要約

  • 41%は、観測対象の各時間帯で首位だったASNに帰属する照会数を合算した比率だ。同じASNが期間全体の照会の41%を発生させたという意味ではない。
  • 「1年」として要求された窓には、2026年6月30日以降の1,914時間分しかない。データから利用者、顧客、組織、目的、不正利用を特定することもできない。

2026年9月20日、APNICのポリシー提案者Jonathan Brewerは、RDAP照会の41%を一つのASNが占め、上位10 ASNで81.5%になるとPolicy SIGメーリングリストに記した。この数字は、APNICのディレクトリーサービスに関する利用条件をめぐる議論に加わった。「一つのASN」という部分が最も重要だ。期間を通じて同一のネットワーク識別子がその比率を占めたように聞こえるが、公開された集中度系列はその命題を測っていない。

系列を作ったダッシュボードは、各時間帯で順位の高いASNが占めるトラフィック比率を集計すると説明し、順位の構成員は時間ごとに変わり得るとも明記している。したがってRank 1の分子は、各時間帯の首位を足したものだ。10時にはASN A、11時にはASN B、正午にはASN Cが首位になるかもしれない。41%は首位という席の移動を表し、固定されたASNの期間合計ではない。

順位付けそのものに問題があるわけではない。二つの計算が答える問いが違うのだ。移動するRank 1の比率は、各時間帯で最大の送信元がどれだけのトラフィックを占めたかを示す。固定ASNの比率は、指定したorigin ASNが全期間でどれだけの照会を占めたかを示す。前者は時間別分布の上位集中、後者は識別されたネットワーク送信元の継続性を表す。一方を他方に置き換えると、計算上の分子が示していない主体帰属を負荷統計に付け加えることになる。

期間の表示も確認が要る。APIへの要求は2026年9月20日を終点とする1年間で、開始日は2025年9月20日だった。ところが最古の観測は2026年6月30日03:00 UTCである。WHOISとRDAPのそれぞれに有効な時間点が1,914件あり、51時間が除外されたとAPIは示す。有効観測は約82日分で、365日ではない。ラベルが示す要求期間と、データが実際に覆う期間は別物だ。

このAPI応答では、RDAPのRank 1に861,938,383件、サービス総数に2,101,407,717件が計上され、比率は41.017%となる。上位10の帯は80.144%だ。これは保持された時間点についてのダッシュボードの集計値である。日、週、月の要求ではRDAP Rank 1の比率はそれぞれ約29%、31%、26%となる。集中度は期間と順位規則の両方に左右されるため、どちらも示さない割合は不完全だ。

上位10の80.144%は、提案者の投稿にある81.5%より低い。ただし投稿には対応するAPI応答、正確な締切時刻、除外一覧が残されておらず、確認できた公開記録だけでは差を解明できない。どちらかを誤りと決めつけず、保存した応答と対象期間を明記するべきだ。

APNICが公開する時間別レポートを使えば、順位と識別子の境界を確かめられる。APNICによると、各レポートはUTCの半開区間1時間を対象とし、origin ASNごとに照会数を集計する。現在取得できるアーカイブをダッシュボードの1,914時刻に合わせて再計算すると、RDAPの首位には15個の異なるASNが現れた。ASN 4134は1,289時間、ASN 45102は227時間首位だった。同じ期間を固定IDで集計した比率は16.286%と24.403%である。一方、現在のアーカイブで毎時間の首位を合算すると41.1415%となる。

この再計算は照合であって、ダッシュボードの過去スナップショットを完全再現したものではない。現在のアーカイブにおけるRDAP総数はAPIと約0.55%異なる。取得した53時間分ではASN別行の合計がサービス総数を上回る一方、APIが除外したとする時間は51時間だ。取得データ上で差は確認できるが、原因は特定できていない。Rank 1比率が近いからといって件数差が解消するわけではなく、現行アーカイブからAPIを厳密に再現できるとも言えない。

この区別は、APNICの統計とprop-173が意思決定の異なる段階にあるため重要だ。実施済みとされたprop-167は、ディレクトリーサービス利用統計の公開につながった。prop-173は調査時点でPolicy SIGメーリングリスト上の提案であり、通常のWHOIS、RDAP、ウェブ検索について、版を識別できる利用条件を設けることを提案している。集中度はサービス負荷への関心を説明する材料にはなる。しかし、APNICが特定ASNによる不正利用を認定したことにはならず、提案が採択されたことも示さない。

origin ASNは経路上の帰属単位であり、人ではない。顧客にサービスを提供するネットワークに対応する可能性はあるが、集計値からは、どの顧客が照会したか、複数顧客が基盤を共有するか、誰がツールを動かしたか、目的は何かが分からない。APNICの時間別レポートには、その時間にASNごとに観測された異なる送信元IP数があるが、期間全体で重複を除いた利用者集合はない。送信元IPだけで法的主体や意図が確定することもない。

導ける結論は、非難とも否定とも異なる狭いものだ。時間別首位の比率が高いことは、照会量の分布を示す。容量、耐障害性、照会種別や制御策を調べる理由にはなり得る。しかし追加の証拠なしに、固定ASNの期間比率、特定組織の行為、不正利用、損害へ読み替えることはできない。制限や執行の判断に使うなら、計数単位、順位規則、採用した観測、除外時間、ネットワーク送信元と責任主体を結び付ける根拠を記録に示すべきだ。

出典

41.017%と80.144%は第三者APIが示す集計値である。固定ASNの比率と照合上の留保は、同じ時刻のAPNIC現行アーカイブを計算した結果だ。