要約

  • USPTOは2026年9月、共同所有を条件とするターミナル・ディスクレーマーの四つの様式を更新し、参照先を最大十件記入できるようにした。
  • 該当する声明を伴う特許では、参照特許との共同所有が権利行使の条件になる。売却で所有者を分ける際は、譲渡対象の番号だけでなく、実際に記録された条件を確認する必要がある。

売却表の一行には、見えない同席者がいる

事業を切り出す会議では、資産を一件ずつ並べた表が便利だ。特許番号、残存期間、評価額。必要な行を選べば、買い手に渡す包みができたように見える。ところが、審査中に提出した一枚の書類が、売却表から外した特許を交渉の席に呼び戻すことがある。

手がかりはUSPTOの新しい様式にある。同庁は2026年9月22日、ディスクレーマーの様式更新を発表した。共同所有を基礎とする四つの様式は、それまで一つだった参照先の記入欄を、最大十件に拡張した。複数の参照先がある場合、従来は複数の声明とそれぞれの手数料、または独自に作った様式が必要だった。

入力の手間を減らす改良である。その一方、買い手にとって大事な文章は空欄より上にある。2026年9月版のPTO/SB/26aは、対象特許と参照特許が共同所有されている期間に限って、対象特許を行使できるという約束を載せている。この約束は対象特許に伴い、承継人や譲受人も拘束する。

書類は書きやすくなった。そこに記される関係までほどけたわけではない。売却担当者が数年後に受け取るのは、きれいな特許番号と、その番号に付いた条件の両方だ。

取得を進める工夫が、出口の条件になる

ターミナル・ディスクレーマーは、特許の存続期間の末尾部分を放棄する声明だ。今回の焦点は、非制定法上の二重特許の拒絶を解消するために使われ、共同所有の条件を含む種類である。残り何年かだけを見ていると、権利行使に関する約束を読み落とす。

USPTO審査便覧の第804節は制度の狙いを二つ挙げている。排他的な権利の期間が不当に延びることを防ぐこと。そして、同じ特許可能な発明を対象とする権利が複数の譲受人に分かれ、侵害を主張された側が重ねて追及される可能性を防ぐことだ。

日付をそろえるだけでは後者を処理できない。所有関係に条件を置くことには、そのための役割がある。特許を取得する企業の都合だけでなく、将来その権利を向けられる相手も制度の視野に入っている。

出願担当者にとって、声明の提出は審査を進める選択になり得る。売却担当者にとっては、後日の取引範囲を狭める条件になり得る。両者が見ている時間と予算が違うため、同じ一枚が社内で別の顔を持つ。

名義を移す作業と、行使条件を満たす作業

便覧第301節は、特許が財産としての性質を持ち、書面によって権益を譲渡できることを説明している。特許権の中心は、請求された発明について他者を排除する権利だ。所有しただけで、その技術を使うためのあらゆる許可まで手に入る仕組みではない。

譲渡書面は、誰がどの所有権益を取得するかを決める。共同所有型の声明は、対象特許をどの所有状態で行使できるかを決める。新しい譲渡契約を作っても、古い声明のその部分が自動的に書き換わることはない。

例えば、ある企業が対象特許と、その声明が指す参照特許を持っているとする。買い手が対象特許だけを取得し、売り手が参照特許を残せば、所有者は分かれる。買い手が単独で対象特許を行使することを収益計画に織り込んでいたなら、この分離は計画の根本に関わる。

第1490節が示す判断時点も重要だ。ターミナル・ディスクレーマーで必要な共同所有は、権利を行使する時点のものとなる。出願時に同じ会社が持っていたという履歴だけでは、売却後の条件を満たした説明にならない。

個別の売買契約、実際の声明と参照関係、取引価格はここでは示されていない。その資料があれば、特定の買い手がどの程度の負担を受けるかを判断できる。公表資料から確実に読めるのは、確認すべき条件の位置である。

十という数字を、そのまま買い物かごに入れない

新様式の十行は記入容量を表す。すべての特許を十件一組にする規則でも、関連特許の法的な上限でもない。確認の起点は、現に提出された声明と、そこに挙げられた具体的な番号だ。

関係の向きも保存したい。どの特許が約束を負い、どれを参照しているのか。売るのはどちら側なのか。「同じファミリー」という大きな分類だけでは、必要なつながりを見逃すことも、条件のない資産まで一括りにすることもある。

同じ9月の発表には、共同研究契約に基づく別の様式の新設も含まれる。その経路には、関係する権利を別々に行使しないという条件がある。共同所有型と同じ名前の箱に放り込むと、読むべき条項がずれる。

必要な範囲が分かれば、買い手と売り手は取引を組み直せる。追加の権利も含めるのか、用途を変えるのか、範囲や価格を見直すのか。どの案が成り立つかは、実際の書面と所有構造に戻って検討することになる。

手数料の後に来る、切り分けの費用

今回の更新は、提出者の重複作業を減らす実用的な改良だ。将来の資産売却を自由にするという役目までは引き受けていない。

企業に必要なのは、取得時の判断を出口まで運ぶ記録である。番号と期限だけを取引部門へ渡し、約束を出願ファイルの奥へ残しておけば、組成済みの案件に突然別の資産が必要になる。そこで初めて事情を知る側は、交渉のやり直しにも費用を払う。

登記や一覧で一件ずつ数えられることと、予定した形で一件ずつ働かせられることは違う。USPTOの十行欄は、売り手が選んだ行の外側にも条件があることを見せている。切り分ける順番は、表を整えるより先に、結び目を確かめることから始まる。