• 6G の初期検討では、既存の周波数帯で 5G と共存し、設置済みの無線インフラをこれまで以上に再利用することが前提になりつつある
  • 再利用は移行コストを引き下げる可能性がある一方、通信事業者がベンダーを変更する自然な契機となってきたハードウェア更新サイクルを減らす可能性もある

事実

形成されつつある 6G アーキテクチャは、ネットワーク全体の置き換えを必要とせず、5G 向けに導入済みのインフラをより多く再利用する方向で設計されている。Ericsson は、マルチ RAT による周波数共有を通じ、6G が既存の 5G 周波数帯を共用すると見込んでいる。一方、Nokia は、ソフトウェア更新による 6G への移行経路を備え、既存の Nokia 製無線ユニットや O-RAN 準拠の無線ユニットと組み合わせて運用できる AI-RAN プラットフォームを打ち出している。

再利用はすべてに及ぶわけではない。Ericsson は、センチメートル波帯を含む追加の周波数帯が 6G 向けに導入されるとも見込んでおり、将来の容量要件の一部には新しい無線機器が必要になる。3GPP 規格そのものもなお策定中で、Release 21 で初の 6G 規範仕様が策定される見通しだ。

Samsung は別途、まったく新しい波形を必要とせず、既存の OFDM ベースの無線技術を発展させてセンシングに対応できると主張している。これは、業界がアーキテクチャの全面刷新よりも段階的な進化を選好していることを示す、もう一つの例だ。

分析

重要な変化は、6G が現状のままの 5G ネットワーク上で単純に稼働するということではない。世代移行に際して、通信事業者が無線設備群の大部分を同時に置き換えることを強いられなくなる可能性がある点だ。

これにより移行コストを抑え、周波数帯、基地局サイト、互換性のある無線機器をより長く活用できる可能性がある。調達のあり方も変わる。従来、世代更新は通信事業者が無線機器ベンダーを見直す自然な節目だった。6G 機能の一部がソフトウェア更新や必要な機器だけの更新によって導入されるなら、こうした調達判断は、より小規模な複数の投資サイクルに分散する。

そのため BTW の読者にとって、ベンダー間競争を左右するのは、単一の 6G 更改計画よりも、現在進む 5G Advanced への更新で下される判断になる可能性がある。無線機器の互換性、オープンなインターフェース、別のベンダーのソフトウェアや機器を導入できるかどうかが、6G が導入可能になった時点で通信事業者にどれだけ選択肢が残るかを決める。

今後の注目点

3GPP Release 21 における周波数共有、無線インターフェース、5G との共存に関する決定と、既存機器の再利用について通信事業者が示す要件に注目したい。ソフトウェアで更新可能な無線機器に関するベンダーの主張は、通信事業者による実際の導入で裏付けられる必要がある。新たな周波数割り当てからは、6G のどの部分で現行インフラを再利用でき、どこで新規ハードウェアが不可避になるかも見えてくる。