要約
- RFC 3650の名前空間は連合型だった。固有の命名機関と、その配下で固有のローカル名を組み合わせることで、Handle System内の一意性をつくる。既存のローカル名や値の結び付けは維持できた。
- Global Handle Registry(GHR)は主に命名機関とサービス情報を管理し、担当サービスを見つける手掛かりを提供する。Local Handle Service(LHS)は通常、自らの命名機関配下のHandleを解決した。
グローバルな名前は、単一の巨大な保管庫を意味しない
RFC 3650の問いは、永続識別子の書式だけではない。異なる名前空間や管理主体が、すべての資源記録を一つの運営者に委ねずに共有の名前空間へ参加できるか。設計上の答えは、名前、管理権限、サービス発見を切り分けることだった。
Handleは命名機関(prefix)とローカル名(suffix)から成る。命名機関はHandle System内で固有であり、ローカル名はその機関の下で固有でなければならない。この組み合わせにより、Handle Systemという範囲で一意になる。既存のローカル名前空間は、固有の命名機関を得て参加しつつ、既存のローカル名と値の結び付けを保てた。つまり「グローバル」とは一意性を共有する範囲であり、単一の管理下にあるデータベースではない。RFC 3650
サービス構造もこの分離に沿う。RFC 3650は最上位にGlobal Handle Registry(GHR)を置き、その下にLocal Handle Services(LHS)を配置した。命名機関のHandleにはサービス情報が含まれ、クライアントが担当する「ホーム」サービスへ接続するためのサイトやサーバー・インターフェースが示される。クライアントはまずGHRでその情報を引き、次に対象Handleを受け持つサービスへ問い合わせる。登録簿はサービス責任の案内役であって、すべてのローカル値を一か所に保存する必要はなかった。RFC 3650・RFC 3651
ここでの「ローカル」は地理的な近さではなく、名前空間と管理責任を指す。LHSはインターネット上の複数地点にサービスサイトを持ち、各サイトに複数のサーバーを置ける。複製や多地点構成は設計上の選択肢であり、特定の導入環境で可用性が測定されたことを示すものではない。
登録の階層は、指揮命令系統ではない
命名機関は木構造で登録できる。子を登録するには親が先に登録されている必要があるが、RFC 3650はその順序が管理関係を自動的に生まないと明記する。親と子の名前空間は別々のサービスに置かれ、管理権限も共有しない場合がある。木の枝だけから、子のHandleを誰が変更できるか、紛争を誰が裁くか、サービス継続を誰が保証するかは分からない。RFC 3650
また、GHRは個別Handleを扱わない純粋な索引というわけでもない。RFC 3650はGHRが任意のHandle名前空間を管理し得るとし、RFC 3651も命名機関ではないHandleを管理・解決・管理運用する場合を認めている。より正確には、GHRの特徴的な役割が命名機関Handleとサービス情報の管理であり、通常はローカルサービスが委任された名前空間を担う、ということだ。RFC 3651
Handleに結び付く値は、識別子そのものを変えずに更新できる。資源の場所や関連情報が変わっても名前を保てる仕組みだ。ただし、書式だけで永続性が保証されるわけではない。RFC 3650は永続性を管理上の注意に依存するものとしている。安定した文字列があっても、組織に記録、解決サービス、参照先を維持させることはできない。RFC 3650
識別子体系に近接していても、同じものではない
RFCはHandleを既存のインターネット命名サービスと比較するが、同一視してはいない。DNSはゾーン委任を軸に名前と解決を組み立てる。URNの仕様は場所に依存しない資源名を扱い、解決サービスの発見は別の設計課題となる。Handleは永続的な名前や解決を必要とする用途に使えるが、自動的にURNになるわけではなく、Handleの応答も資源への到達性を証明しない。RFC 1034・RFC 1737・RFC 2276・RFC 3406・RFC 8141
公開区分にも注意が要る。RFC 3650はInformationalであり、インターネット標準ではない。IESG注記によれば、IETFやIRTFの複数グループがHandle Systemを議論したものの、記載された仕組みやIETF識別子アーキテクチャ内での位置づけについてIETFの合意には至っていない。これは賛同でも否定でもなく、公開された設計提案と組織的合意の境界を示す。RFC 3650
歴史的な要点は機能の分担にある。ルートの登録簿は命名機関ごとの担当サービスを案内し、独立して管理されるサービスが各自の名前空間を保持・解決できる。だが、その案内図が役立つかは、記録、運営者、通信経路が維持されるかにかかる。RFCは境界をどう組み合わせるかを定義したのであって、世界中での解決、永続性、大規模な普及、個別資源へのアクセスを実証したのではない。
出典:RFC 3650、RFC 3651、RFC 3652、RFC 1737、RFC 2276、RFC 3406、RFC 8141、RFC 3986、RFC 1034。
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