要約

  • すべての不正利用通報には受領確認、調査、応答が必要だが、より強い緩和義務が生じるのは、容易に利用できる情報から、gTLDの登録名が契約上のDNS不正利用に使われていると合理的に判断できるときである。
  • 求められるのは、その利用を迅速かつ相応な方法で停止または妨害することだ。契約は一律の停止、共通の期限、ウェブ内容やホスティングに対するICANNの一般的権限を定めていない。

ドメイン名と画面画像を添えた通報が届き、「削除してほしい」と要求する。この言い方は、被害を一つの命令へ直結させる。しかしICANNの契約は、受領、調査、証拠の評価、措置の選択を別々の段階に分ける。悪用のために登録された名前と、侵害された正当な名前も同じようには扱わない。

最初は受付である。Registrar Accreditation Agreement(RAA)3.18.1は、レジストラに、見つけやすい不正利用窓口、受領確認、合理的かつ迅速な調査と適切な応答を求める。不完全な通報だから無視できるわけではない。受領記録を残し、問題が責任範囲に入るか、レジストラ自身が合理的に入手できる情報は何かを調べる必要がある。

次が「措置可能な証拠」の基準だ。3.18.2は、登録名がDNS不正利用に使われているという措置可能な証拠を持つレジストラに、その利用を止めるか妨害するために合理的に必要な措置を迅速に取るよう求める。ICANNの助言文書によれば、措置可能とは、容易に利用できる情報が合理的判断に十分であることを指す。フィッシングなら、完全なURL、偽ページの画像、なりすまされた組織、リンクを運んだメールやSMSが、申立てを検証可能にする。登録日、ネームサーバー、EPP状態、アカウントの動きも判断材料になる。

この基準は調査義務を消さない。通報者が持てない顧客情報や名前解決情報をレジストラが持つ場合がある。「提出物だけではまだ証明できない」と「調べることが何もない」は異なる。不十分な申立てを自動制裁にも、便利な放置理由にもさせないための区別である。

対象範囲も限定される。契約上のDNS不正利用は、マルウェア、ボットネット、フィッシング、ファーミング、そして前四者を届ける手段としてのスパムである。詐欺、名誉毀損、著作権侵害その他の違法な内容は重大でも、ドメインを使っただけでこの定義に入るわけではない。別の法律や方針が適用され得るが、2024年改定は一般的なインターネット内容規制ではない。

証拠が措置可能になれば裁量は狭まるが、なくならない。登録直後で偽銀行ログイン画面しかない名前と、長年使われている企業ドメインの一つのサブドメインが侵害された場合では、適切な対応が違う。前者の停止はフィッシングを直接止め得る。後者を停止すると、正当なウェブ、メール、無関係なサブドメインまで失われる。登録者、サイト運営者、ホストへ期限付きで修正を求める方が、付随的損害を抑えて不正利用を妨害できる場合がある。

レジストリは別の制御層にいる。自らのTLDの名前がDNS不正利用に使われていると措置可能な証拠から合理的に判断した場合、その利用の停止または妨害に迅速に貢献しなければならない。最低限、名前と証拠をスポンサー・レジストラへ送るか、適切と判断すれば直接措置を取る。単一の顧客についてはレジストラが近く、複数レジストラをまたぐボットネット用ドメイン生成ではレジストリが適任になり得る。これは責任を適切な主体へ送る設計であって、最も厳しい処分を競う仕組みではない。

「迅速」に共通の時間数はない。想定される被害に応じた継続的な注意が必要で、大規模かつ差し迫った危険なら数時間の対応が求められ得る。侵害された正当なサービスなら、守るべきサービス自体を壊さないための調査時間が必要だ。ICANN文書の時間例は説明用で、契約上の締切ではない。

ICANNへの申立てには、さらに証拠の連続性が要る。ガイドは、対象gTLD名、悪用の説明と証拠、先にレジストラまたはレジストリへ届けた記録、その後の通信、対応が不適切だと考える理由を求める。2026年5月の執行ダッシュボードでは、契約当事者への事前通報を示せず、無効または措置不能とされた申立てが多数記録されている。被害が虚偽という意味ではない。ICANN Contractual Complianceが契約違反を審査するため、悪用、担当者、通知、応答を一つの記録で結ぶ必要があるという意味だ。

契約はすべての名前の停止を命じず、DNS上の措置でホスト上の内容が消えるとも約束しない。ccTLD方針、ホスティング事業者、サイト管理者をgTLD契約の下へ置くものでもない。執行可能な約束はより限定的である。合理的判断に足る証拠が成立したとき、契約当事者は、自らが実際に持つ権限を迅速に用い、定義された不正利用を停止または妨害し、避けられる付随的損害を避けなければならない。

出典