要約
- 米国では、低価格の商業輸入に対する800ドルのde minimis行政免税が大半の品目で停止されている。郵便以外の貨物は正式または簡易な輸入申告を要し、国際郵便にはCBPの別手続きが適用される。
- 競争上の問いは「安価な小包を免税で入れられるか」から、「データ、関税、在庫、返品の負担を誰が最小の総コストで引き受けられるか」に変わった。
長年、800ドルの基準は、通常なら関税を徴収されずに国境を越える小包を前提に、米国の顧客体験を設計する余地を与えていた。それは単なる税額の線引きではない。海外に在庫を置き、注文後に一品だけ取り出し、買い手へ直送する事業モデルを支えていた。その採算は、小包ごとの取扱費用が、まとめて輸入して国内配送する費用より低いことに依存していた。
その前提は崩れた。大統領令14324により、2025年8月29日から大半の輸入品でde minimis免税が停止された。2026年6月24日、米国税関・国境警備局(CBP)は、国際郵便網以外で到着する800ドル以下の商品について、停止を無期限とする規則を実施した。郵便以外の貨物は正式または簡易な輸入申告が必要だ。別の規則は国際郵便の免税も停止し、郵便専用の簡易申告手続きを設けた。法律上の例外は残るため、商品、贈答品、旅行者の携行品すべてに同一の扱いが及ぶわけではない。郵便以外の規則と郵便の規則は別個の規制措置である。
8月13日の Axle of Dearborn v. Department of Commerce 判決が重要なのは、広範なIEEPA関税計画ではなく、de minimis免税を扱ったからだ。米最高裁は2026年2月、対象となった追加関税をIEEPAは認めていないと判断した。国際貿易裁判所は、この判断が低価格輸入の免税特権を撤回する別個の権限問題までは解決していないと述べた。当該事件では撤回を認め、行政機関の実施を省庁の事務的執行と位置づけた。以前の追加関税を復活させたわけでも、新たな税率を定めたわけでもない。議会は別途、旧制度を2027年7月1日に法律上終了させると定めていた。時系列を混同してはならない。後の司法判断は現在の停止を法的に補強したが、6月の申告規則を開始させたわけでも、個々の販売者の着地コストを決めたわけでもない。判決文はこの境界を明確にしている。法定終了日は公法119-21に定められている。
経済的には、最適化する対象が変わる。需要が不確かで品揃えが広い販売者や、在庫を先に買い付けられない事業者には直送の利点が残る。一方、輸入者または資格を持つ当事者は、通関データと申告手続きを整えなければならず、適用される関税・税・手数料も加わる。商品をまとめて輸入すれば、申告作業を多くの品目に分散し、顧客に近い場所で販売できる。ただし、資金の先行投入、需要予測、売れ残りや返品のリスクは増す。どの経路が安いかは自明ではない。分類、原産地、価格、輸入制限、注文規模、返品率で変わる。
CBPの統計にも注意が要る。同局はde minimis扱いの船荷証券を2024会計年度に13億6,000万件、2025年度に9億4,250万件と報告し、申告額はそれぞれ646億ドルと481億ドルだった。2025年度は8月29日の制度変更をまたぐため、この減少は新制度の通年実績ではなく、差をすべて政策に帰すこともできない。船荷証券の数だけでは、どの販売者が米国内在庫に移行し、値上げし、米国市場から退出したかも分からない。CBPはこれをde minimis貨物量と申告額として示すが、企業の勝敗を決める単位採算までは公表していない。
長期的な指標は、単純な小包数の減少ではない。各注文を税関に正しく説明しながら、小口購入の採算性を維持できるか。十分な量を現地在庫に移しても、運転資金を過度に固定しないでいられるかだ。旧免税枠は特定の発送形態にとって国境を非常に安価にしていた。新しい競争は、その入境コストを誰が吸収し、どの商品なら注文ごとの越境発送を続ける価値があるかをめぐる。
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