要約
- EasyRoamはTata Communicationsと共同開発したAir Indiaブランドのローミングサービスだ。開始時はSIM料金が免除される一方、ローミングパックは税別241インドルピーからで、料金は渡航先とプランによって変わる。
- 専用の販売ページと開通手順は確認できるが、購入率、決済、eKYCの完了、開通、再購入や、各社が負うサービス責任は公表されていない。
- Air Indiaのページには二つの割引率と、内容の異なる二つのデータ特典が記載されている。範囲が整理されていない販促表示であり、利用者の節約や付帯事業の収益性を証明するものではない。
EasyRoamの発表で、最も重要ではない数字は「SIM無料」だ。ローミングまで無料になるわけではない。Air Indiaによると、有料プランは税別241インドルピーからで、価格は渡航先やプランで異なる。事業面で問うべきなのは、航空会社のブランドを掲げたページから、海外で有料のモバイル通信を使うまでに何が起きるのかだ。発表資料は商品を説明しているが、販売ファネルや収益は示していない。
10月8日、Air IndiaとTata Communicationsは、両社が開発したAir Indiaブランドの旅行用SIMサービスとしてEasyRoamを発表した。共同発表によると、Air Indiaの専用ページで物理SIMまたはeSIMを購入できる。Air Indiaの説明では、渡航先とプランを選び、出発前にeSIMを購入・インストールし、到着後にEasyRoamへ切り替える。現在の商品ページには物理SIMとeSIMの両方が掲載されている。これは具体的な販売手順だが、何人が購入して使ったかを示す数字ではない。(Tata Communicationsの発表;Air Indiaの案内;EasyRoamの商品ページ)
販売ページは入口にすぎない
初期のプランは30か国を対象とする。両社は最大190か国への段階的な拡大を掲げているが、これは将来目標であり、現在の提供範囲ではない。利用者は国別またはグローバルプランを選び、データ専用か音声・データ付きかを選択できる。最低価格はカタログ全体の代表値ではなく、平均支出額や一般的な購入内容も公表されていない。
航空会社の追加サービスとして見ると、購入には複数の段階がある。旅客が案内を見てページを開き、渡航先とプランを選び、支払い、本人確認を済ませ、eSIMを設定するか物理SIMを受け取り、到着後に開通する。どの段階でも購入者は離脱しうる。商品ページは、注文確認メールの後にeKYCリンクが届き、さらにQRコードがメールで送られる手順を記載している。eKYCについては、Department of Telecommunicationsの要件により必須だと同ページが説明している。本稿はその表示をAir Indiaの説明として扱い、法的判断を加えない。閲覧数、購入数、本人確認の完了、開通成功、取消しの実績は公表されていない。確認できる販売経路は現在のウェブサイトで、共同発表はモバイルアプリでの提供を今後の予定としている。
共同発表で幹部は、接続サービスを「予約の流れ」に組み込むと説明した。これは提携の目標を表す。公開資料が確認させるのは専用ページであり、航空券の購入過程のどこにEasyRoamが表示されるのか、何人の国際線旅客が目にするのか、販売ごとにAir Indiaへ手数料が入るのかは示されていない。航空会社ブランドの販売面は搭乗後も顧客との接点をつくれるが、それだけでは継続的な収益源を構築した証拠にはならない。
オファーの比較基準が見えない
Air Indiaの商品ページは、標準的な国際ローミングと比べて「最大50%節約できる」とうたう。一方、FAQには「平均で最大65%安い」とある。比較対象が異なる可能性はあるが、基準価格、対象国、期間、計算方法が記載されておらず、二つの数字を説明できない。どちらも独立して測定された節約額として扱うべきではない。
データ特典も二通りに記されている。発表資料は、対象データプランを買った顧客に最大1GBを追加し、モルディブとモーリシャスは対象外とする。商品ページのFAQは別途、SIMまたはeSIM購入者に3日間有効な100MBの世界共通データを付けると説明し、時期によって他の特典もありうるとしている。100MBと最大1GBが併用できるのか、どのプランがそれぞれの対象になるのかは公開情報から分からない。利用者にとっては実質価格の違いになり、航空会社にとっては何の販売効果を測るかの違いになる。
Tata Communicationsは600社を超えるモバイルネットワーク事業者との提携を強調する。この会社発表の数だけでは、国別プランでどの現地ネットワークに接続するのか、渡航先ごとの品質や経路上の利用可能性は分からない。請求の異議、開通失敗、返金、ローミング障害をどちらが扱うかも明らかでない。Air Indiaはブランドと顧客向けページを提供し、Tata Communicationsは接続パートナーとして名を連ねる。サポート、卸料金、決済処理、収益をどう分けるかという契約条件は公表されていない。
発表から分かること、分からないこと
EasyRoamにより、Air Indiaは国境を越える旅客へ自社ブランドの商品を提示できる。到着後に接続手段を探して設定する手間を減らす可能性はある。しかし、それは合理的な販売上の利点であって、観測された需要やサービス成果ではない。対象となる旅客のうち何人が案内を見たか、何人が購入したか、何人が開通できたか、有料利用者一人当たりの売上はいくらか、次の旅行でも買ったかは分からない。
販売ページは価値の配分も示していない。Air Indiaはブランドと旅客への接点を提供し、Tata Communicationsは提携ネットワークを使ったローミング接続を組み立てる。各国の事業者は現地の無線アクセスを提供する。経済性を評価するには、決済を受け取る主体、Air Indiaに残る金額、ホストネットワークへの支払い、販促費用の負担、返金とサポート費用の負担者を知る必要がある。それがない以上、241インドルピーの最低価格から利益率を推定することはできない。
見るべき指標は提携ネットワークの数でも、将来の対象国数でもない。対象旅客が案内を見てプランを買い、必要な手続きを済ませ、明示された現地ネットワークにつながり、データを使い、問題があれば支援を受けるという流れを検証できるかだ。Air IndiaとTata Communicationsは一部の手順を説明したが、その転換率や顧客の結果は公表していない。
現時点のEasyRoamは、販売条件に未解決の点が残る開始済みの販売提案であり、航空会社の付帯収益を証明するものではない。販売経路、購入率、開通、再購入、品質、収益配分が示されれば評価は変わりうる。今いえるのは、Air Indiaが国際接続サービスの前面に自社ブランドを置いたこと、そして事業成果はまだ測定されていないことだ。
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