要約

  • 現行ICP-2は、新しいRIRに地域の支持、ボトムアップな政策形成、中立性、技術力、財務的自立、監査可能な記録を求めている。
  • 第2版は運営継続や承認取消しまで扱う草案だが、既存RIRが新規候補を審査する構造には、規律と既得権保護の両方の可能性がある。

承認を得る前の組織には、すでに成熟した組織のように振る舞うことが求められる。職員を雇い、システムを用意し、広い地域の支持を記録し、財源と継続計画を示す。しかし正式な役割と会員収入は、原則として承認後に得られる。この時間のずれこそ、ICP-2改革の経済的な核心である。

2001年6月、ICANN理事会はICP-2を新RIR承認の枠組みとして受け入れた。対象地域は大規模で他のRIRと重複せず、地域内のLIRから広い支持を得なければならない。政策形成は公開、透明、ボトムアップで、公平な代表性を持つこと。組織は中立で、技術能力、持続可能な資金、記録保存、機密保護を備えること。番号資源の登録や逆引きDNSの継続性を考えれば、軽い条件にはできない。

一方、審査項目が既存RIRの規模や履歴を暗黙の基準にすると、候補者は不可能に近い証明を迫られる。新組織は運営実績をまだ持たず、移行前の資源保有者に支持を求めなければならない。安全性の確認と、現状を優遇する参入障壁は、同じ書類の形を取ることがある。

第2版草案は、この問題を手続として可視化しようとする。対象を承認だけでなく、継続的な義務、監査、継続性、承認取消しへ広げた。候補の審査では、各RIRが独立して判断し、勧告と理由を公表する。最初は全RIRの一致を求めるが、反対が一RIRだけ残った場合には独立第三者による再検討の道がある。重大な事実誤認や説明不足が認定され、候補が要件を満たすなら、その反対は除外され得る。

公表理由と外部審査は、拒否権に説明コストを課す。これは重要な改善である。しかし、既存RIRは、サービス地域やNRO内の力関係を変えるかもしれない候補を審査する当事者でもある。手続が詳しくなっても、利害は消えない。審査者の利益相反、第三者の選任、費用負担、評価指標を公開して初めて規律になる。

LACNICは、仮想的な競争相手がいるから重要なのではない。閉じた資料群には、そのような申請やLACNICの違反を示すものはない。重要なのは制度構造であり、地域的正統性が会員、開かれた政策参加、地域のガバナンスを通じて示される一方、承認と承認取消しは世界的に調整される。現在のLACNICはウルグアイに本部を置く会員制の非営利組織で、政策プロセスは誰にでも開かれている。公開討議、フォーラム、コンセンサス判断、ラストコール、理事会の承認、異議申立てが制度化されている。

この経験は、地域適応が単なる例外ではないことを示す。世界共通の結果として、安定性、正確性、中立性、透明性は必要だ。同時に、会員が地域の言語や制度環境で政策を作る余地も必要である。第2版草案は、RIRとICANNが共同で別個の実施手続を策定することを想定している。

ただし「現状より実質的に改善する」という候補要件は、慎重に定義すべきである。不要な分断を防ぐ一方、承認後にしか観察できない便益を承認前に証明させる恐れがある。比較対象、測定期間、指標、証明責任が曖昧なら、現状だけが自動的に合格する。

2026年7月28日、ASO ACはRecommended DraftをNRO ECに提出した。公式発表によれば、NRO ECは最終版に向けた道筋を検討し、本文、理由書、第2版との比較は別途公表される。発表時点で本文は示されず、最終採択も確認されていない。したがって、第2版の条項を現行ルールとして扱うことはできない。

ネットワーク権利の考え方は、ここでは規範的な点検項目に限る。番号資源に対する権限は、理解可能で、異議を申し立てられ、利用者の継続性に結び付くべきだという視点である。ICANNやLACNICの公式方針でも、事実の根拠でもない。

良い改革は候補者だけに証明を求めない。候補は能力と支持を示し、既存RIRは反対理由を示し、最終決定者はその門が利用者を守るためにあることを示す。証拠負担が対称になるほど、承認基準は堀ではなく安全装置に近づく。

出典

ファクトパケットの補足資料