Summary

  • RIPE 90の公式議事録には、Maynard Kochらの調査で1回のICMP Echo要求が25万通超の応答を生んだ事例が残る。
  • KochのNANOG 98資料は、未使用のIPv6空間をデフォルト経路へ流す設定と上流の集約経路がループを作り、NULL経路がその往復を断つ仕組みを説明する。

1通を送って25万通超が返る。数字だけなら攻撃装置の話に見えるが、出発点は使っていないIPv6アドレスへの経路だ。RIPE 90の公式議事録に残るこの観測を、Maynard Kochは2026年10月20日の NANOG 98講演で運用者の設定問題へ引き戻した。

事業者から大きなIPv6ブロックを受け取った顧客が、その一部だけを使う。未使用部分にパケットが来ても、それを捨てる経路がなければ顧客のルーターはデフォルト経路で上流へ送る。上流は集約経路に従って同じ顧客へ戻す。パケットはホップ制限が尽きるまで往復する。そこへパケット複製の不具合が重なると、ICMP Time Exceededの応答も膨らむ。本人の原スライドはこの連鎖を図解している。

研究チームの原計測サイトはASごとの確認手段を公開する。11月3日の画面では、ループを起こす/64が約4億1300万、増幅を起こす/64が約77万9000、影響を受けるASはそれぞれ約6500と約1500と表示された。これはその日のチームの測定画面の概数である。自社にとって重要なのは、世界の合計よりも、未使用部分への転送が隣接ネットワークとの間で往復していないかだ。

資料にある確認方法は小さい。未使用サブネットへ制限したpingを1回送り、パケットキャプチャでTime Exceededを数える。単発の応答ならループの兆候、連続した応答なら複製も疑う。対策は未使用部分へNULL経路を置き、デフォルト経路へ流さずその場で止めること。KochのARIN地域別図では、測定されたループと影響ルーターの90%超が米国内にあった。これは図の対象における分布である。

出典:NANOG 98講演 · 発表者の原資料 · 研究チームの原計測 · RIPE 90公式議事録。