要約
- DOCOMOはLevanteとPonenteを搭載したNokia基地局装置に複数社の無線装置を接続し、9月9日に商用運用を始めたと発表した。
- 確認できるのは一つの商用構成であり、全製品の自由な交換、全網の実測省電力効果、Cloud RANの完成を意味しない。
公開仕様に適合することと、利用者の通信を担う商用構成として受け入れられることは同じではない。NTT DOCOMOが9月11日に発表したのは、その後者に関する進展だ。新しいNokia基地局装置と複数社の無線装置を組み合わせ、9月9日から商用運用を始めたという。
装置にはデータ処理用のLevanteと制御処理用のPonenteを搭載する。いずれもNokiaのベースバンドカード名であり、接続する無線装置のメーカー名ではない。DOCOMOはO-RAN ALLIANCE仕様への準拠を説明している。また「世界初」は、9月9日時点の同社調べに基づく、このNokia装置のマルチベンダー構成による商用運用という範囲だ。Open RANそのものの世界初を主張したものではない。
製品発表から商用の組み合わせへ
NokiaはLevanteとPonenteを2023年6月に発表していた。当時、AirScaleは自社と他社の無線装置に対応すると説明し、商用出荷を2024年上半期に予定していた。その予定はDOCOMOへの納入時期を証明しない。今回の新しさは、製品名の登場ではなく、通信事業者が商用構成として運用を報告した点にある。
現在の装置はLTEと5Gの双方を扱う。DOCOMOは従来のNokia装置より接続できる無線装置数の増加と消費電力低減を見込むが、実測値、導入台数、発注額は示していない。Nokiaの過去の発表にある製品別の削減率を、そのまま日本のネットワークで達成した数字に置き換えることはできない。
設置条件に合わせる自由の中身
DOCOMOは以前からO-RAN準拠の装置を用い、エリアの特性や需要に応じて無線装置を組み合わせてきた。今回も、広い範囲をカバーする高出力装置と、設置場所の限られる都市部や混雑する会場に向く小型装置を例示している。
共通の処理基盤に異なる無線装置を接続できれば、設計を一社の品ぞろえだけに合わせる必要は小さくなり得る。ただし、仕様が共通でも、あらゆる製品とソフトウェア版が検証済みになるわけではない。発表には、採用可能なメーカーと版の網羅的な一覧や、複数社にまたがる故障の契約上の責任分担はない。
調達上の論点は、最初の接続の後にも選択肢が残るかだ。ベースバンドのソフトウェア、無線装置、運用ツールが変わったとき、同じ組み合わせを維持できるか。これは本件から導かれる検討課題であり、DOCOMOで問題が発生したという意味ではない。
自動化の実績と将来計画を分ける
DOCOMOは2025年11月にもNokia MantaRay SONの導入を発表している。複数社のLTEネットワークで起きた変更を検知し、必要なパラメーター変更を判断して、5G運用システムを通じてNokiaの5G側に反映する仕組みだった。運用システム間の連携は、無線装置とベースバンドの全組み合わせの認証とは異なる。
今回公表された8月12日の覚書も別の段階にある。Cloud RAN開発や自動化、自律ネットワークへの工程を扱う合意であって、商用構成が既に完全な仮想化網や自律網になったことを示さない。
9月11日の発表は、翌12日の常総きぬ川花火大会で移動基地局車に装置を搭載し、Nokia Dual Boostと組み合わせる計画にも触れた。これは開催前の予定であり、開催後の性能報告ではない。都市部やスタジアムなどへの全国展開も今後の方針で、全国の交換完了を意味しない。
まず具体化したのは、Nokiaの処理基盤で複数社の無線装置を商用運用する選択肢だ。その持続的な価値は、同じ選択肢を更新後も支えられるかにかかっている。
出典
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
Strategic Circle 限定
Strategic Circle
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
Strategic Circle に参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加

