要約

  • Alison WoodとAlicia Trotmanが担当したARIN-2024-9は、コミュニティネットワークの定義と専用のIPv6割り当て規定を番号資源ポリシーマニュアルから削除した。実施日は2025年3月4日。
  • 2017年の特例では、通常のLIRが最小/36だった時代にコミュニティネットワークが/40を選べた。2020年に一般のLIRも/40を選べるようになると、特例には追加の証明手続きだけが残った。

「小さなネットワークはこちら」と書かれた窓口に並ぶと、隣の一般窓口より書類が多い。そんな案内板がARINの規則集に残っていた。2017年には意味があった。無料または低料金で地域に接続を提供するネットワークは、通常のローカルインターネットレジストリが最小/36だった時代に、より小さいIPv6の/40を申請できた。ところが2020年の規則変更で、どのLIRも理由を問わず/40を希望できるようになった。特別扱いの利益は消え、特別扱いを受けるための手続きは残った。

ARIN職員の審査資料には、その差が具体的に書かれている。コミュニティネットワークの枠を使うには、定義に当てはまることを示す資料が必要で、公証済みの宣誓書などを求める可能性もあった。一方、通常の初回割り当て要件は一般に満たしやすいという。コミュニティネットワークに専用枠の使用義務もなかった。同じ/40を求めるなら、看板のないほうが実務的だった。

この古い導線を消したのが、WoodとTrotmanが進めたARIN-2024-9である。削除対象はマニュアルの第2.11節と第6.5.9節。ARINの経歴欄によると、Woodは米オレゴン州の広域ネットワークに携わる技術者で、設計、分析、導入前の検証などを担当し、ネットワークは4万人超の顧客を支える。現場では、規則の善意より申請者が実際に持参する書類のほうが重い。

2024年9月、Woodは諮問評議会で草案を推奨草案へ進める動議を出した。Trotmanが賛成し、記名投票は全会一致。翌月のARIN 54では、Woodが/36と/40の経緯を駆け足で説明した。すでに特例で/40を得た団体について問われると、その割り当ては維持されると答えた。集計中にはIPv6やTCPの冗談で会場をつないだ。賛成59、反対2。会場に101人、遠隔に59人いたが、その人数を投票数と取り違えてはいけない。

理事会は同年12月に採択し、ARINは2025年3月4日に実施した。Woodの仕事は二つの節を消すことだった。その背景には、親切な名前の制度がいつの間にか一番面倒な経路になるという、政策の寿命の問題がある。