要約
- RFC 1335は、各ホストがネットワーク内で恒久的に使うアドレスを持ち、外部との通信時にはExternal Address Sharing Service(EASS)から世界で一意な外部アドレスを一時的に得る方式を提案した。
- これは「アイデア」と位置づけた情報提供文書であり、導入報告ではない。運用者が実装したことや、IPv4枯渇を解決したことを示す証拠は確認できない。
インターネットアドレスは、機器に貼り付いた識別札のように考えられがちだ。RFC 1335は、その札が常に世界規模で一意である必要があるのかを問い直した。1990年代初頭、32ビットのアドレス空間への懸念が高まるなかで、ネットワーク内で役立つアドレスと、ネットワーク外との通信に必要な希少なアドレスを分ける案を示した。
文書は自らの位置づけを明確にしている。1992年5月付のRFC 1335は情報提供文書であり、インターネット標準を規定しないと述べ、「アイデア」の文書として議論を呼びかける。ここは重要だ。ある設計が可能だと考えられた証拠ではあるが、サービスが運用されていた証拠ではない。RFC 1335
提案の背景には、文書が説明する当時のクラス別割当てがあった。1992年4月と記された表では、16,383個のクラスBネットワークのうち7,006個が割当て済みで、成長が続けばB空間は間もなく尽きる可能性があると警告する。クラスCはネットワーク番号をはるかに多く提供する一方、各ネットワークで使えるホスト番号は254個に限られ、文書は大半のネットワークに少なすぎると判断した。これらは当時の文書が示した数値と予測であり、枯渇が実際にいつ起きたかを後から測定した値ではない。
RFC 1335は、当時検討されていた方式とも比較する。Supernettingと文書がC-sharpと呼ぶ方式はクラスCの割当てを組み替えるが、外部ルーティングの変更やインターネット全体での調整が必要になると論じた。別の方式群は32ビットのフィールドに別の意味を与え、境界で書き換えるため、ゲートウェイとルーティングに大きな変更が必要だと著者は考えた。これは文書による代替案の説明であって、各案を中立的に評価したものではない。
Dual Network Addressing(DNA)は、二つの役割を分ける。各機器は自分のネットワーク内だけで一意な内部アドレスを持ち、そのネットワークでは恒久的に使う。同時にネットワークは、世界で一意な外部アドレスを限られた数だけプールに置く。別ネットワークと通信したいホストは、そのネットワークのExternal Address Sharing Serviceに一時的な外部アドレスを要求し、利用後に返却できる。EASSはローカル利用とグローバルな到達性の間にある技術的・管理的な割当て点であり、アドレスが人、ホスト、取引を認証するという意味ではない。
方針は単に「全員で共有する」ではない。RFC 1335は三つのクラスを示す。頻繁に外部との双方向通信を必要とする機器は恒久的な外部アドレスを得られる。外部通信を禁じられた機器には与えない。それ以外は、内部から開始する通信のため一時アドレスを共有し、提案の方式では外部から呼び出せない。したがって割当ては、パケット形式だけでなく運用方針の問題でもある。
実現には、物理インターフェース一つに二つの論理IPインターフェースまたはアドレスを持てるよう、ホスト側ソフトウェアの変更が必要になる。文書はさらに、問い合わせ元に応じて内部または外部のアドレスを返す、問い合わせ元依存のDNSを提案した。DHCPがEASSの役割を担えるとも述べる。しかしこれは設計上の提案であり、DHCPがDNAを実装した証拠でも、両者が直接の系譜を持つ証拠でもない。
この提案で最も興味深い統治上の特徴は、各ネットワークが異なる時期に採用できるという主張だ。RFC 1335は、外部ルーティングアルゴリズムを変えず、採用しないネットワークにも影響せずに、段階的に導入できるとした。介入の中心を世界規模のルーティング調整から、ローカルなアドレスプール、ホストソフトウェア、ネットワーク方針へ移す考え方だ。ただし、その約束を検証できる運用者の導入記録、相互運用試験、トラフィック観測、採用件数は文書にない。
後年の文書は、実証された継承関係ではなく比較の境界を示す。RFC 1518と1519は、アドレス割当てと経路集約の標準化された戦略としてCIDRを定めた。CIDRはプレフィックスとルーティング規模を扱い、DNAの内部アドレスや一時プールとは対象が異なる。RFC 1531は後に、再利用可能なアドレス割当ても含むDHCPの構成枠組みを規定したが、EASSが実装された証明ではない。RFC 1631は境界でのネットワークアドレス変換を説明するが、DNAがNATを生んだ証拠ではなく、限定的な比較対象である。RFC 1752はIESGが受け入れたIPng勧告を記録しており、公開討議を促すRFC 1335とは機関決定という点で異なる。RFC 1287 · RFC 1518 · RFC 1519 · RFC 1531 · RFC 1631 · RFC 1752
RFC 1335は、提案と結果を区別するための明瞭な史料である。アドレス不足への対応として、世界で一意な番号を誰が、どれほどの期間、どのローカル方針の下で持つかを変える道筋を示した。グローバルなルーティング体系の拡大や再編だけが選択肢ではない。しかし、この仕組みが導入された、安全だった、相互運用できた、あるいは成功したとは文書から言えない。RFC 1335自身がセキュリティ問題を扱っていないと述べる。一時アドレスは割当ての仕組みにはなり得るが、身元、許可、到達性、アプリケーション通信完了の証明ではない。
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