要約

  • FTCは1998年、GeoCitiesのプライバシー表示が説明した利用目的と、広告主などへの情報開示が一致しないと主張した。
  • 1999年の最終同意命令は、収集者と提供先の説明、子どもの親の同意、本人による閲覧と削除、第三者への削除要請を、サイトの実務に結び付けた。

プライバシー表示は誰の行為を説明するのか

フォームの横に「プライバシー」と書けば、情報の流れまで説明したことになるのか。GeoCitiesの事件では、答えは画面の文言だけでは出なかった。登録者には、誰がフォームを運営し、誰が情報を保管し、どの第三者が受け取るのかを知る必要があった。

FTCの訴状が取り上げたのは、Enchanted Forestという子ども向けの近隣ページに置かれたGeoKidz Clubとコンテストだった。参加する子どもはGeoCities会員となり、氏名、年齢、電子メール、個人ページのアドレス、性別を記入する。FTCは、ページ上ではGeoCitiesの活動に見える一方、実際に運営し情報を集めていたのはCommunity Leadersだと主張した。

この違いは小さな注記ではない。利用者が目にするのはGeoCitiesの町並みでも、フォームの先では別の人が記録を持つ。ホスト名とデータの管理者を同じものとして扱うと、削除を頼む相手まで間違える。

1998年8月の訴状は、GeoCitiesを40のテーマ別地区に180万人超の会員を抱えるサイトとして描いた。1998年5月18日時点で13歳未満の会員は約5万人とされた。登録フォームには必須情報のほか、学歴、収入、婚姻状況、職業、関心分野といった任意項目があった。広告主からの「特別オファー」は受け取る設定が初期状態だった。

広告はサービスの外側にあったわけではない。訴状によれば、GeoCitiesは広告枠を販売し、会員の関心や地区を使った販売促進も行っていた。争点は、登録者への説明と実際の提供先だった。FTCは、プライバシー表示が個人情報を本人の求めた特定の広告や商品に使うと説明し、任意情報は許可なしに共有しないと示していたと主張した。訴状は、GeoCitiesが情報を販売、賃貸、その他の方法で第三者に渡し、選んだ地区を手掛かりに未請求の広告を送る用途にも使わせたと述べた。

合意は判決とは違う

FTCは1998年8月13日、GeoCitiesが和解案に同意したと発表し、60日間の意見募集を始めた。GeoCitiesが認めたのは管轄に関する事実であり、合意書は法律違反や訴状の他の事実を認めるものではないと明記した。これは証拠を審理して出された判決ではなく、同意に基づく命令だった。

委員会は1999年2月5日に決定と命令を発出した。FTCは2月12日、意見募集を経て最終化したと公表し、採決は4対0だった。最終文書には、1998年の児童オンラインプライバシー保護法が認める範囲で子どもの情報を収集、利用できるという条項も入った。

最終命令は、プライバシー通知をサイトの動線に組み込んだ。GeoCitiesはトップページと情報を集める場所に、目立つ通知を置かなければならない。何を集めるのか、何に使うのか、どの第三者に渡すのか、本人がどう閲覧するのか、どう削除を求められるのか、その削除にどんな限界があるのか。通知はトップページから読めるだけでなく、入力画面からも直接たどれる形が指定された。

12歳以下の子どもの個人情報には、収集と利用の前に親の明示的な同意を得る手続きが必要だった。子どもを識別して親に連絡するための限定的な確認情報は認められたが、20日以内に同意が得られなければ、再登録を防ぐ最低限の情報を除いて削除する仕組みだった。

すでに集められた情報にも期限が付いた。CMG Information Servicesに情報が渡った12歳超の利用者には通知と削除手段を用意し、1998年5月20日以前に情報を集めた子どもについては親に別の通知を行う。親が20日以内に継続保管と開示へ明示的に同意しなければ、GeoCitiesは使用を止めて10日以内に削除する。子どものホームページと電子メール口座も対象になった。さらに、情報を受け取った第三者に連絡し、再開示をやめてコピーを削除するよう求める必要があった。

その要請を届ける相手を把握する責任もサイト側に残った。GeoCitiesは第三者とCommunity Leadersから命令の義務を理解したという書面を得る。条件を満たさない第三者との取引を止め、該当するCommunity Leaderの立場を終了する措置も命じられた。フォームを手伝った人に責任を押しつけて、ブランドを貸したサイトが退くことはできない。

FTCの記録はGeoCitiesが第三者に求めるべき内容を示すが、各社が後に本当に削除したかまでは追っていない。受領者の履行記録があればこの点を確かめられる。

削除には明確な例外もあった。システム保守、バックアップ、子どもの無断登録を防ぐこと、法的手続きのため、オフサイトのバックアップに一部情報を保持できる。GeoCitiesはその方針を通知に記載し、法執行機関や裁判所の要求を除いて第三者に開示できなかった。命令は、消える記録と残り得る記録の境界まで説明させた。

ブランドの背後にいる人を記す

FTCはこれをインターネットの最初のプライバシー事件と呼んだ。制度として残ったのは、プライバシーという看板よりも、データの受け渡しを点検できる項目だった。何を集め、なぜ使い、誰に渡し、どう確認し、どこから消すのか。通知は実際のフォームと受け手に接続された。

Orson Swindle委員は、GeoCitiesへの最終命令に賛成したうえで、その投票は同じ義務をすべての商用サイトに法律や規則で課すことへの賛成を意味しないと述べた。FTCが確定させたのはこの企業に対する同意命令であり、一般的な規則をめぐる議論は別に残った。

それでも、GeoCitiesは自社名で利用者が触れたシステムについて答える立場だった。ページは入口にすぎない。命令はフォームの裏側まで進み、情報を扱った人、受け取った人、削除の連絡を受ける人を追った。

出典