要約

  • NTT DOCOMOによると、9月9日に商用運用を開始したNokiaの基地局装置には、データ処理用のLevanteと制御処理用のPonenteが搭載され、O-RAN仕様に準拠した複数社の無線装置と接続する。
  • DOCOMOにとって初のマルチベンダーOpen RANではない。今回の焦点は、この特定の装置境界で選択肢が広がり、測定されていない統合・保守コストを増やさずに運用できるかだ。

無線網は仕様上「オープン」でも、事業者が実際にベンダーを替えられるとは限らない。問うべきなのは、どの部品を交換できるのか、何を再試験する必要があるのか、そして稼働中のサービスが新しい構成に依存したとき、誰が作業を担うのかである。

NTT DOCOMOの9月11日付発表は、その境界の一つが商用運用に入ったと説明する。同社は、Nokiaの最新基地局装置が9月9日から複数メーカーの無線装置とともに稼働したとしている。装置にはデータ処理を担うLevante、制御処理を担うPonenteが含まれる。DOCOMOはO-RAN Alliance仕様に準拠した構成だと説明し、9月9日時点の自社調査に基づき、このNokia装置を複数ベンダー構成で商用利用した最初の事業者だと主張する。対象はこの装置と構成に限られる。DOCOMO初のマルチベンダーRANでも、世界初のOpen RAN網でもない。

この発表の背景には、より長い取り組みがある。DOCOMOは2025年のOpen RAN商用展開に関する報告書で、4G時代からマルチベンダー運用の経験を持ち、5G網を当初から全国規模のOpen RANとして構築したと述べている。先行する技術白書には、異なるベンダーの機能を組み合わせ、既存運用に接続するための作業が記されている。したがって9月の節目は、より限定的だ。Nokiaの新しい基地局装置が、複数メーカーの無線装置と商用構成を組んだ。既存計画の拡張であって、出発点ではない。

この違いを押さえないと、「Open RANなら、どの無線装置でもどのベースバンドに接続すれば直ちに顧客通信を運べる」と誤解しかねない。仕様はインターフェースや機能を定めるが、どの機能・パラメーターを採用するか、装置の組み合わせをどう検証するか、アラームや管理をどう統合するか、障害をどう切り分けるかは事業者が決める。DOCOMOの2025年の実務資料は、事業者主導の相互接続プロファイル、ベンダー間の情報共有、十分な事前検証を重視している。また、まず無線装置とベースバンド間のフロントホールを開き、その後に仮想化やオーケストレーションを段階的に進める方法を示す。

商業上の狙いは分かりやすい。DOCOMOによると、この装置はLTEと5Gに対応し、従来のNokia基地局装置より多くの無線装置を収容でき、消費電力の低減も見込まれる。複数社の適合装置を組み合わせられれば、広域向けの高出力無線装置と、都市部の限られた設置スペースやイベント会場の集中トラフィックに適した小型装置を使い分けられる。ただし、これは設計上の可能性だ。発表には無線装置のメーカー・型番、サイト数、配置、消費電力の測定値、容量実績、導入前後のサービス比較がない。期待される効率は、測定済みの効率とは異なる。

今後の展開予定にも時間軸の注意が必要だ。DOCOMOは、都市部、スタジアム、イベント会場から全国へ展開する方針を示した。また、9月12日の常総きぬ川花火大会に向け、移動基地局車へ装置を搭載し、NokiaのDual Boostと組み合わせる計画を発表していた。発表は開催前の予定を述べており、結果は報告していない。追跡すべき兆候ではあるが、当日の通信改善を示す証拠ではない。

経済的な問いは、設置やカバレッジの条件が異なる場所で、部品選択の自由が本当に働くかだ。混雑した会場なら小型装置がスペースの制約を解き、高出力装置はカバー範囲を広げられるかもしれない。ただし、節約額は調達、ソフトウェア保守、統合作業、予備品、障害解析、アップグレード、切り戻しまで含むライフサイクルで決まる。代替機器を残りのシステムを作り直さずに検証・運用できてこそ、第二の供給元は交渉力と供給網の強靱性を高める。ベンダーが増えれば、調整する境界も増える。

Heng LuのNote 64は編集上の観点として参考になる。まず最小限の仕様を定め、次の判断は運用責任を負う事業者の近くに置き、採用は任意とする。同ノートが扱うのはインターネット協調アーキテクチャであり、RAN標準ではない。ここでは問いとしてのみ使う。共通インターフェースが十分でありながら、DOCOMOが地域ごとに無線装置を選べるだろうか。仕様への準拠は検証の始まりであり、結論ではない。

確認できるのは、DOCOMOがNokiaの装置と複数社の適合無線装置による商用運用を発表したことだ。可搬性、効率、サービスへの影響を判断する規模や運用データは公表されていない。次の有益な開示では、組み合わせと設置範囲、受入試験、条件を明示した実測結果が示されるだろう。節目は確かだが限定的である。新たな装置の組み合わせは商用化した。反復可能な交換が経済価値を生むかは、まだ示されていない。

出典: DOCOMOの英語発表と日本語発表、2025年のOpen RAN運用知見、5G Open RANエコシステム白書。

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