された方向だけでよい。つまり「同じ回線」という関係はATMクラウド全体に自動伝播するグローバル名ではなく、該当する隣接ペアごとに整合させるものだった。

小さな信号フィールドを使う選択肢は、一時的な相関IDと永続的な対応の違いを示す。BLLIのユーザー固有領域は通知中に回線を仮識別できるが、同じ隣接相手との未完了トランザクションで値を再利用してはならない。VCID対応の成立後に初めて再利用できる。マルチポイントではBLLIは送信側で一意でも受信側で一意とは限らず、受信側は送信元ATMアドレスも必要とする。一時トークンを回収できるのは、永続的な関連付けが確定したあとだ。

VPID通知も定義され、VPIDとVCIからVCIDを作れば各VCに個別通知を行わずに済む。マルチポイント手順は将来用途として説明され、当時のLDP仕様はマルチキャストをサポートしないと明記されている。VC-mergeを行わないスイッチでは、葉を追加するとインバンド通知のため活動中LSPを一時分割する必要があり、性能やQoSに影響する可能性がある。これは規格が述べる制約であり、実ネットワークの測定結果ではない。

歴史上の境界を保つ

同月のRFC 3033はATM呼設定のセッションや資源に型付き識別子を割り当てた。これは、VC確立後に隣接LDPノードのローカルラベルを結び付けるRFC 3038のVCIDとは別の問題である。RFC 3036のFEC定義やMPLSアーキテクチャも別の層にある。「識別子」という共通語だけで一括りにすると、回線設定、パケット分類、ホップ転送、サービス配達の証拠を混同する。

RFC Editorは現在RFC 3038をProposed Standardとして掲載し、RFC 7274が更新したと記す。後者はMPLS特殊用途ラベルの割り当てと廃止、および旧来の「reserved label」という語を扱うのであって、VCIDの握手を撤回したわけではない。どちらの文書にも実装名、採用数、相互接続試験の報告はない。確認できる歴史的結論は限定的だ。ATMラベルがホップローカルになり得るなら、MPLS制御には隣接者間の共有IDが必要であり、規格は小さな明示的交換によって合意を観察可能にした。

参照資料

Heng Luの文章は分析枠組みとしてのみ明示している。LuはRFC 3038を執筆も支持もしていない。