要約

  • NRSは2026年6月24日、翌日に予定されたAFRINIC年次総会(AGMM)を前に、会員へ普通決議III、IV、V、VIのすべてに反対票を投じるよう求めた。さらに、異議と各投票を議事録へ記載するための定型文を示し、集計結果だけでなく、反対の理由を公式記録に残す仕組みを用意した。
  • 問題の委任契約が示す専門報酬は、Anwar Moollan SCの専門報酬を含む統一レートの1時間1,000米ドルであり、15%のVATと立替費用は別である。2人の担当者が同時に別々の1,000米ドルを請求した、したがって2,000米ドル毎時だった、という事実は資料から立証されていない。
  • 2021年8月の定足数を満たした取締役会は法律家チームを起用し、当時のCEO Eddy Mabano Kayihuraへ訴訟権限を委任した。取締役会は同年10月と2022年1月にC&A Lawの請求書も承認した。したがって「起用も支払承認も一度もなかった」という主張は記録に反する。
  • 一方、2024 SCJ 473が直接判断した権限断絶は明確である。Kayihuraが2022年11月4日にCEOを退いた後、2021年の委任は2023年3月と9月の対象手続を支えず、控訴院はBenjamin Eshunに控訴を生じさせる権限がなく、MoollanとManon Mardemootooにも当該控訴を提起・遂行する当事者適格がなかったと判断した。この判決は2021年の契約全体や全請求書を無効としたものではない。
  • 財務諸表に費用を認識し、監査し、受領し、留意し、採択し、承認することは会計報告上の行為である。それだけでは、契約、訴訟指示、請求書、支払のそれぞれに欠けていた取引時点の権限を遡って創設しない。しかも2026年AGMMの普通決議III〜VIの最終結果と署名済み議事録は、証拠の締切時点で確認されていない。

投票用紙を「権限台帳」に変える試み

NRSの6月24日付アラートが対象にしたのは、翌25日にナイロビで開催予定と通知されたAGMMである。6月3日の公式通知では、普通決議IIIからVIまでが、2022年、2023年、2024年、2025年の各年度について、監査済み財務諸表、取締役報告、監査人報告を承認する議案として掲げられていた。NRSは会員に、四つを一括して抽象的に批判するのではなく、III、IV、V、VIの一つ一つに反対票を投じるよう求めた。

この介入の設計は具体的だった。第一に四つの否決票、第二に議事録へ載せる正式な異議、第三に法律事務所の請求書と権限根拠の開示、第四に独立した法務・会計上のフォレンジック検証である。アラートそのものは裁判所の命令ではなく、決議を自動的に失効させる法的判断でもない。効力は、権限を持つ会員が実際に投票し、その投票母数と各票が正確に集計され、異議が署名済み議事録に残り、その後に開示や再検証が行われるかどうかに依存する。

したがって評価すべきは言葉の強さだけではない。誰が定型文を提出したか、何票が反対へ動いたか、会社書記が異議を読み上げ、付議し、議事録へ残したか、決議ごとの分母と賛否数が公開されたかを追う必要がある。NRSは調査し、主張し、会員を招集し、明示的な委任を受けた会員を代表することはできる。しかし、AFRINICのレジストリ、取締役会、RPKI、WHOIS/RDAP、異議申立て、訴訟、資産保全、選挙、事業継続を運営する主体ではない。6月24日の道具は会員行動と議事録であり、レジストリ運営権ではなかった。

契約の読み方――1,000米ドルは一人当たりではない

費用論争の出発点は、推測ではなく7ページの委任状でなければならない。文書は2021年10月20日付で、AFRINICの受領印は10月21日午前10時45分、KayihuraによるCEO名義の受諾署名は10月25日である。C&A Law側ではParhveena Gokhoolが署名し、準拠法はモーリシャス法とされた。対象業務にはAfri Holdings、複数のCloud Innovation手続、Logic Web、CCMへの申立てなど12件の事項が列挙されているが、これは案件リストであって、12個の別個の顧問契約や12本分の課金があったことの証明ではない。

契約は、C&A LawがSir Hamid Moollan QCのChambersに所属するAnwar Moollan SCと共同して業務を行うとし、専門報酬条項ではMoollan SCの専門報酬をC&A Lawの報酬に含める。記載されたProfessional Feesのレートは一つ、1時間1,000米ドルである。少なくとも2人のC&Aメンバーを利用可能にし、案件へ直接かつ継続的に関与させるとの人員条項はある。しかし「利用可能」「関与」は、2人が同じ時計時間について別々に請求したこと、毎時間必ず両者が課金したこと、または第二の1,000米ドル・レートが存在したことを意味しない。

したがって、立証済みの計算は限定される。立替費用を除けば、専門業務1時間は1,000米ドルに15%のVAT、すなわち150米ドルを加えた1,150米ドルである。8時間なら本体8,000米ドル、VAT 1,200米ドル、計9,200米ドル。100時間なら本体100,000米ドル、VAT 15,000米ドル、計115,000米ドルとなる。仮に2人のタイムキーパーが別々に、しかも同時に1,000米ドルずつ請求したなら、時計時間当たり本体2,000米ドル、VAT込み2,300米ドルという計算にはなる。しかし、それは契約文からは確認できない仮定であり、実績レートとして記述してはならない。

1,000米ドルの専門報酬には15% VATも立替費用も含まれない。立替費用として例示されたのは通信、旅行、駐車、複写、ファクス、クーリエ、郵便、バインダー、印刷、記録作成、専門家意見、検索、登録、調査などで、契約には金額上限が書かれていない。請求書から30日以内に報酬、立替金、費用を支払う条件や、終了時の発生済み報酬・費用・VAT、未払い時の書類・資産に対する留置の主張もある。ゆえに総額の妥当性を検証するには、時間数だけでなく、誰が、いつ、何を、どの指示で行い、VATをどう扱い、どの立替費用に領収証があるかまで必要になる。

公表された費用が示すこと、示さないこと

AFRINICの財務資料が開示する法律費用は、2021年633,807米ドル、2022年1,250,527米ドル、2023年1,133,630米ドル、2024年27,322米ドル、2025年877,929米ドルである。2022〜2025年の合計は3,289,408米ドル、2021年を加えた5年間では3,923,215米ドルになる。事務所別の開示では、C&A Lawに帰属する額が2022年1,083,750米ドル、2023年1,064,309米ドル、合計2,148,059米ドルとされる。2021年の総法律費用にC&A Lawがいくら含まれたかを示す内訳は、確認された資料にはない。2024年と2025年のC&A Law帰属額はゼロとして示され、他の法律費用がそれぞれ27,322米ドル、877,929米ドルである。

この2,148,059米ドルは、2022年と2023年の公表費用にC&A Law分として帰属された合計であり、全額が現金で支払われたとの証明ではない。費用認識には未払計上が含まれ得るし、公表値だけでは請求日、支払日、銀行取引、承認者、VATの内外、立替費用の構成、期間帰属が分からない。したがって本文で用いるべき動詞は「認識された」「開示された」「報告された」であって、裏付けのないまま「支払われた」と置き換えるべきではない。

レートを用いた換算も監査上の問いを作るためのシナリオにすぎない。2022年の1,083,750米ドルが全額、VAT抜きの専門報酬だったなら1,083.75時間に相当し、全額が15% VAT込みの専門報酬だったなら約942.39時間に相当する。2023年の1,064,309米ドルについては、それぞれ1,064.309時間、約925.49時間。2年間合計では2,148.059時間、または約1,867.88時間となる。だが、公表額にVATと立替費用がどう含まれるか不明である以上、これは復元されたタイムシートではない。

NRSが示した2022年の法律予算140,000米ドルと、報告された同年総法律費用1,250,527米ドルを比べれば、約8.9倍である。この差は、予算差異の承認、緊急性、訴訟規模、資産保全上の必要性、見積変更、資金源を説明する強い理由になる。しかし倍率だけで、超過が違法だったこと、会計処理が誤っていたこと、または特定個人が不当に利益を得たことまでは立証できない。説明責任は、刺激的な除算ではなく、予算、指示、請求、承認、支払、会計の連結で果たされる。

2021年の権限鎖は消せない

厳しい検証ほど、反対証拠を正面から扱わなければ説得力を失う。2021年8月23日、当時定足数を満たしていたAFRINIC取締役会は決議202108.630で取締役会資料のPart AとPart Bを採択した。そこではAFRINICとCloud Innovationの案件のため指名された法律家チームを起用し、継続中および潜在的な訴訟について、KayihuraがCEOとして弁護士らへ指示する広い権限を与えた。9月から10月にかけては、特定の請求書とその後の法律費用のため、予備費から85,000米ドルを配分した記録もある。これは後のC&A総額との照合ではないが、当時の取締役会が費用問題に全く触れなかったわけではないことを示す。

10月20日付の委任状をKayihuraが25日にCEOとして受諾した二日後、10月27日の取締役会はC&A Lawの請求書PRI10581の支払を承認した。金額は伏せられている。議長は、自身を相手方とする訴訟に関する費用が請求書に含まれるとして利益相反を申告し、棄権した。この処理は利益相反の外観を完全に解消したという意味ではないが、申告と棄権が記録されたことは事実である。12月27日の議事録にも法律費用請求書と、CEOが法律事務所との契約を回覧するよう求めた記録がある。

2022年1月26日には、取締役会が一部を伏せたC&A Law請求書の支払を賛成8票で承認した。同時に議長は、CEOにC&A Lawとの契約を取締役会へ共有するよう求めた。これは具体的な承認行為が存在した証拠であるとともに、契約情報がどの時点でどこまで取締役に共有されていたかという監督上の問いも残す。請求書番号や金額が全部または一部黒塗りであるため、この二回の承認を2022〜2023年の2,148,059米ドルへ取引ごとに照合することはできない。

最も強い反対論はここにある。契約は、CEOが独断で誰にも知られず締結した「野良契約」ではない。先行する定足数ある取締役会決議、CEOへの委任、署名直後と翌年初めの請求書承認がある。AFRINICは大規模な訴訟と資産保全リスクに直面し、専門性の高いSenior Counselを含む代理を必要と判断し得た。正確な財務諸表なら、会員が経営判断への批判を保留したまま採択することも論理的にはあり得る。この反対論は2021年から2022年初めの有意味な権限証拠を確立するが、その後の全ての指示、時間、費用、支払を自動的に正当化しない。

CEO退任後の権限断絶

時間の境界は2022年に変わる。AFRINICの後の統合年次報告と判決の経過によれば、組織は2022年6月以降、裁判所命令の後に取締役会の定足数を失った。さらにKayihuraは2022年11月4日にCEOでなくなり、その後はCEOが存在しなかったと2024 SCJ 473と統合報告は記す。通常の取締役会による取引能力がなく、現職CEOもいない期間の行為には、存続する有効な事前委任、裁判所命令、またはReceiverの職務範囲内の指示など、行為ごとに別の適法な根拠が必要になる。

2023年3月と9月、現職CEOがいない状態でAFRINIC名義の手続が進められた。2024年10月15日の控訴院判決2024 SCJ 473は、2021年8月23日の決議に基づきKayihuraがCEO在任中は法律家へ指示できたと認める一方、退任後には、存在しないCEOを通じてその委任を利用できないとした。Eshunには控訴を生じさせる権限がなく、MoollanとMardemootooには2023年9月の控訴を提起し出廷する当事者適格がなかった。裁判所はReceiver選任命令を回復し、取締役会選挙を加速させた。

ここで立証された欠缺は重要だが、射程は限定しなければならない。判決は、対象となった2023年3月・9月の手続に2021年委任が及ばなかったという、時期と行為を特定した判断である。2021年10月の契約を当初から無効としたのでも、2021〜2023年のあらゆる法律業務や請求書を一括して違法としたのでもない。逆に、2021年の有効な委任が存在したからといって、その効力がCEO退任後も法律家自身に付着し続けるわけでもない。代理権は役職と法人の意思決定鎖に結び付くのであり、法律家が自ら補充できるものではない。

2023年9月12日、最高裁は資産と事業価値の保全、取締役会再構成のための選挙、CEO任命を可能にすることを含む職務をOfficial Receiverへ与えた。2025年2月12日にはGowtamsingh Dabeeが後任Receiverに任命されたと、その後の公式コミュニケが記す。しかし封印資料には、Receiverが争われている過去のC&A Law請求書を一件ごとに承認した、または会計承認を訴訟指示へ変換したと明示する命令・文書がない。Receiverが何らかの権限を根拠にしたなら、命令の文言、指示日、対象案件、金額、職務との接続を開示する必要がある。

六つの会計動詞と、一つの法的空白

監査、認識、受領、留意、採択、承認は同義語ではない。費用の「認識」は一定期間の財務諸表に項目を記録する会計判断であり、銀行から現金が出た日時も、誰が支払を許可したかも、それだけでは示さない。「監査」は、記録、証拠、会計基準、適正表示を一定の範囲で検討し意見を述べる行為である。「受領」「留意」「採択」「承認」は、総会が提出された報告や財務諸表をどの手続で扱ったかを表す。どの動詞も、その文言と権限の範囲を超えて、過去の訴訟指示を発行する法律行為には自動変換されない。

2026年の特別総会(SGMM)通知は、2021年財務諸表を受領し留意する手続を提案し、その場では承認を要しないと説明した。4月14日の公式草案議事録は、2021年財務諸表を受領し、留意し、採択する決議が賛成99%、反対1%だったと記録する。ただしこれは草案であり、その議事録自体が後に承認される予定の状態だった。2021年の総法律費用633,807米ドルは開示されるが、C&A Law分の内訳は示されない。草案の99対1という結果も、個々の契約や請求書を遡及的に承認したと書かれた取引別決議ではない。

モーリシャス会社法115条は、年次総会の通常業務として、財務諸表の検討・採択または承認、監査人報告の受領、年次報告の検討を挙げる。年次総会で承認されない財務諸表は、取締役会が招集する追加の特別総会に提出される。205条は監査人の報告対象を、作業、範囲と制約、情報・記録、法令・会計への準拠、真実かつ公正な表示として定める。いずれも、財務諸表の採択が各契約を追認し、欠けた訴訟代理権を補うとは述べていない。

141条は、取締役の選任に瑕疵がある、または資格を欠く場合でも、その取締役の行為が有効であり得るとする。NRSは、これが取締役会や定足数を新たに作り、任期を延ばし、Receiverの職務を終わらせ、数年分の支出を一括追認する条文ではないと論じる。142条は取締役・会社書記の変更をRegistrarへ届け出て登録する手続を定める。しかし、登録記載は主張された変更を記録するもので、基礎となる選任の適法性を裁判所として確定するものではない。現在の2025〜2026年取締役会、その定足数、AGMM招集、普通決議III〜VIの適法性はNRSにより争われているが、封印資料にはその現争点を終局的に判断した判決はない。

まだ存在しない決着を作らない

証拠の締切である2026年8月10日12時50分(UTC+8)までに、6月25日AGMMの普通決議III〜VIについて公式の最終票数も、署名済み最終議事録も確認されていない。決議が可決されたとも否決されたとも書けない。NRSの異議が提出され、読み上げられ、付議され、記録されたかも不明である。現在の取締役会の適法性、会議の権限、投票分母についても、当事者の主張を終局判断へ格上げしてはならない。

同様に、2021〜2025年の完全な請求書台帳、タイムエントリー、担当者名、作業記述、立替費用領収証、VAT処理、銀行支払日、支払承認者は確認されていない。2021年・2022年の黒塗り承認と、後にC&A Lawへ帰属された2,148,059米ドルとの一件ごとの照合もない。Kayihura退任後について、C&A Lawの請求書や主導手続を承認する取締役会・裁判所・Receiverの文書も見つかっていない。独立機関が腐敗、犯罪的利得、詐欺、職業上の不正を認定したとの証拠もない。疑念や利益相反の外観は、判決や有罪認定ではない。

NRSの要求が正当な圧力を持つのは、この空白が集計表では埋まらないからである。ただし、正当な圧力は正確さを必要とする。統一レートを2,000米ドルと誇張しない。費用認識を現金支払と呼ばない。2021年の取締役会行為を消さない。2024年判決の射程を全契約へ膨張させない。最終結果を推測しない。この五つの制約を守って初めて、「一件ごとの権限を示せ」という要求は、政治的標語ではなく検証可能なガバナンス基準になる。