要約

  • APNIC Labsの無効経路フィルタリング結果は34.42%。対象は7月10日までの7日間で、TATOLIが報じた海底ケーブルの商用開始日である7月28日より前だ。
  • 10月のIPv6能力は約9%と推定されるが、これは別の指標である。いずれの数値も、ケーブルが何を変えたかは示さない。

APNICの東ティモール国別プロファイルには二つの数値が掲載されているが、背後にある時間軸は異なる。経路起源検証の観測期間は7月10日までの7日間だ。TATOLIによると、東ティモール南部海底ケーブル(Timor-Leste South Submarine Cable、TLSSC)は7月28日に商用運用を開始した。したがって7月の測定は商用サービス開始前の基準値であり、開通後の検証ではない。

APNIC Labsは、対象期間の東ティモールにおける無効経路フィルタリング結果を34.42%としている。比較値は東南アジアが14.46%、世界が26.69%だ。同じプロファイルでは、有効なROAが経路広告済みのアドレス空間のおよそ60%をカバーするとされる。これはルーティング安全性の別の層を示す。ROAの公開、RPKI上で無効と判定される経路、ネットワークによるその経路の実際のフィルタリングは関連するが、同じ件数ではない。回避された障害の数や、設定を変更した事業者もこの数字からは分からない。

同プロファイルは10月のIPv6能力を約9%、東南アジアを36.5%と報告する。APNIC LabsのIPv6測定は、分散したテストを通じてブラウザーがIPv6でコンテンツを取得できるかを調べ、国別の推定に重み付けする。利用者数の国勢調査でも、IPv6を導入したネットワークの数でも、通信品質の評価でもない。時期も手法も7月のROV測定とは違う。両方の割合を一つの「準備度」にまとめれば、その違いは消えてしまう。

ケーブルの日付が示すのは時系列であり、因果関係ではない。商用サービスの開始は、すべての事業者、島の住民、顧客がその回線を使うことを意味しない。引用したプロファイルも、どちらの結果もTLSSCの効果だとは述べていない。変化を調べるには、明確なサービス開始日を境に、同じ定義と比較可能な観測期間を設け、標本、重み付け、測定対象を開示する必要がある。国別プロファイルは、限界も見える形で使えば基準値として役立つ。

出典:APNICの東ティモール概況;TATOLIの商用運用開始報道;APNIC LabsのIPv6測定方法;APNIC LabsのRPKI・ROV測定方法。;APNIC LabsのIPv6測定の背景;APNIC Labsの測定系列