要約
- Warren KumariはRIPE 92の閉会全体会議で、元の名前と1ビットだけ違う有効なドメインをいくつか登録し、そこへ届いたホスト名、SNI、URL、Cookieを調べたと話した。単純なタイプミスやボットのアクセスを減らす工夫もした。
- 新規TLDに同じ近接関係を禁じる規則を考え、既存の一覧を確かめたところ、すでに約60組を見つけたという。公式講演案内に記録されたのは10分間の研究報告で、規則案の提出ではない。
名前を一つ間違えたら、別の誰かが受け取る。人間の打ち間違いなら誰もが想像できる。KumariがRIPE 92で示したのは、指を動かさなくても起こる別の道だった。メモリー内のドメイン名で1ビットが変わり、それでもDNS上で有効な名前になれば、要求先はそちらへ向かう。彼は候補を計算し、一部を実際に登録してサーバーを置いた。
待っているとアクセスは来た。新しいドメインには自動スキャンが付き物だし、入力ミスも混ざる。そこでKumariは、キーボード上では離れた文字を使う候補、ソフトウェアが組み立てる長いホスト名やAPIの経路に注目し、見当違いのアクセスを除いた。発言録には手順と結果の説明があるが、個々の要求を検証できる公開データ一式はない。全部をビット反転と数え上げる話ではない。
届いたものには、JavaScriptファイルの要求が数千件、Cookieも多数あったという。ログイン用の値に見えるCookieも含まれた。Kumariは、TLSのやり取りが自分の管理する名前へ続き、Cookieが送られた例を示した。どの層でビットが変わったかによって、証明書の確認で止まる範囲は変わる。情報を受け取れること自体が、この実験の厄介な成果だった。
そこから彼は、次の新gTLD募集に備える規則を考えた。既存TLDから1ビットしか離れていない新しいTLDを許さなければよい。提案を書き始める前に現状を調べると、既存同士で約60組あった。新参者だけを取り締まっても、古くからの隣家には影響しない。規則の短さと問題の古さが、ここで噛み合わなくなった。
RIPE 92の壇上で彼は正式なICANN提案を発表しなかった。誤り訂正メモリーなら故障の一部は減らせるが、ネットに接続するすべての端末を同時に取り換えることもできない。名前を割り当てる側、接続先を検証する側、要求を運ぶ機器の側に、それぞれ別の仕事が残る。
「1ビット違いは禁止」と書くのは簡単だ。Kumariは、その文章を出す前に、既に配られた名前と実際に届いた要求を見た。良い規則を作る第一歩は、どの扉がもう開いているか数えることだった。
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