要約
- RFC 1243 は AppleTalk のポート、経路、ゾーン、サービス登録、カウンターを SNMP 管理面に置いた一方、値の由来と行の状態を見なければ現用情報とは判断できない構造を持っていた。
- RFC 1742 は後に複数の read-write / read-only 指定を入れ替え、情報源、既定値、現在値を追加した。アクセス属性は永続的な真理ではなく、改訂される責任分界だった。
1991 年 7 月の RFC 1243 は、拡大する AppleTalk 網を SNMP で管理するためのオブジェクトを定義した。対象は LLAP、AARP、ATPort、DDP、RTMP、KIP、ZIP、NBP、ATEcho に分かれた。実装に該当するプロトコル群は、その群の全オブジェクトを実装する。それは管理インターフェースの適用範囲を示すが、稼働中の機器を証明するものではない。
ATPort の一行には、論理ポートの種別、ネットワーク範囲、アドレス、状態、ゾーン、物理インターフェースとの対応が入った。多くの値は read-write だった。その横で atportNetConfig と atportZoneConfig は read-only とされ、設定値がどこから来たかを示した。
列挙値は四つある。configured は明示設定、garnered はネットワークを調べて推定した値、guessed はランダムな設定、unconfigured は未設定だった。同じネットワーク番号でも、前者は管理上の意思、次は環境からの推定、三つ目は起動のための暫定判断である。値だけを保存すれば、この来歴は失われる。
さらに atportStatus は operational、unconfigured、off、invalid を区別した。invalid を設定すると対応関係は無効になるが、行を物理的に表から消すかどうかは実装依存だった。したがって管理局は、利用中ではない情報を受け取る可能性を前提にし、状態を併読しなければならない。行の存在は稼働の証拠ではない。
RTMP 経路にもネットワーク範囲、次ホップ、媒体種別、ポート、ホップ数、状態があった。RFC 1243 では主要な経路値が read-write で、状態は good、suspect、goingBad、bad と別に表された。bad にしても行が即座に消えるとは限らない。KIP では configured、learned、invalid を分け、さらに経路情報を他ルーターへ共有するかも別の値だった。生成元、現在の妥当性、伝播方針は別々の判断である。
ZIP のゾーン名とネットワーク範囲、NBP のサービス名・種別・ゾーンも書き込み可能だった。ただし、いずれも無効化を表す状態を持ち、古い行が残り得た。状態を捨てた一覧は、装置の残存記憶を現行サービスとして数えてしまう。
ATEcho の要求受信数と応答送信数にも限界がある。二つのカウンターは個々の要求と応答を対応付けず、相手、経路、利用者の成功を示さない。RFC 1243 はセキュリティ問題も議論していない。
4 年後に反転したアクセス属性
1995 年 1 月の RFC 1742 は RFC 1243 を廃止し、AppleTalk MIB II を定めた。追加オブジェクトだけに目を向けると、重要な修正を見落とす。後継仕様は既存オブジェクトの可変性を見直した。
atportNetConfig と atportZoneConfig は read-only から read-write になった。一方、RTMP の範囲、次ホップ、種別、ポート、ホップ数は read-write から read-only へ変わった。ZIP のゾーン名とネットワーク範囲も read-only になった。何を管理入力とし、何をプロトコルが維持する観測値として扱うかが描き直されたのである。
由来の表現も細かくなった。atportNetFrom と atportZoneFrom が情報源を示し、従来のゾーン値は atportZoneDefault と改名された。そのほかに atportCurrentZone が加わった。既定の意図と現在の状態は、同じ欄に押し込めなくてよくなった。NBP では、名前・種別・ゾーンを変更した際にエージェントが再登録することを推奨した。書き込み後の処理を示す記述であって、登録完了の受領証ではない。
測定面も更新された。AARP の検索とヒット、RTMP の経路削除と表オーバーフロー、NBP の登録失敗、ポート別トラフィックが追加された。他方、MIB-II のインターフェースカウンターと重複する LLAP 指標は deprecated になった。測定項目の追加・廃止は母集団と分母を変える。RFC の発行日だけでは、エージェントと収集系が同期して移行したとは言えない。
この改訂史が示すのは、MIB がネットワークの写真ではないということだ。MIB は、状態の名称、許される入力、返される観測を定める版付きの契約である。実際の出来事を追うには、モジュール版、オブジェクトインスタンス、値と由来、行状態、認証された要求者、認可判断、要求と応答、永続化、プロトコル観測、サービス結果を結合する必要がある。
二つの RFC は完全な実行記録を残していない。完全な記録が必要になる理由を残した。
出典と限界
主な出典は RFC 1243, AppleTalk Management Information Base と RFC 1742, AppleTalk Management Information Base II である。オブジェクト、アクセス指定、状態、改訂内容は確認できるが、特定実装、管理者、認可、受理された変更、現用経路、現在ゾーン、登録成功、配送、普及率、利用者結果は立証しない。
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