要約

  • RFC 1469 は、同じ Token Ring 物理リングで IP マルチキャストを扱う全システムに、同じハードウェアアドレス方式を使わせた。方式はインターフェースごとに設定でき、ブリッジはリング間で変換できる。
  • 共有機能アドレスは、制約された機器での受信選別である。それだけで IP マルチキャストのフレームやホストの加入を証明しない。RFC 1112 は加入状態とローカル受信フィルターを別の層に置く。

IP のグループ名と受信口は別だった

IP マルチキャストアドレスはホスト群を指す。しかし、それだけではローカルのアダプターが何を上位へ渡すべきか決められない。RFC 1112 によれば、ホストグループは動的である。ホストは加入・離脱でき、加入していないグループにも送信できる。しかも加入はインターフェース単位で管理される。これは IP 層の状態であり、単一の MAC 宛先に溶け込む事実ではない。

RFC 1469 が扱ったのは、その IP 宛先を Token Ring の宛先へ写す局面である。選択肢は三つあった。全リング・ブロードキャスト、割り当て済み Token Ring 機能アドレス、既存の IEEE IP マルチキャスト・グループアドレスである。重要なのは、同じ物理リング上でマルチキャストを支える全システムが、同じハードウェアアドレスに合意しなければならないという規則だ。そのため方式はインターフェースで設定可能であり、ブリッジは接続するリングごとに方式を変換できる。

ここで共有されるのは、ローカルな受信規約であって、グループの普遍的な正体ではない。二つのリングが異なる表現を採用しても、ブリッジが境界をまたがせられる。IP の意図が変わるわけではないし、観測した MAC 宛先だけから IP モジュール内の加入状態を再構成できるわけでもない。

希少なアドレスは意味の共有を強いた

Token Ring の機能アドレスは、リング監視、NetBIOS、ブリッジ、LAN Manager のような広く使われる機能のためにあった。RFC 1469 は、その数が31個しかないと説明する。無関係な機能が同じアドレスを共有し得た。

そこで機能アドレス方式では、すべての IP マルチキャストアドレスを一つのアドレスに写した。正規表記では 03-00-00-20-00-00、Token Ring インターフェースで一般的な非正規表記では C0-00-00-04-00-00 である。これは能力の限られたアダプターが、フレームをさらに調べるべきだと判断するための圧縮だった。一対一のグループ識別子ではない。

RFC はこの圧縮から逃げない。その機能アドレス宛てのフレームは、その事実だけでは IP マルチキャスト・フレームとはいえない。他のプロトコルにも同じアドレスが割り当てられ得るからだ。MAC 宛先は受信・検査の入口であり、ペイロードの判定書ではない。上位の解釈がなお必要である。

フィルターは加入簿ではない

RFC 1112 は、似て見える記録を分けている。IP モジュールはインターフェースごとのグループ加入を保持し、IGMP で隣接するマルチキャストルーターにその存在を知らせる。ローカルネットワーク・モジュールの役目は狭い。IP グループアドレスをローカルアドレスに対応付け、受信フィルターを更新することだ。

両者は完全に同じものではない。フィルター能力が足りなければ、ローカルモジュールは離脱要求を無視でき、要求された加入先より多くの宛先のパケットを上位へ渡してもよい。したがって、インターフェースがフレームを見たことは、対応する加入記録の証明ではない。逆に、グループへの送信は送信者の加入を証明しない。IP 宛先、MAC フィルター、加入状態、IGMP レポートは連動するが、交換可能な証拠ではない。

コントローラーが許せば RFC 1469 は IEEE 方式を勧めた。許さなければ機能アドレスを全リング・ブロードキャストより優先した。また上位の方式を扱える実装にも下位の方式への互換性を残させた。これはすべてのグループを一つにした話ではない。異なる機器能力の間で受信規約を維持した話である。

そのため、この共有宛先から人、特定の機械、聴取者数、送信権限を読むことはできない。フレームが IP マルチキャストであることも、リング外へ転送されたことも、遠方で受信され応用が動いたことも示さない。RFC 1469 が残したのは、局所的な選別規則と、その規則を超える解釈を拒む境界である。

出典