要約
- 2026年2月から、臨時割当の料金は対象資源の年会費の25%を3か月ごとに課金し、最長期間は6か月となった。
- 期限前に返却された資源は通常の隔離期間を経ず、直ちに次の臨時割当に回せる。ただし、公開されている範囲一覧は利用状況を示さない。
一時的なネットワーク需要
IPアドレスの申請は、必要量や将来の運用計画など、長期の需要を前提に語られることが多い。APNICの臨時割当方針は、より短い用途を対象にする。会議、ワークショップ、ネットワーク運用者グループ(NOG)の会合などでは、技術実演やイベント運営のために一時的なパブリックアドレスやAS番号が必要になる場合がある。恒久的な割当が適切でない用途について、APNICは特別目的の申請も審査する。
臨時用途の期間は最長6か月だ。通常は、申請者がより大きな需要を示さない限り、IPv4は/24、IPv6は/32、AS番号は1つを超えて提供しない。APNICは用途の説明とイベント設備の準備に必要な期間を踏まえて割当期間を決める。不足する場合には理由を添えて延長を求められるが、自動延長ではない。割当が行われればAPNIC Whoisデータベースに登録され、資源が完全にルーティング可能とは限らないことも方針に明記される。こうした条件は制度の枠組みであり、希望日に資源が必ず得られる保証ではない。
料金を時間単位で切る
2026年2月7日以降、APNICの公開料金は会員・非会員とも、承認された資源に対する年会費の25%を3か月ごとに課す。最長6か月で、会員のメンバーシップ階層には算入されない。金額は承認された資源量と適用される料金基準に左右される。APNICの通常の年会費は基本料金と保有アドレスのビット数に応じた係数から算定されるため、すべての臨時申請に共通する固定料金は示されていない。
2026年3月のAPNIC年次総会では、APNIC 60で寄せられた意見を受けた変更として説明された。それ以前の設定は6か月で年会費の50%。改定後は3か月ごとに25%である。2期間なら6か月で合計50%となるため、6か月利用時の総額が下がったとは資料だけでは言えない。変わったのは価格を示す期間の刻み方だ。3か月に満たない実利用が日割りになるかどうかは公開資料に記載がなく、推測できない。
返却が次の利用開始日を左右する
利用者は終了日より前に資源をAPNICへ返却しなければならない。返却後は通常の返却資源に適用される隔離手順の対象外となり、次の臨時割当に直ちに利用できる。ひとつのイベントの終了が、次の申請者の開始候補につながる仕組みだ。早期返却は共有プールの運用上の意味を持つが、最初の利用者への返金は定められておらず、次の申請者が待っている証拠でもない。
これは再利用の実績ではなく、制度上の設計である。希望期間に資源がなければAPNICは申請を断ることができる。割当先はAPNICアカウントの保有者に限られ、アカウントを持たない団体は既存の保有者を指名するか、Associateメンバーになる方法がある。商業目的の利用は禁止され、非営利のネットワーク運用者グループ(NOG)の会議は非商業的な用途の例とされる。利用者と目的はこの条件で絞られる。
範囲一覧だけでは空き状況は分からない
APNICの資源範囲ページは、臨時割当用としてIPv4の163.61.168.0/21、IPv6の240C:2000::/29、ASNの153624–153631を掲げる。/21にはCIDR計算で2,048個のIPv4アドレスが含まれるが、同時に/24を8件割り当てられることや、特定日に空いている量を意味しない。ページが示すのは用途別に確保された範囲であり、現在の利用量、申請件数、承認、返却、待ち時間、再割当の実績ではない。確保済みの範囲と、ある日に利用可能な資源は別の指標だ。
確認できるのは、APNICが3か月単位の料金と、返却された臨時資源を通常の隔離から外すルールを組み合わせたことまでだ。実際の再割当までの時間、期限前返却の頻度、容量不足による拒否件数は分からない。測定には、範囲一覧ではなく日付のあるライフサイクル記録が必要になる。
出典:APNICインターネット番号資源方針 APNIC-127 v015、臨時割当の料金、APNIC年次総会での料金改定説明、APNICの資源範囲一覧、prop-156の経緯。
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