要約

  • RFC 1226 は一つの AX.25 フレームを一つの IP データグラムに対応させ、HDLC フラグとゼロ挿入を省き、16 ビット CRC-CCITT の FCS を保持し、プロトコル番号 93 を用いた。
  • 始点と終点は IP データグラムが引き受けた。中に残るのは選択されたフレーム表現であり、無線リンク上の全ビットの記録ではない。
  • プロトコル 93 の観測は IP 上のバイトを示せても、電波の送出、局の本人性、再構成、配送、行動までは示さない。

境界記号を持たずに運ばれるフレーム

1991 年 5 月の RFC 1226 は、アマチュア・パケット無線のリンク層プロトコル AX.25 を IP 内に収容する実験的な方式を記した短い文書である。RFC Editor の記録では現在 Legacy Stream に置かれ、Datatracker は IETF の承認も標準化過程上の正式な地位もないと明記する。方式の記述は、普及や実装の証拠ではない。

基本単位は「一フレーム、一データグラム」だった。ただし、HDLC の回線上に現れる全ビットを写し取るわけではない。フラグは直列伝送でフレームの始まりと終わりを示し、ゼロ挿入はデータ中に同じパターンが偶然現れるのを防ぐ。IP データグラムには長さと境界があるため、RFC 1226 はその二つを載せない。

一方、通常は HDLC 送信ハードウェアが生成する 16 ビット CRC-CCITT のフレーム検査系列は含める。それ以外は AX.25 フレームを変更しない、と文書は述べる。ここでの「変更しない」は、二つの要素を明示的に外した後に成り立つ限定表現である。

したがって、IP キャプチャが示すのは変換後の対象だ。削られたフラグも、挿入されていたゼロの位置も復元できない。アンテナが電波を出したこと、受信機が信号を捉えたこと、モデムがフレームを受理したこと、特定の装置が FCS を作ったことも、このデータグラムだけでは分からない。

検査系列は来歴証明書ではない

FCS がハードウェア由来と書かれているため、物理リンクの痕跡に見える。しかしトンネル内では、それは保持された値である。受信済みフレームからコピーした可能性も、送信前にソフトウェアで計算した可能性も、別の入力から与えられた可能性もある。RFC 1226 は値の運搬を定めるだけで、生成者を認証しない。

整合する FCS が答えられるのは、定められたビット列との限定的な比較である。無線従事者の身元、局の権限、内容の真実性、受け手の処理結果は別問題だ。端点の信頼、無線側の記録、復号・再構成・引き渡しのログが必要になる。

RFC 1226 はセキュリティを論じていない。プロトコル番号もその代わりにはならない。IANA の Protocol Numbers レジストリには現在も 93 が AX.25 Frames として登録され、IPv4 の Protocol フィールドは次の階層を識別すると説明される。番号は処理先を分けるためのものだ。署名でも許可証でも受領証でもない。

入口で一つでも、経路では分かれ得る

RFC 1226 は通常の AX.25 フレームが 330 オクテットを超えないと見込み、その場合は IP 断片化を不要とした。同時に、より大きなフレームの実験では標準の断片化と再構成が必要になり得るとした。

RFC 791 では、通過するネットワークの許容サイズに合わせてデータグラムが断片化され、宛先で再構成される。RFC 1122 はホストに再構成対応を求める。よって、カプセル化地点の一データグラムが、途中の観測点では複数片になり、欠落によって宛先では完成しないことがある。

構成、送出、断片化、各断片の到着、再構成、デカプセル化、上位への引き渡し、解釈、行動を一つに畳んではならない。「一フレーム、一データグラム」は最初の構成規則にすぎない。

層ごとの記録を混ぜない

HDLC は直列リンクの区切りを担い、カプセル化装置はそれを外して内側の表現を作る。IPv4 は分類、配送、必要なら断片化を担う。宛先ホストが再構成し、さらに上の処理が AX.25 表現を受け取る。各段階が観測できる事実は異なる。

この分担こそ RFC 1226 の歴史的な面白さである。忠実な表現は、物理的出来事の完全な写しではない。例外、観測地点、層を残して初めて、トンネルのパケットを無線現場の証明に取り違えずに済む。

出典