要約
- Gapの2026年度第2四半期の営業利益率は報告ベースで18.5%だったが、IEEPA関税の純回収を除く調整後では7.1%だった。差の11.4ポイントは会社の調整表と一致する。
- 売上原価を押し下げた4億1700万ドルは、約5億1200万ドルの還付見込みから一部取引先向けの約9500万ドルの約束を差し引いたものだ。四半期中の還付受取額は9500万ドルで、関連利息は500万ドルだった。
分析
18.5%という数字は、店舗やECが生み出した利益だけを示しているわけではない。過去に支払った関税を取り戻す権利についての会計判断が、商品販売の結果と同じ損益計算書に入っている。したがって、正しい問いは「どちらの利益率が本物か」ではなく、「それぞれを誰が、いつ確定させるのか」である。
8月1日までの13週間で、The Gap, Inc.の売上高は36億5100万ドル、営業利益は6億7600万ドルだった。報告営業利益率は18.5%になる。一方、会社が示した非GAAP調整では、International Emergency Economic Powers Actに基づく関税の純回収を除いた営業利益は2億5900万ドル、営業利益率は7.1%だった。4億1700万ドル、11.4ポイントの差は、外部の推計ではなく会社自身の開示である。
ただし、4億1700万ドル全額が四半期中に入金されたわけではない。GapはIEEPA関税の還付を約5億1200万ドルと見積もり、そこから特定の取引先に対する約9500万ドルの「感謝の約束」を差し引いた。実際に第2四半期に受け取った還付は9500万ドルで、利息が500万ドル。残りの還付と利息は第3四半期に見込んでいた。還付請求、利益認識、現金受取、取引先との精算は別々の工程である。
米最高裁は2月、IEEPAは大統領に関税賦課権限を与えていないと判断した。その法的変更は還付の根拠になり得るが、個々の支払いを実行するものではない。処理時期は税関・還付実務に残り、見積もりと表示の責任はGapに残る。取引先向け約束の対象、時期、条件は開示されていない。5億1200万ドルを第2四半期の現金と呼ぶ根拠はない。
回収分を外した小売事業には、派手さはなくても改善がある。調整後粗利益率は41.4%で前年同期比20ベーシスポイント上昇し、調整後商品利益率は80ベーシスポイント改善した。全ブランドで平均販売単価が上がり、在庫は22億9700万ドルと前年の22億9400万ドルからほぼ横ばいだった。価格、仕入れ、在庫の管理は、還付とは別に評価すべき成果だ。
一方、需要はブランドごとに大きく違う。全社売上高は2%減、既存店等売上高は1%減だった。Gapブランドは売上高が9%増の8億4400万ドル、既存店等売上高は10%増。Banana Republicもそれぞれ1%増、3%増だった。最大ブランドのOld Navyは売上高、既存店等売上高ともに4%減り、Athletaはいずれも12%減った。
裁判所は過去のコストの法的根拠を覆せても、来店客を戻したり、季節商品の選択を修正したりはできない。会社はOld Navyについて、婦人向け季節商品の弱さと予想外の客足鈍化を挙げ、通期の既存店等売上高見通しを横ばいから1%減へ引き下げた。その一方でGapブランドは一桁台後半から二桁台前半の増加へ引き上げた。ここで決定権を持つのは還付手続きではなく消費者である。
また、IEEPA還付は将来の関税を消さない。最高裁判断後、米政権は別の法的手段を使う方針を示し、USTRはその後、60の貿易相手からの対象輸入品に通商法301条の措置を取った。Gapは7月24日から8月末までの追加税率を約10%と置き直した。以前の十数%台後半という前提より軽く、通期で約1500万ドルの負担軽減になるという。これは旧予想との差であって、新たなIEEPA還付でも、無関税化でもない。
報告値と調整値は、互いを否定する数字ではない。18.5%は法的変更が生んだ経済価値を記録し、7.1%は現在の小売事業を比較しやすくする。Gapブランドの成長、商品利益率の改善、在庫の安定は事業を一律に弱いとみる見方への反証である。同時にOld NavyとAthletaの落ち込みは、関税回収を全ブランドの加速と読み替えることへの反証になる。
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