要約
- RFC 3194 は RFC 1715 の H 比を、割り当て数の対数を最大数の対数で割る Host Density へ正規化し、ゼロから一の百分率で説明できるようにした。
- 歴史上の三つの計画は HD 約87%で大きな変更に至ったが、通常の占有率は3.2%、10%、22.8%だった。この一致は運用上の痛みを表す経験的な仮説であり、普遍的な限界ではない。
空き番号は、必要な枝に存在しなければ容量にならない
アドレスを平らな箱として見るなら、残り容量は使用数を最大数から引けばよい。しかし電話番号もネットワークアドレスも、平らには配られていなかった。
電話番号は地域、交換局、加入者へ分かれる。ネットワークではプロバイダー、組織、ネットワーク、サブネットへ委譲される。それぞれの段階で余白が必要になる。成長や移動が均等ではないからだ。
ある地域が足りなくなっても、別地域の空き番号をそのまま移せない。サブネットが境界を越えるとき、隣の空間が同じ主体のものとは限らない。空きは存在しても、使いたい場所へ動かすには番号変更が要る。
RFC 3194 は、その変更が運用者と利用者へ与える負担を「痛み」と表現した。実用容量とは、文字列が尽きる瞬間ではなく、追加のために階層を組み替える費用が許容できなくなる位置だった。
HD の式は次の通りである。
HD = log(割り当て済みオブジェクト数) / log(最大割り当て可能数)
上下で同じ底を使えば、対数の底は問わない。一個だけ割り当てた時はゼロ、すべて割り当てた時は一になる。しかし途中の87%は、百個中87個という意味ではない。一から最大値までの対数距離を87%進んだという意味である。
各階層の余白は掛け算で効いた
三段階の階層がそれぞれ普通の意味で50%効率なら、全体の占有率は50%ではない。0.5 × 0.5 × 0.5、つまり12.5%になる。
全体に大量の空きがあっても、必要な局所区画が満杯になる理由がここにある。総数だけでは、空きがどの枝にあり、誰が管理し、境界変更にどれだけ費用がかかるか分からない。
RFC 1715 の H 比は、異なる大きさの計画を比較するため、割り当て数の常用対数をアドレスのビット数で割った。名目上の空間サイズに左右されにくかったが、値はゼロから約0.30103に収まり、0.25という数字を説明しにくかった。
RFC 3194 は多くの場合 H を log10(2) で割り、ゼロから一の HD に変えた。「Hが0.25」と言うより「HDが83%」と言う方が伝えやすい。
ただし、説明しやすい百分率は普通の占有率と混同しやすい。式を伴わない「87%」は、物理的に87%埋まったという誤った像を作る。
三つの危機は、対数へ変換して初めて近づいた
文書は RFC 1715 の事例を引き継いだ。フランスは八桁の計画で約一千万台に達した後、一桁を追加した。米国は約一億加入者の時点で実質9.2桁の方式を十桁へ広げた。16ビットの DECnet Phase IV は約1万5千の可視ノードで成長を止め、新しいノードを隠した。
通常の占有率は10%、3.2%、22.8%で、共通点が薄い。HD にすると87.5%、87.0%、86.7%となった。
著者は、管理者が大きな変更を受け入れる痛みの位置を、この集中が示していると考えた。番号変更やプロトコル変更は高価なので、古い計画を維持する痛みがそれを上回るまで延期される。
それでも87%は自然定数ではない。事例は三つだけで、制度も技術も違う。本文も「示唆する」「仮定する」「およそ」という言葉を用いた。HD が似た判断を一つの尺度へ集めたことと、全ネットワークが同じ地点で止まることは別である。
分母を広げれば、同じ加入者でも数字は下がる
フランスの計画は九桁化により、HD が87.5%から77.8%へ下がった。米国も約87%から80%へ下がった。
加入者が消えたのではない。最大空間が大きくなったため、同じ分子が対数尺度の低い位置へ移った。
RFC は80%以下を比較的快適な妥協とみなした。しかし低下した指標は、設備更新、周知、旧番号との併存や移行失敗を計上しない。変更後の余裕を表しても、変更そのものの費用は表さない。
低い HD だけでは、経路表、管理の断片化、誤った委譲境界も改善しない。名目空間が広くても、余白が必要な枝に無ければ痛みは残る。
IPv4 の表では、87%と5.6%が同時に真だった
HD から容量へ戻す式はこうなる。
割り当て可能オブジェクト数 = (最大数)^HD
32ビットの例では HD 80%で約5100万、85%で1億5400万、86%で1億9200万、87%で2億4000万だった。表は順に「合理的」「痛い」「非常に痛い」「実用上限」と呼んだ。
2億4000万は 2^32 の約5.6%である。したがって、文字列の94%以上が未割り当てでも、HD は87%に達し得る。
矛盾ではない。指数計算が対数位置を数量へ戻した結果である。差は階層の各所で必要になる余白を表し、アドレスが物理的に消えたとは言わない。
「実用上限」も絶対上限ではなかった。本文は利用者とプロバイダーが受け入れる痛みに依存すると明記し、より多くの痛みを受け入れれば表の値を超えられるとした。HD は割り当てを止める実行機構ではない。
指標はポリシーの権限を持たなかった
2001年には IPv6 の128ビットは既に決定していた。RFC 3194 はその決定をやり直す文書ではなく、現在の計画の実用容量を考える比較手段だった。
CIDR、レジストリ運用、IPv6 サイト割り当ての文書は、集約、ブロックサイズ、委譲、予約といった別の管理面を扱った。HD は議論への入力にはなれても、それらを決定できない。
「割り当て済みオブジェクト」も活発なホストとは限らない。電話加入者、可視ノード、委譲アドレスは同じ単位ではない。分析者が分子を入れ替えれば、同じ式が別の世界について語り始める。
この RFC が残した重要な区別は、空いている記号と使える容量が同じではないこと、そして正規化した百分率と物理占有も同じではないことである。数値を事実として扱うには、式、対象、最大値、階層、閾値を決めた主体を一緒に残さなければならない。
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