要約

  • BERECは「通信単一市場」を達成済みの政策目標とせず、期待する成果、未充足需要の有無、事業者の動機と障壁を調べる課題として示した。
  • 2027年計画案への意見募集は10月31日まで。証拠募集の実施は未確定で、最終計画は12月にまとまる見込みだ。

「欧州の通信単一市場」という言葉は、国境を越えるサービス、各国ルールの共通化、より深い市場統合など、異なる期待を一つにまとめがちだ。BERECの2027年作業計画案は、その言葉を結論として掲げるより先に、実際に何を実現するべきかを問う。汎欧州製品への需要が満たされていないのか、事業者が複数国でサービスを提供する際にどんな動機や障壁があるのかも調査対象にした。

この問いの立て方は、政策目標と市場で観察された事実を分ける。欧州委員会は2026年1月にデジタルネットワーク法(DNA)案を公表し、通信分野の分断や越境展開を政策上の課題として挙げている。ただしDNAはまだ立法案だ。BERECも、2027年に実施準備を始めるのは立法手続きが十分進んだ場合に限ると記した。単一市場という目標が掲げられていても、利用者が何を求め、事業者の判断が何に左右されるかは別途確かめなければならない。

作業計画案は10月1~2日の第68回通常会合で規制者委員会により採択され、10月31日まで意見を募る。草案は、EU法にデジタル単一市場の統一的な定義がなく、どのような状態が望ましいかも政策担当者や事業者などの間で見解が異なると説明する。BERECは複数のワークショップを予定し、証拠募集を行う可能性にも触れたが、その項目は「TBC(未定)」だ。ワークショップの要約は2027年の第4回全体会合で採択する予定とされる。

調査課題は三つに分けられる。第一に、単一市場がどのような具体的成果をもたらすべきかを定める。第二に、汎欧州サービスへの需要が実際に満たされていないかを確認する。第三に、複数国で提供する事業者のインセンティブと障壁を調べる。規則の違いが存在することだけでは、それが顧客の需要を妨げている証拠にならない。逆に、共通ルールを望む声があるとしても、それだけではどの施策が有効かは決まらない。草案は特定の商品や原因を先に選んでいない。

年間計画を決める正式な権限と手順も明示されている。規則(EU)2018/1971第21条に基づき、BERECの規制者委員会は翌年の計画案を1月末までに採択し、欧州議会、理事会、欧州委員会および関係者に意見を求めたうえで、12月末までに最終計画を決定する。2027年分は、1月の概要案、2月27日から4月15日までの早期意見募集、3月31日のステークホルダー・フォーラムを経て、10月に今回の草案が公開された。最終版は12月の予定だ。

関係者の参加は、専門知識や見落とされたコストを示す機会になる。一方、意見を提出した人の数が、すべての利用者、事業者、加盟国を代表する投票になるわけではない。だからといって相談手続きに意味がないのではない。重要なのは、寄せられた意見や要約を公開し、どの証拠を採用したのか、規制者委員会が優先順位を維持または変更した理由を説明することだ。

草案は、作業量も議題の一部としている。最初の募集で示された追加案のなかには興味深くても予定された業務量では実施できず、将来の検討に回すものがあったという。文書末尾には2028年以降に検討し得る作業も記されるが、個々の見送り案や提出者は列挙されていない。読み取れるのは、年次計画が報告書や助言の前段階で、限られた規制上の時間を配分するという点までだ。

10月31日までに意見を出すなら、標語への賛否より検証方法を示す方が役立つ。どの成果を測れば国境を越える市場が改善したといえるのか。誰に未充足需要があり、現在は何で代替しているのか。どの障壁が事業者の越境提供の判断を変えるのか。BERECは該当段落を明記するよう勧め、意見と要約を公表するとしている。非公開を希望する箇所は明確に示す必要がある。

この草案が示すのは、BERECが市場統合の特定モデルを承認したということではない。長年の政策目標を検証可能な問いに置き換えたということだ。最終計画では、政策上の願いと観察された需要を分け、ワークショップや実施される場合の証拠募集が何を明らかにするのか、また結論がBERECの助言権限にどう収まるのかを説明する必要がある。「単一市場」という呼称だけでは、成果もその根拠も示せない。

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