要約

  • Crime and Policing Act 2026の151〜153条が10月29日に施行され、SIMファームの所持罪と供給罪、それぞれの抗弁が適用される。
  • SIMが5枚以上あるだけでは定義に入らない。装置が通話またはメッセージの送受信に使える必要があり、供給者が抗弁を使うには納入前の相手先確認と記録も欠かせない。

現場中継のカメラは、携帯回線を束ねて映像を送り、電波の弱い場所でも制作室へ素材を届ける。英国政府は、通話やメッセージを扱わないBonded-IP映像エンコーダーをSIMファームの定義外と説明する。一方、同じ複数SIM機器でも機能が違えば、10月29日施行の新法が対象にする場合がある。

Crime and Policing Act 2026第153条の定義では、SIMファームとは、5枚以上のSIMカードを同時または切り替えて使い、国内・国際番号計画の番号へ通話したり、その番号へメッセージを送受信したりできる装置を指す。「受信」も含まれる。大量送信に使われた証拠がなくても、認証コードを受け取れる装置は定義に入る可能性がある。犯罪が実際に起きたことも定義の条件ではない。

第151条は所持、第152条は供給を対象にする。所持者は、正当な理由または合法な権限を証明すれば抗弁できる。法律は、放送サービス、公共交通の運営・保守、電子通信ネットワークの運営・保守、貨物の追跡や監視を例に挙げる。用途の一覧はこれで尽きない。

境界は実務にも表れる。英国政府の指針によれば、Bonded-IP映像エンコーダーはSIMを5枚以上搭載していても、映像・音声・番組データを送り、通話もメッセージ送信もできないなら定義に当たらない。定義に当たる装置でも、放送業務は所持の正当な理由になり得る。列車の接続装置や貨物追跡機器も、通話・メッセージ機能を備える場合を含め、正当な用途を持ち得る。

供給者の抗弁は別の三つの条件で成り立つ。供給前に事業の一環として販売するか、正当な理由または合法な権限で装置を所持していること。受取人に所持の正当な理由があるかを合理的な手順で確かめること。そして記録を作ること。第152条が求める記録は、供給日、装置の説明、受取人の氏名と該当する登録番号、住所と該当する登記上の住所、確認に用いた手順だ。事業者として販売したというだけでは抗弁は完成しない。

政府指針は、合法な所持や供給に免許は不要だと明記する。今日始まるのは、多SIM機器を見つけ次第処罰する規則ではない。通信機能、正当な用途、供給時の証拠を結び付ける刑事上の境界だ。

施行初日にまだ裁判で決まっていないのは、通話やメッセージ機能が技術的には残っているものの、特定設定で停止している装置をどう評価するかだ。条文は「使用できる能力」を基準にする。設定記録がどれほど重視されるかは、最初の事件が示すことになる。

出典