要約
- NEDOはNTT Innovative Devicesが主導する4社提案を採択し、光チップレットの量産技術と試作ラインを評価する。
- 発表された10倍超の生産性は目標であり、工場の実績やAI計算能力の増加を示すものではない。
10月20日のNTT発表で最も重要なのは、まだ実現していない動詞だ。4社は製造技術を確立しようとしている。NTT Innovative Devices、日本セミコンダクター、古河電気工業、新光電気工業が光チップレットの製造に取り組み、NTTは業界連携とサプライチェーン形成を助言する。光デバイス、シリコンフォトニクス、試験、光接続、先端パッケージングをつなぎ、将来の商用生産を見据えたパイロットラインを構築・評価する計画だ。
焦点は技術の説明よりも、その工場にある。光チップレットは光集積回路と電子集積回路を高密度実装し、処理チップ間の信号を電気ではなく光で運ぶ。帯域を増やし、通信電力を抑える可能性がある。しかしデータセンター運営者が必要とするのは可能性ではない。ロットが変わっても仕様を満たし、システム認証を通り、周辺パッケージと組み合わさり、必要な時に補充できる製品だ。
NTTは、現在の研究開発段階の工程に比べ、製造生産性を10倍超にすることを目指すと説明した。NEDOの事業資料には別途、研究開発開始時点と比べて製造スループットを少なくとも10倍にする目標と、製造量当たりの電力を少なくとも50%減らす目標がある。これらは製造工程の指標だ。デバイス側の要求である帯域密度1 Tb/s/mm以上、開発開始時の同等技術・製品に対する通信量当たり電力30%以上削減とは分けなければならない。いずれも今回の発表に記された達成結果ではない。
同じ「10倍」で生産量、通信性能、データセンター容量を混同しないことが重要だ。何を数えるのか、どの工程を基準にするのか、速度を上げても歩留まりと検査品質を維持できるのかを明示する必要がある。パイロットラインの価値は、目標の再掲ではなく、条件をそろえた繰り返し運転でそれを示すことにある。公表資料には設備の場所、実際の開始日、助成額、能力、歩留まり、単価、顧客の購入約束はない。NEDOは研究開発の開始から原則5年以内としているが、起算日はまだ示されていない。
NEDOによると、この公募への提案は1件で、実施体制が決まった。この記録から分かるのは採択までであり、審査の詳細や将来の商業競争力までは分からない。現在確認できるのは選定と作業計画であって、出荷可能な量産能力ではない。
各社の分担を見ると、工程間の責任が重要になる。NTT Innovative Devicesが主導し、日本セミコンダクターは異種材料集積向けシリコンフォトニクス、古河電工は化合物半導体の光デバイス、新光電気工業はパッケージングと工程内検査を担当する。NTTはアドバイザーだ。歩留まり、手戻り、認証、障害時の責任は各社の担当範囲よりその接点に現れやすい。各社の部品が合格でも、完成品の歩留まりを引き受ける主体がいなければ、買い手にとって供給の信頼性は得られない。
AIインフラの計画担当者に必要なのは、今のところ導入予測ではなく確認項目である。スループットの分母、繰り返し運転の分布、歩留まり、手戻り、工程内検査の範囲、良品一個当たりの電力を尋ねたい。さらにシステムインテグレーターがどのように認証し、パッケージングや試験が新たな制約にならないかを確認する。期待される相互接続技術が、製造可能な供給網に変わって初めてこの計画は意味を持つ。実測記録が出るまでは、産業上の選択肢はあるが、供給能力はまだ証明されていない。
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