要点

  • CRTCは卸アクセスを利用する地域事業者に、提供地域別の顧客数と新設無線設備、設備投資額、今後の建設計画を照会した。回答の到着期限は2026年11月13日。
  • 現行制度で卸提供が義務付けられるのは2030年5月9日まで。CRTCが選んだのは投資額のノルマではなく、期限によって自前網の整備を促す仕組みだった。

鉄塔が増えなくても、通信網は広がる。既存の共用鉄塔に地域事業者が無線設備を設置する。それも、カナダの規制機関CRTCが今回数えようとしている拡張に含まれる。遠くから眺めた景色だけでは、競争の進み具合は分からない。

設備を持つ地域事業者向けのMVNO制度は、順序を変える試みだ。新たな地域に自前網を整え終わるまで待たず、既存大手の網を卸利用してサービスを売れるようにする。先に顧客を得て、その後の設備整備につなげる。制度が狙うのは、他社の網を借りる選択肢を増やすことだけではない。

ただし、時計は動いている。現行の卸提供義務は2030年5月9日に終わる。これは、その日にすべての商用契約や携帯サービスを打ち切るという意味ではない。それでも、期限後に顧客をどの網で支えるかは、地域事業者が避けて通れない問いとなる。

契約書の次に見るもの

CRTCの担当部局が出した10月13日付の照会書は、まず契約を確認する。Bell Mobility、Rogers、TELUS、SaskTelには、地域事業者との契約一覧、開始・終了日、契約書の写しを求めた。4社はいずれも卸提供側の既存事業者だが、制度上、全国事業者3社とSaskTelは区別されている。「全国大手4社」とまとめるのは正確でない。

一方、Cogeco、Eastlink、Iristel、そしてVideotronとFreedomを代表するQuebecorには、契約後の実態を問う。卸アクセスで小売サービスを提供しているTier 4周波数区域を挙げ、区域ごとの最新顧客数と、利用開始後に追加した無線アクセス網のサイト数を示すよう求めている。共用鉄塔への設備設置も、このサイト数に含まれる。

さらに、対象となる新規区域への拡張に伴う設備投資の総額を照会した。実額がすぐに得られなければ最善の推計でもよい。区域ごとに監査済みの投資額を出せ、と書かれているわけではない。回答時点から2030年5月9日までに計画する追加サイト数も、完成済みの設備とは分けて尋ねている。

顧客が増えたこと、設備が増えたこと、資金を投じたこと。互いに関係はあっても、同じ成果ではない。契約一覧だけでは見えなかった差が、ここでようやく表に出る。

投資ノルマを設けなかった理由

そもそも、この制度は誰にでも再販を認めるものではない。2022年の決定が示す対象には、カナダ国内に無線アクセス網とコア網を持ち、無線事業者として登録され、小売サービスを商用提供する、といった条件がある。既に設備を持つ地域事業者が、別の地域へ進むための足場である。

CRTCは2021年の政策決定、第383~388項で投資目標の設定を検討し、採用しなかった。建設を促すだけの金額を求めれば、小規模事業者の財務を圧迫しかねないからだ。ISEDが周波数免許に課す別の整備要件までなくなったわけではない。

代わりに置いたのが、期間制限と毎年の進捗報告だった。2023年5月9日の料金条件確定を起点に7年間。今回の照会は、その期間が半ばに近づく段階で契約、顧客、設備をまとめて見直す機会になる。

したがって、サイト数が少なければ検証すべき問題にはなるが、直ちにCRTCの投資ノルマ違反とはいえない。多ければ成功の証明になるとも限らない。制度がなくても建設された設備があるかもしれず、今回の照会書だけで因果関係まで確定することはできない。

報告を減らす議論も同時に進む

ここで少し紛らわしい動きがある。CRTCは10月6日に始めた意見募集で、MVNO制度の独立した進捗報告を引き続き求める必要があるかも尋ねている。情報を追加で求めながら、報告をなくすのか。

理由は第17項にある。制度の推移を追うための情報は、Data Collection Systemですでに毎年集めており、重複が生じているという。監督の終了を決めたのではない。意見提出は11月20日、返信意見は2027年1月22日までで、今回の照会とは別の手続きだ。

照会への回答は11月13日必着。機密扱いを求める場合には理由と公開用の編集版が必要だが、すべての財務数値が公開されるとは限らない。照会書自体にも、実際の顧客数や建設実績、違反認定はまだない。

見るべきものは、新しい鉄塔が何本立ったかだけではない。借りた網で始めた商売が、期限の先でも競争を支えられるか。その答えは、これから提出される数字をどうつなぐかにかかっている。

2026年10月25日更新:卸提供側4社の分類、投資額の照会範囲、CRTCが投資ノルマを設けなかった経緯、報告重複をめぐる意見募集の説明を修正した。元のURLと公開日は維持している。