要約
- ICANNの説明責任制度は、取締役会の決定を拒否する制度、再考請求、独立審査という異なる経路に分かれており、各経路は同じ救済を提供しない。
- Empowered Communityの権限は、五つのDecisional Participantを通じて、通知、請願、投票、認証などの手続に従って行使される。一般的な本案上訴ではない。
異議申立ての「入口」を分ける
ICANNの付属定款は、取締役会、Empowered Community、再考請求、独立審査などの説明責任制度を定める中核的な統治文書である。Article 4は再考請求と独立審査を扱い、Article 6はEmpowered Communityと、その特定の統治行為に関する権限を扱う。どの制度が適用されるかによって、必要な通知、期限、投票の閾値、対象となる決定が変わる。ICANN付属定款
ここで最初に区別すべきなのは、「決定を拒否する権限」と「決定を再検討させる権利」である。Empowered Communityの制度は、付属定款が指定する一部の取締役会決定やFundamental Bylawsの変更などについて、承認または拒否を行う制度である。一方、再考請求は、ICANNのスタッフまたは取締役会の行為・不作為によって実質的な影響を受けた個人または法人が、定められた要件の下で請求を提出する手続である。後者は、あらゆる政策判断について本案を争う一般的な上訴ではない。Empowered Community 再考請求
独立審査も別の制度である。対象となる取締役会または委員会の行為・不作為がICANNの定款または付属定款と整合しないと主張する場合、独立した審査パネルが判断する。しかし、誰でも、いつでも、どのような不満でも持ち込めるわけではない。資格、提出期限、対象範囲、救済には制限がある。独立審査プロセス
Empowered Communityは「直接投票」ではない
Empowered Communityは、Supporting OrganizationとAdvisory Committeeを代表する五つのDecisional Participantによって形成される法的主体である。その権限は、世界のマルチステークホルダー・コミュニティの利益を代表するものとして設計されているが、無制限の直接参加型投票ではない。Empowered Communityの権限
制度上の力は、対象となる決定と手続に結び付いている。付属定款が指定する取締役会決定の拒否、Fundamental Bylawsの変更の承認または拒否、一定の場合の取締役の解任、取締役会全体のリコール、認められた検査・調査の開始は、同じ請願や同じ投票で処理される一つの救済ではない。権限ごとに、開始条件と結果が違う。Empowered Communityの権限 ICANN 2016年付属定款
手続は事務処理ではなく、アクセス条件である
Empowered Communityの行政手続は、通知、請願、投票、認証、決定の伝達を定め、Empowered Community Administration、Decisional Participant、その他のICANN機関の役割を分けている。したがって、実体的な異議があるだけでは権限行使に至らない。定められた形式、時間、投票、認証の条件を満たす必要がある。Empowered Community行政手続
再考請求にも同様の構造がある。申立人の資格、提出期限、要求される情報、対象外となる事項が入口を限定する。請求を審査するBoard Accountability Mechanisms Committeeは取締役会に勧告を行うが、制度上の正式な措置を取る主体と、請求を提出する主体は同じではない。再考請求
歴史的な制度と現在の制度を混同しない
2016年の付属定款は、移行後の説明責任制度、Empowered Community、強化された審査の枠組みを示す歴史的な基準点である。2012年の付属定款には再考請求と取締役会レベルの審査が含まれていたが、移行後のEmpowered Community構造と同一視してはならない。ICANN 2016年付属定款 ICANN 2012年付属定款
現在の紛争を評価する場合、適用される時点の付属定款と手続規則が決定的である。過去のページが制度の成立過程を説明していても、現在の期限、例外、閾値、救済を自動的に証明するものではない。この区別は、制度の存在を確認することと、特定の申立てが成功することを予測することの違いでもある。
救済が「変更」「停止」「審査」のどれかを確認する
Empowered Communityの特定の権限は、対象となる取締役会の行為を拒否または制約する効果を持ち得る。しかし、どの手続も、異議が提出された瞬間に決定を自動停止するとは限らない。再考請求についても、制度の目的は請求の対象となる行為を定められた手続で再検討することであり、あらゆる決定を本案から覆す一般的な上訴を提供することではない。再考請求
独立審査では、独立パネルが付属定款または定款との整合性に関する主張を検討する。その判断の効果と、その後に取締役会またはコミュニティが取り得る措置は、適用される付属定款と手続規則によって決まる。したがって、「独立した審査がある」ことから、直ちに決定の無効、停止、または自動的な差し戻しを導くことはできない。独立審査プロセス
この制度配置が示す実務上の帰結は限定的だが重要である。ICANNには複数の説明責任経路がある。しかし、異議を申し立てる人が、最も強い救済を自由に選択できるわけではない。対象となる決定、申立人の資格、期限、通知、投票、審査範囲、そして求められる結果が、利用できる経路を先に決める。
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