要約

  • RIPE-705は全てのインターネット番号資源にabuse-c属性を義務付け、RIPE NCCはabuse-mailbox属性を少なくとも年1回検証する。検証の対象は提出先の正しさであり、回答の有無ではない([2] RIPE-705)。
  • 政策提案2017-02は検証制度を導入すると同時に、「RIPE NCCには資源保有者の内部苦情処理手続きに干渉する任務はない」と明記した([1] 提案2017-02)。
  • 提案2019-04は回答の監視・対応・虚偽メールボックスの再検証を含む行為基盤型検証を提案したが、現行の枠組みでは強制されていない([0] 提案2019-04)。
  • RIPE-844の仲裁手続きは会員対レジストリ、会員間のSSA・登録紛争に限定され、第三者の苦情通報者に門は開かれていない([4] RIPE-844)。
  • RIPE NCC自身の案内は「事業者が回答しない場合に我々ができることは何もない」と述べている([6] RIPE NCC苦情窓口案内)。

検証制度の設計

政策提案2017-02は2018年6月1日に受諾され、2019年10月10日に実装され、RIPE-705となった([1] 提案2017-02)。同提案はLIR閉鎖・資源登録解除の哄止階梯と、それが発動されずに1,000件超の外部通報が解決された経過を記録している([1] 提案2017-02)。

提案2019-04の内容と現状

2019-04は、連絡先がメールボックスを監視し、対策を講じ、通報に回答することを検証対象とし、6か月ごとの再検証とRIPE NCCへのエスカレーション経路を規定した([0] 提案2019-04)。取得できた記録では最終結果は確認されておらず、退回か否決かを断定できない。確認されているのは、版1の条文と、現行制度に同様の行為検証が存在しないことである。

哄止はどこで発動するか

RIPE-858はLIR閉鎖と資源登録解除の手続きを定めるが、発動条件は登録情報の不備であり、第三者通報への無回答ではない([5] RIPE-858)。RIPE-844の仲裁は会員を当事者とする紛争に限られ、裁定まで12週間、敗訴側費用負担、裁定不遵守はSSA終了の事由となる([4] RIPE-844)。

事例としての含意

制度上のすべての哄止引き金は会員の登録義務に向けられている。通報者は、レジストリの報告手続きが管轄外と明言する領域に置かれる([3] RIPE NCC報告手続き)。この構造は、検証数値の推移(2024年は83,509件を検証)([9] RIPE-840年次報告)とは別に、説明責任の空白を定義している。

出典と補足