要約

  • Draft Policy ARIN-2026-3は「審議中」で、条文はNRPM 6.4.1の削除だけを提案している。RSAを改定する文言や代替条項はない。
  • 現行NRPM、RSA、過去の契約版は同じ言い回しではない。ARINは新しいRSAを公開しても既存組織に更新を義務付けないとしているため、「契約に置く」だけではどの版が対象か決まらない。

まず契約の版を確認する

2022年、ARINはACSP Suggestion 2022.18への対応として、当時のRSA/LRSA第7節を改めた。旧見出しは「No Property Rights」だったが、更新版では「Acknowledged Rights To Included Number Resources」に変わり、複数の表明事項が削られた。ARINの説明は、番号資源が自由に保有される財産ではないという立場は変わらず、発行時に生じる契約上の権利の束だというものだった。

現在公開されているRSAは14.0版(2025年8月15日)。第2(b)節は、ARINのデータベース上の排他的な登録者としての権利、対象資源を同データベース内で使用する権利、政策に従って登録を移転する権利を挙げる。第7節は、保有者が明示的な契約上の権利を得ると記す。2010年のアーカイブ版Legacy RSAには、これとは異なる明示的な「No Property Rights」条項が残る。

現行FAQは、新しい契約版が公開されても既存組織は更新を求められないと説明する。ただし、公開資料はどの版の契約が何件使われているかを示していない。この制約を越えて「現在の保有者は全員同じ条文に拘束されている」とは言えない。いま確認できるのは、公開された契約文面に差があり、版の更新が一律ではないということだ。

削除される節の射程

ARIN-2026-3の政策記述は「6.4.1 Address Space Not to be Considered Property」を退役させるという一文だ。現行の第6.4.1節は、アドレス空間を自由保有財産と考えることは文書の目標に反すると述べた後、グローバルに一意なIPv6ユニキャスト空間は所有ではなく利用のために割り当て・付与されると記している。これはIPv6政策原則の中に置かれている。

一方、問題説明はIPv6の直接割り当てに関する財産権の表現を取り上げ、RSAを参照先とすべきだという。ここには範囲の整理が必要だ。現在の節を構成する二つの文は同じ対象を同じ精度で述べていない。提案がどちらを問題視し、どの契約文言に引き継がせたいのかを区別しなければ、単なる節の削除が変更の対象を見えにくくする。

NRPM第2.8節は、政策に基づいて発行される番号資源がARINと保有者の契約の対象であると説明し、過去・将来のあらゆる形式をRSAと呼ぶ。手引きと契約はすでに同じサービス条件の中で接続されている。だからこそ、片方の文言を消すだけで、もう片方に同じ意味が自動的に書き込まれるわけではない。

変更のルールも文書ごとに違う

現行RSAの第1(c)節は、NRPMなどの公開政策をService Termsに含め、両文書に矛盾がある場合はその範囲でRSAが優先するとする。さらに第1(d)節は、政策について通知またはウェブ公開の早い時点で変更が有効になると記す。第1(e)節は契約自体を変える別の道筋を定め、特定の法改正に関するBoardの判断、またはBoardの勧告と会員投票による批准、そして少なくとも90日前の書面通知を要件としている。

この記述だけから、6.4.1の将来版がどの経路に乗るか、特定の保有者の契約が何を含むか、法律上の帰結は決められない。ただ、文書の置き場所は編集上の選択にとどまらない。条文をどちらに置くかで、公開された内容を将来どう変えるのかという記録も変わる。

10月13日時点でARIN-2026-3は審議中だ。ARIN 58の資料は、この政策を10月22日の会合で取り上げる予定としている。採択も実装も、まだ報告できる段階ではない。現時点で言えるのは、理由書は移転先を挙げたが、検証可能な受け皿の文言を提案本文に示していないということだ。

出典