要点

  • ICANN理事会は、最高経営責任者らにERP提供会社との契約と支払いを認めた。公開された決議では契約形態、供給元、金額の上限が伏せられている。
  • 財務委員会は、更新後の年間価格が緩やかに上がり2027会計年度の予算に計上済みと聞いたうえで、契約期間全体の上昇率の計算を確認するよう求めた。

会計を見やすくするソフトを買う決議が、読者には読みにくい。10月22日のICANN理事会決議は、ERP提供会社との契約締結と支払いを最高経営責任者らに認めた。しかし公開版の契約形態、供給元、金額上限には黒塗りがある。交渉上の秘密として扱い、解除の時期は最高経営責任者が決める。

ERPは地味な略語だが、ICANNはこの仕組みを世界各地の報告、分析、内部統制を一つの記録基盤で支えるものと説明する。どの部署が何を使い、数字が合うかを知るための土台だ。理事会によると費用は2027会計年度の事業計画と予算に織り込み済み。一定の権限額を超える一社への大きな支払いは理事会が審査する、という契約・支出方針も承認理由に挙げた。その規模の決定でありながら、公表された紙から金額を読み取ることはできない。

10月1日の財務委員会議事録には、値付けを確かめた跡が残る。委員は市場比較と交渉について話し合った。職員は更新後の年間価格を緩やかな上昇と説明し、おおむね物価上昇に沿い、予算にも入っていると述べた。委員会は契約期間全体の上昇率をどう算出したか確認を求め、今後の大型契約資料には実施した精査の説明を増やすよう提案した。調達手続きが守られたと判断して理事会承認を勧めている。

内部では数字が問われた。外部には供給元、上限、契約期間が伏せられ、値上がり率を比べる材料もそろわない。ERPを使って組織内の記録を整えるなら、その調達の記録も交渉が終わった時点でつなぎ直せるはずだ。次に見るべきものは、黒塗りを外した条件と財務委員会が求めた計算の説明である。

黒塗りは交渉中の道具だ。最終契約ができても残るなら、説明責任の空白になる。