要約

  • 一括移管で移るのはレジストリにおけるスポンサリング関係と顧客対応であり、登録者のドメイン所有権が売買・裁定されるわけではない。
  • ICANNの承認・選定は、移管速度、サポート言語、更新価格、再移管の実用性を左右する。選定時の約束と移管後の実績を結ぶ記録が必要だ。

データがあっても、まだ運用者はいない

2013年版のDe-Accredited Registrar Transition Procedureは、契約終了が確定する前に登録データの可用性を確認し、削除を避けるためにレジストリと連携する流れを示す。しかし、データが存在することと、利用者が更新や問い合わせを行えることは別である。

次に必要なのは、該当TLDで有効なRegistry-Registrar Agreementを持ち、認定済みで実際に稼働しているレジストラだ。レジストリはスポンサリング・レジストラを変更し、受け入れ側がアカウント、更新、サポートを担う。登録者の権利関係そのものをICANNが新たに作るわけではない。

協力的な提案とICANNの選定

終了するレジストラが協力する場合、後継候補を提案できる。ICANNは、候補の状態、運用経験、関係会社、ルール回避のおそれ、旧レジストラの継続関与、未履行義務などを考慮し、承認、条件付き承認、拒否を行う。

協力がない場合、または候補が認められない場合、ICANNが選ぶ。原則として一社への一括移管が好まれるのは、通知と処理を単純化するためだ。ただし、一社がすべてのTLDを扱えないなら複数社が必要になる。

ここで付与されるのはサービスを担う地位であって、ドメイン名の権原ではない。顧客ポートフォリオへの支払いがあっても、登録者の名前を買った証拠にはならない。

フルプロセスか、ファストトラックか

2013年手続は、1,000件を超える登録、信頼できるデータ、少数にとどまらない登録者、実現可能なポートフォリオ価値、緊急性の低さをフルプロセス寄りの条件として挙げる。規模が小さい、データが不安定、複数TLDに薄く分散している、経済性が悪い、時間がない場合は迅速な選定が合理的になり得る。これは2013年文書の設計であり、2026年に新設された基準と書くべきではない。

2023年の公開された空欄のExpression of Interestは、サポート言語と窓口、データ受領からレジストリ処理開始までの日数、最初の.com更新価格、経験、手数料、移管名一件当たりの支払い意思を尋ねる。候補を得点区分に分け、最良区分内は同順位と扱う。

空欄の様式から特定候補の入札内容は分からない。それでも、選定が単なるファイル配送ではなく、サービス能力、価格、速度、商業的価値を含む判断だとは分かる。

利用者にとっての完了条件

一括移管に利用者の手数料はなく、自動的に一年延長されることもない。後にTransfer Policyに従って別のレジストラへ移る権利は残るが、許容される60日間の拒否と期限切れが重なると、一時的に受け入れ側での更新が必要になる。

迅速な一社選定には、削除を防ぎ、更新とサポートを早く戻せるという強い理由がある。ただし、速い判断はそれ自体で正しさを証明しない。予定時間と実績時間を比較できなければ、継続性はレジストリ側の処理完了に縮小されてしまう。

出典