要約
- RFC 2860 は、IETF と ICANN が2000年3月に結んだ、IANA の技術業務に関する覚書を記録した。RFCが基準を与え、曖昧な技術判断はIESGへ、IANAとIESGの争いはIABへと段階的に進む。
- ドメイン名とIPアドレスブロックの割当政策は覚書の対象外だが、逆引きDNS名、マルチキャストやエニーキャスト用ブロック、実験的割当の一部は技術業務として対象に残る。公開記録、申請窓口、技術的な拒否理由、異議申立て、六か月前通知による終了も定めている。
分析
終了できるという条項は、制度の境界を示す。RFC 2860 第2節によれば、覚書はIETFとICANNの合意で変更または終了でき、いずれか一方も少なくとも六か月前に通知して終了できる。これは実際に終了が起きた証拠ではない。技術業務の取り決めに、変更の手続きが文書化されていたことを示す。
その取り決めが対象とするのは、IETFとInternet Research Task Force(IRTF)のプロトコルパラメーターに関するIANAの技術業務である。RFC 2860 は2000年6月に Informational として公開され、インターネット標準を定める文書ではないと明記する。記録された覚書は同年3月1日にIETFとICANNが署名し、3月10日にICANN理事会が批准した。ICANNがIETF・IRTFの範囲外のレジストリーに同様のサービスを提供し得ることも認めているため、「IANA」という名称だけから、すべてのレジストリーに共通する一つの権限を読み取ることはできない。
第4.1節は、割当の入口をRFCに置く。IANAは、提案・ドラフト・完全なインターネット標準、Best Current Practice、その他IANA割当を求めるRFCに記された基準と手順に従って、プロトコルパラメーターを割り当て、登録する。基準がない場合や文書が曖昧な場合は、IESGが別途指示しない限り、従来の割当慣行を続ける。疑義や技術的な紛争があれば、IANAはIESGに技術的な指針を求め、その指針に従う。必要に応じてIESGは専門家を任命できる。欠けている基準はIETFとともに整備し、IESGの指示後に採用する、とも記されている。
意見がIANAとIESGの間で割れた場合、第4.2節はIABを次の審査段階に置き、その決定を覚書上で最終とする。第4.5節は申請者側の経路を定める。IANAはオンラインの申請手段を用意し、適用可能な技術要件に照らして速やかに割当を実行するか、拒否する。拒否は正当な技術的理由に限られる。IETFの活動によって作られたレジストリーで拒否された場合、IESG、続いてIABに異議を申し立てられる。これはレビューの経路を定める条文であって、個別の拒否や申立てが実際にあったと報告するものではない。
第4.4節は、現在の割当情報と割当先の連絡先をオンラインで無料公開するよう求める。RFC Editor がRFCに掲載した割当は、この公開要件を満たす扱いとなる。公開された登録値は、実装者が適用中の値を確認する手掛かりになる。ただし、ある値が載っていることは、別の申請の承認や、各システムでの実装まで証明しない。
IANAには技術要件の議論に入る経路もある。第4.6節は、IETFが指定する委員会への無投票の連絡席と、割当要件に関する議論への参加を認める。第4.7節は、IETF Last Call の文書を確認し、懸念をIESGへ伝える役割を定める。運用側の観察を標準化の検討に届ける仕組みだが、基準を定める権限をそのままIANAに移すものではない。
第5節はIRTF向けに手続きを移し替える。研究タスクフォースに主として関係するパラメーターには第4節を適用し、IETFとIESGの箇所をそれぞれIRTFとInternet Research Steering Group(IRSG)に読み替える。どちらの領域か判断できない場合はIABが決める。IETFの標準化とIRTFの研究という異なる経路を、単一の運用者の下でも区別する設計である。
第4.3節は、その区別が必要な理由を示す。ドメイン名やIPアドレスブロックの割当に伴う政策問題は対象外。一方、逆引きDNS用のドメイン名、マルチキャストやエニーキャスト用の専用ブロック、実験的割当は、政策問題と扱われない限り第4節の対象に残る。それらについてICANNの政策が遵守を妨げる場合、ICANNはIETFに通知し、IETFは第2節の終了権を行使できる。すべての名前やアドレスを除外したのではなく、技術判断と政策判断の境界を記した条文である。
2011年のRFC 6220は、その後のIETFプロトコルパラメーター・レジストリー運用者の役割を説明し、運用者への委任後もIETFが管理責任を保持すると述べる。役割を比較する資料にはなるが、2000年の全取り決めがその後不変だったことや、特定の割当がどう処理されたかを証明するものではない。RFC 2860 が示すのは、技術的な基準、公開、指示、申立て、そして範囲外の問いである。
出典
一次資料は RFC 2860, Memorandum of Understanding Concerning the Technical Work of the IANA、特に第1〜5節。後年の運用者の役割は RFC 6220 を参照。
会員向け解説
プロフィールの詳細
適切な会員レベルでログインすると、解説全文と出典メモをご覧いただけます。
Strategic Circle 限定
Strategic Circle
すべての読者に公開されています。参加してログインすると プロフィール解説 を閲覧できます。
Strategic Circle に参加Leadership Alliance 会員限定
Leadership Alliance
対象となる IP 資産の所有者・管理者向けです。ログインすると Leadership Alliance の解説を閲覧できます。
Leadership Alliance に参加

