要約
- 2026年5月14日のモーリシャス最高裁判所の暫定命令は、Larus Ltdを通じて公表された言明をめぐりCloud Innovation Ltdを対象とし、同じ日にICANNの清算手続への当事者参加を認めたが、いずれも本案判断ではない。
- 権限は三つの経路に分かれたままである。裁判所が任命した管財人、2025年9月に選出された理事会、そしてDeclared Company指定とinspector任命による国家側の監督である。
- 管財人の免責申請は2025年10月8日に提出され、2026年3月時点で審理済み・判決待ちと説明されたが、2026年9月25日までに終局命令は公表されていない。
争点は「誰が登記簿を動かすか」
African Network Information Center - (AfriNIC) Ltdは、アフリカとインド洋地域のインターネット番号資源を管理する地域インターネットレジストリである。2026年9月時点で問われているのは、そのレジストリ機能についての決定権が、裁判所の監督下にあるのか、2025年9月に選出された理事会にあるのか、それとも清算手続の当事者間の係争に委ねられているのかという点である。少なくとも三つの経路が同時に生きている。
2025年に整えられた国家側の監督
モーリシャスの官報に掲載された2025年7月18日付の告示は、Companies Act 2001第230条に基づき同社をDeclared Companyとして指定した(Declared Company指定の告示)。続く2025年7月25日付のProclamation No. 10 of 2025は、Puisne判事をinspectorに任命した(Proclamation No. 10 of 2025)。国家による監督は、私法上の会社統治と並行して維持されている。
2025年10月13日、管財人のGowtamsingh Dabeeは最高裁判所破産部に「Application for Termination of Receivership」と題する報告を提出し、正式な免責までの間、引き続き同社を支援することに同意した(理事会と管財人のコミュニケ)。
2026年3月:免責申請は審理済み、判決は未公表
2026年3月12日の会員向け更新で同社は、2025年9月に選出された理事会が職務に復帰したこと、管財人の免責申請が審理されたが判決は待たれていること、Cloud Innovation Ltdが免責に異議を唱えて別の管財人の任命を求めたこと、同社が清算申立てとIP資源の割り当てを止めるための別の申立てを行ったこと、管財人がIPアドレスの割り当てと譲渡を承認し続けていたこと(Cloud Innovation Ltdはこれが管財人の権限を超えると主張)、同社がDeclared Companyの地位にとどまっていること、そしてICANNの参加申立てがまだ判断されていなかったことを記録している(2026年3月12日の会員向け更新)。
2026年5月:登記簿の区別と二つの命令
2026年5月9日のコミュニケで同社は、Larus Ltdに関連する主体が公表した「Court-Ordered Shareholder-Position Continuity Structure」(事件番号SC/COM/MOT/000399/2025)に関する説明に異を唱え、2025年6月11日の裁判所命令はそのような構造を設立したものではなく、同社のリソース登録簿に関するものであって、Companies Act 2001第91条に基づく登録会員の法定名簿とは別のものであると述べた(2026年5月9日のコミュニケ)。統制の所在を登記簿の種類ごとに切り分けるこの主張は、実務上は、資源の割り当てと会員資格のどちらを誰が決めるのかという問いに直結する。
2026年5月14日、最高裁判所は、子会社Larus Ltdを通じて公表された虚偽かつ誤導的な言明を理由に、Cloud Innovation Ltdに対する暫定命令を発した(2026年5月15日のコミュニケ)。同社によれば、当該公表は、裁判所がAFRINICの割り当てたインターネット番号資源のリースを承認または許可したかのように示していたという。同じ日、裁判所はICANNの当事者参加を認める命令も出した(The Register、2026年5月27日)。
命令の射程と当事者の反論
The Registerの2026年5月27日の報道によれば、ICANNの広報は、AFRINICを通じて割り当てられた番号資源はAFRINICの資産ではなく、清算手続で分配することはできないと述べた。Cloud Innovation Ltdは、暫定命令もその基礎となる書面も正式に送達されていないと主張し、Larus Ltdは、同命令は終局判決ではなく、IPv4リースの適法性、IPの所有権、同社の登録簿上の地位や会員資格については何も判断していないと述べた(The Register、2026年5月27日)。暫定命令は本案の判断ではないため、これらの対立は解消されていない。
人事と選挙:実務は動き続けている
2026年8月24日、同社の理事会は管財人の同意を得て、Mike SilberをCEO Designateに指名した。同氏は2027年1月1日に最高経営責任者として就任する予定であり、採用手続は管財人と理事会が開始した(2026年8月24日のコミュニケ)。管財人と理事会の連名による人事は、権限がなお二つの主体にまたがっていることを示す最も新しい事例である。
2026年7月3日には、ケニアのナイロビで開かれたAFRINIC-37の場で2026年選挙の結果が公表された。Governance Committeeの議席はDaniel K. Nanghaka、Afaf El Maayati、Maud Adjeley Ashong Elliotの3氏に、NRO NC/ASO ACの議席はMusa Stephen Honlue氏とNitin Kelawon Sookun氏に割り当てられ、Haitham El-Nakhal氏がPDWG共同議長となった(2人目の共同議長は2026年11月18日のPublic Policy Meetingで選出予定)(2026年選挙結果)。
一方、選挙の信頼性は未解決である。The Registerは2026年8月27日、モーリシャス警察のCentral CIDが2025年選挙に関連する2件の偽造疑惑を捜査中であると報じた。同記事によれば、管財人は2025年6月、指名委員会が対面投票を中止した後に理事会選挙を無効とし、投票は同年後半に再実施された。ISPAは、資源保有者が付与していない委任状による投票を含む不正を主張した。管財人はコメント要請に応じておらず、同社は会則変更の協議に関する更新を公表した。捜査は疑惑の段階であり、認定は公表されていない(The Register、2026年8月27日)。
ICANNの位置づけ
ICANNは、2005年4月8日に同社をアフリカとインド洋地域の地域インターネットレジストリとして承認したと記録している(ICANN書簡、2025年7月16日)。2025年7月11日にCloud Innovation Ltdが同社の解散を申し立てたことを受け、ICANNの2025年7月16日付書簡は、単一の会員が商業的利益のために支配を獲得しようとする試みとして解散申立てに反対し、ICP-2に基づくすべての権利を留保し、コンプライアンス審査に備えて選挙手続の記録の保全を求めた(ICANN書簡、2025年7月16日)。ICANNは2024年12月24日にICP-2適合性の実施評価手続を公表している(ICP-2実施評価手続)。
ICANNはまた、2025年6月18〜19日に最高裁判所破産部へ申立てを行い、2025年6月20日の説明で、裁判所が管財人に対し、Cloud Innovation Ltdの登録会員としての登録が誤りであった旨を伝えるコミュニケを発し、指名委員会の構成を説明するよう命じたと述べている。同じ説明は、この申立てについてICANNに当事者適格がなかったことも注記している(ICANN発表、2025年6月20日)。Internet Governance Projectは2025年6月19日の分析で、モーリシャス最高裁判所がAFRINICのガバナンス混乱を解決したのかと問いかけている(Internet Governance Project、2025年6月19日)。
何が変われば確定するか
2026年9月25日時点で、本稿が確認した記録の中に、管財人の免責を認める、あるいは退ける終局命令は公表されていない。最新の日付のある手がかりは、2026年3月12日の会員向け更新(判決待ち)と、2026年8月24日の理事会・管財人連名のコミュニケである。統制が確定したかどうかを判断するには、免責または管財人交代の命令、その後の判決、官報や登記記録、選挙結果、資源移転の承認といった観察可能な事象を待つ必要がある。同社のディレクトリ項目はAfrican Network Information Center - (AfriNIC) Ltdにある。
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