要約
- SECは規則17a-7の対象拡大で、ファンド間取引のコストが年1億7,300万ドル減ると試算した。10年間で年換算したコストは割引率に応じて1,553万~1,588万ドルとなる。
- SECスタッフの別の研究では取引機会が少数の大規模ファンド家族に集中していた。業界総額だけでは、誰が削減分を得るのか、投資家に還元されるのかは分からない。
米証券取引委員会(SEC)は10月9日、投資会社法の規則17a-7を改正し、登録ファンドが一定の関連当事者と取引できる証券を増やす案を公表した。経済分析で示した年間取引コスト削減額は1億7,301万8,571ドル。実現済みの節約額でも、個別ファンドの予測でもなく、業界全体のモデル推計だ。
推計の取引量は一つの方法で測られていない。社内クロス取引に関するICIの2020年調査を、社債の相互ファンド取引を除く大半の資産クラスに使い、その量が2020年の評価規則2a-5以降は利用できなくなったと仮定する。一方、二つの投資信託間の社債取引には、四半期平均が規則の遵守期間前の約62億4,000万ドルから、後の8億5,000万ドルへ減ったという実績を使う。約53億9,000万ドルの差に、WRDS Bond Databaseから得た規則後のスプレッドを適用した。
2026~2035年の10年間を対象に年換算すると、SECのコスト推計は実質割引率3%で1,552万8,187ドル、7%で1,587万9,351ドルとなる。別途、初期費用を1,586万7,600ドル、毎年の費用を1,369万5,310ドルと見積もった。この比較で純便益の論拠は示されるが、どの運用会社が費用を負担し、削減分を得るかまでは示されない。
分配の偏りを示唆するのが、SEC経済・リスク分析局(DERA)のSu Liによる別のスタッフ論文だ。少数の大規模ファンド家族に潜在的な取引機会が集中していたという。ただし研究はForm N-PORTの月次保有残高の変化とForm N-CENの規則利用欄から候補取引を推定し、個々の約定を直接観測してはいない。著者はこの代理指標が活動を過大にも過小にも測り得ると説明し、論文はSECや委員会全体の見解を必ずしも示さないとも明記している。
基準推計は通常時のスプレッドを用いる。同じ取引量に2020年3~4月のストレス時スプレッドを当てると年3億2,000万ドルを超えるが、これは感応度を示す別シナリオで、提案の予測値ではない。データ不足のため一部資産、BDC、新しい報告制度が生むかもしれない便益も含まれない。規則17a-7の利用は任意であり、実際の参加と結果は異なり得る。
SECの競争分析は二つの反対方向の経路を描く。大規模な運用会社は相殺できる注文が多く、コンプライアンス費用も分散しやすい。一方、導入負担が下がれば、これまで参加しなかった運用会社が参入する可能性もある。SECは両者の規模を不確実とする。提案は10月15日に公示され、意見募集は2026年12月14日まで。
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