要約

  • ACCCの2026年報告書は、各社の基地局数、Optus・TPG共有網で到達できる範囲、MVNO向け卸サービスを別々の指標として示す。それぞれ異なる管理境界を表している。
  • 2026年1月31日時点で、全国MNO3社はMVNOに5G非スタンドアローンを提供していたが、5Gスタンドアローンを提供していた会社はなかった。これは卸接続の制約であり、MVNOの利用者に5Gがなかったという意味ではない。

ACCCの「Mobile Infrastructure Report 2026」は、既知の市場を別の角度から捉え直す。全国MNOが報告するモバイル基地局を集計し、OptusとTPGのネットワーク共有がTPGの到達可能な範囲をどう変えるかを示した。さらに、2025年のインフラ記録規則の見直しを経て、仮想移動体通信事業者(MVNO)が利用できる卸売カバレッジマップと、各種の卸売カバレッジを利用するMVNOを初めて公表した。

ここでは指標を混同してはならない。報告書の基準日でTelstraは12,175局、Optusは9,499局、TPGは5,262局を報告した。ACCCはOptus・TPGのMulti-Operator Core Network(MOCN)に属する2,549局を別枠で記録している。共有局を含めると、TPGが到達できる局数は合計7,811局となる。自社ネットワークの局数と、共有網を含む到達範囲は別の尺度だ。どちらも、MVNOが何を再販できるかを示す数字ではない。

卸データが答えるのは別の問いである。Optusは27社、Telstraは22社、TPGは3社のMVNOにアクセスを提供していた。これは利用者数の合計でも、各MVNOの加入者規模でもない。どのMNOが卸アクセスを提供し、どのタイプのカバレッジが利用可能かを記録した数字だ。

技術面の境界は明確だ。1月31日時点で、全国MNO3社のいずれもMVNOに5G Standalone(SA)アクセスを提供していなかった。提供されていた5GアクセスはNon-Standalone(NSA)だった。つまり、MVNOは5Gに接続できても、5G SAに基づく卸サービスを持たない場合がある。「MVNOが5Gを提供する」と「5G SAを卸で使える」は同じ意味ではない。

NSAは5G New RadioとLTEを二重接続で組み合わせる。SAは5G無線アクセス網を5Gコアに接続する。この違いはアクセス方式を区別する理由にはなるが、サービス品質の優劣を示すものではない。ACCCの報告書は、特定地点での速度、遅延、信頼性、利用者体験を測定していない。また、卸サービスがNSAにとどまる理由、MVNOがSAを求めたかどうか、各社が提供条件を変える予定かどうかも示していない。

カバレッジの比較にも適用範囲がある。MVNOに4Gと5Gのアクセスが提供されていた場合、Telstraだけが自社小売サービスより小さい卸売カバレッジを提供していた。これは、すべてのサービス、技術、場所に当てはまる一般則ではない。報告書が示した条件下の比較である。

この報告書の価値は「最良のネットワーク」を選ぶことではない。MNOが報告する局数、共有網で到達可能になる範囲、卸契約でMVNOが使える技術とカバレッジという三つの証拠を分けた点にある。局数が多いからといって、再販事業者が特定のアーキテクチャを提供できるとは限らない。MNO同士のネットワーク共有も、MVNOの契約上の権利を自動的に決めるものではない。

日付も重要だ。報告書の公表日は2026年9月22日だが、インフラとカバレッジ情報の基準日は1月31日である。ACCCによると、過去のマップは6月30日に発効した「Telecommunications (Mobile Network Coverage Maps) Industry Standard 2026」の標準区分に沿っていない。1月時点の過去マップと、後に新基準で公表された通信会社のマップを同じ測定方法とみなすべきではない。

通信事業者、投資家、調達担当者にとって問うべきなのは、卸サービスに何が含まれるかだ。ネットワーク名、集計された基地局数、一般的な「5G」の表記だけでは、MVNOのSA接続、対象範囲、測定日を確認できない。これらにはそれぞれ別の証拠が要る。

出典