Summary

  • SBAのSEC提出済み2026年第3四半期決算資料によると、米国の現金ベースの拠点賃貸収入は4億5360万ドルで前年同期より1720万ドル少ない。海外は2340万ドル増えたが、全社の鉄塔キャッシュフローは50万ドル増にとどまった。
  • 同社の通年収入ブリッジでは、Sprintの統合とEchoStarに伴う解約が米国の賃料を計1億1100万~1億1200万ドル押し下げる。新規賃貸と契約変更による増収は3400万~3500万ドル、既存契約の賃料上昇は5100万~5200万ドルを見込む。
  • 第3四半期にSBAは3億ドルの自社株を買い戻し、1億3130万ドルの配当を払い、鉄塔213基を建設した。チリとエクアドルの資産は売却済みだ。借り手の入れ替わりより資金の移動の方が速い。

空いたアンテナ架台は収入を生まない

鉄塔の貸主にとって、解約は建物の消滅ではない。塔、用地の権利、点検の手間は残る。消えるのはアンテナを載せる場所の賃料だ。SBA Communicationsが今回示した通年予想は、その静かな損失を具体的にする。Sprintの統合による解約で5500万~5600万ドル、EchoStar関連で5600万ドル。米国事業の2026年の拠点賃貸収入から計1億1100万~1億1200万ドルが抜ける見立てである。

補う側の数字は小さい。第3四半期の原資料が挙げる米国の新規契約と契約変更は3400万~3500万ドルの増収。既存契約に組み込まれた値上げは5100万~5200万ドルを加える。値上げは残った借り手に効くが、去った借り手の架台を借りることはできない。通常の解約2200万~2400万ドルを含めると、米国の解約損失は通年で1億3300万~1億3600万ドル。国内賃貸収入の会社予想は2025年の18億6600万ドルから、2026年には18億1500万~18億2500万ドルに下がる。

実績も予想の方向を示す。第2四半期の米国現金ベース賃貸収入は前年同期比1720万ドル減の4億5020万ドル。第3四半期も前年同期比1720万ドル減で4億5360万ドルだった。同じ減少額が二期続いたが、それぞれ前年の同じ四半期との比較だ。第3四半期の米国鉄塔キャッシュフローは1820万ドル減の3億8060万ドル。塔の本数だけでは、この賃料の目減りは見えない。

海外の増収は全社の余裕に直結しなかった

海外の現金ベース賃貸収入は第3四半期に2340万ドル増え、2億740万ドルとなった。連結の拠点賃貸収入は900万ドル増の6億6540万ドルである。ところが、全社の鉄塔キャッシュフローは前年同期比50万ドル増の5億2690万ドル。調整後営業資金に当たるAFFOは1760万ドル減の3億3730万ドルだった。海外の成長で売上高を押し上げても、米国の減収と費用を通過した後に残る増分は薄い。

海外の地図そのものも変わる。SBAは9月10日にチリとエクアドルの鉄塔および関連資産を売却し、ペルーの資産売却にも合意した。ペルーは規制当局の承認待ちで、現在の通期予想には売却の影響を織り込んでいない。先に成立した二カ国の売却は、2026年の賃貸収入予想を約1000万ドル、鉄塔キャッシュフロー予想を約600万ドル引き下げた。事業を畳めば複雑さは減るが、今ある賃料も手放す。

一方、残す市場では建設を速めた。第3四半期の新設は213基で、そのうち210基が海外。第2四半期は計109基、海外99基だった。第3四半期の現金設備投資は1億520万ドル、うち裁量的支出が9110万ドル。通年の裁量的支出予想は4億8000万~4億9000万ドルに上がり、8月時点の予想より中間値で2000万ドル多い。保有・運営拠点は6月末の4万6390から9月末の4万5252に減った。会社の表は1358拠点を廃止、再分類、売却の合算として示すため、すべてを売却数と数えることはできない。

株主への現金は先に出た

第3四半期の自社株買いは170万株、3億ドル。平均取得価格は179.68ドルで、株式は消却された。配当の支払いは1億3130万ドル。合計4億3130万ドルを株主に返す間、現金設備投資には1億520万ドルを使った。二つの支出は異なる目的を持つが、どちらも今期の現金を使う。自社株買いはその日に発行株数を減らす。新しい鉄塔は借り手が契約して使用を始めてから賃料を生む。

負債の姿も変えた。7月にSBAは35億ドルの無担保社債を発行し、純調達額の大半を旧リボルビング枠の10億ドルの借入と22億ドルのタームローンの返済に充てた。資金調達に関する8-Kには、2031年7月まで使える25億ドルの新たな無担保融資枠もある。有担保債務は6月末の98億ドルから9月末の65億ドルへ減り、9月末の総債務は約130億ドルだった。資産に対する貸し手の請求順位は変わったが、空いた架台の次の借り手を決めるのは貸し手ではない。

9月に設けた25億ドル上限のコマーシャルペーパー制度は、その新しい融資枠の未使用部分を裏付けとする。短期証券を発行した分だけ融資枠の利用可能額が減る。11月の発表時点で両方の残高はゼロだった。同じ裏付けを二度足して資金余力を大きく見せる余地はない。

SprintとEchoStarによる1億1100万~1億1200万ドルの減収を、どの拠点でいつ埋めるかという顧客別日程は公表されていない。次の開示で新規契約・変更の増収見通しが3500万ドルを明確に超えれば、収入回復の評価は変わる。現時点で確かなのは、海外への建設資金と株主への現金は既に動き、米国の入居者補充はこれからだという順序である。

原資料