要約
- 英国は、通信サービスが公共サービス、重要インフラ、脆弱な立場の顧客に届き続けるかを、企業買収の公共利益審査に加えた。
- 一部の執行命令に継続義務を盛り込む権限には条件がある。介入通知が新しい考慮事項に言及し、命令時にもその事項が関連していなければならない。
電話やブロードバンドの継続を守る判断が、英国の買収ルールに入った。通信事業の統合が公共サービスや重要インフラ、脆弱な顧客に及ぼす影響を、大臣が合併審査で扱える。新しい法律の入口は、そこにある。
根拠は「Enterprise Act 2002 (Specification of Additional Section 58 Consideration) Order 2026」、SI 2026/1075だ。10月12日に制定・議会提出され、翌13日に施行された。第2条は第58条に(2EA)を加え、通信サービスの供給継続を維持して英国の経済・社会への混乱を防ぐ必要性を明記した。公共サービス、重要国家インフラ、脆弱な顧客への供給が具体例だ。適用範囲はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドに及ぶ。
この日程はTalkTalkの買収審査と重なる。10月5日、担当大臣はBT GroupによるTalkTalk事業の買収完了をめぐり、公共利益介入通知を出した。通知は従来からある公衆衛生上の緊急事態を挙げたうえで、通信継続性も第58条に加えるべきだとした。当時はまだ提案段階だった。10月13日からは法に明記された。競争・市場庁(CMA)は10月19日に報告書を担当大臣へ提出し、公開ページでは調査を継続中と表示している。
新設されたSchedule 8第20BB段落は、条件を満たす合併執行命令に具体的な継続義務を盛り込めるようにした。誰かに何かをさせることも、止めさせることもできる。使えるのはSchedule 7第5、10、11段落の命令に限られ、介入通知が第58(2EA)に触れ、命令時にもその考慮事項が関連している必要がある。第20BBはこの用途だけの権限だ。
つまり、第58(2EA)は公共利益審査で使える視点を追加し、第20BBは条件がそろった案件でその視点を命令に反映する道を設けた。どちらも通信事業者全般に常時適用される稼働率基準や障害報告制度を作ってはいない。条文は停止時間の基準値も最低サービス水準も定めていない。
競争審査と公共利益審査も別の問いだ。前者は買収が競争にどう作用するかを調べる。後者は取引が指定された公共利益に反するか、第二段階の審査に進めるべきかを大臣が判断する。CMAの報告は競争分析と判断材料を提供し、新しい継続性の考慮事項は大臣に別の法的な視点を与える。
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