要約

  • 2019年11月2日付のDraft 1は、従来は短く不完全だったPDWG議長の選出方法を、候補資格、電子投票、日程、2年の交互任期、連続任期の上限、不正対応、異議、欠員処理まで含む検証可能な手順へ変えようとした。
  • 有権者を「選挙手続の開始前にRPDリストへ6か月以上登録していた者」としたことは境界を設ける試みだった。しかし、リストの一つのアカウントが一人の確認済み自然人を示すことも、その人がAFRINIC会員や事業者から権限を託されたことも、アフリカの利用者・運用者を代表することも証明しなかった。
  • Draft 1は、受理可能な候補者の公表、候補者の失格、異議の証明評価、結果の批准、不成立時や欠員時の暫定任命、最終上訴をAFRINIC Boardの周りに集めた。委員会への委任は可能だったが、審査機能の独立性や利益相反の完全な設計は示されなかった。
  • AFRINIC-31では、電子投票、本人確認、複数アカウント、6か月という基準、対面投票の喪失、候補者の紹介、再立候補、ジェンダー平等などが問題になった。共同議長は2019年12月20日に合意なしとし、Draft 1をリストへ戻した。採択、実施、拘束力のある規則化を示す記録はない。
  • 同時代の4ページPDFは文書番号をAFPUB-2019-GEN-003-DRAFT01と記す一方、現在のアーカイブ、会議録、年次報告書の系譜は同じ2019年11月2日版をAFPUB-2019-GEN-007-DRAFT01と呼ぶ。封印された公開記録は、いつ、なぜ番号が変わったかを説明していないため、両方を残して読む必要がある。
  • より良い選挙は、議長に狭い内部手続上の委任を与え、判断の受容可能性を高められる。しかし、AFRINICはモーリシャスで設立された民間の技術的記録管理・一意性調整機関であり、選挙を精緻にしても、立法、規制、警察、訴追、処罰、没収、主権、公法上の裁判権は生まれない。

曖昧だった選出を、読める手続へ

Draft 1の出発点は堅実だった。PDWGの文書には、議長の選び方があまりに短く記され、候補者に何を求めるか、選挙をどの順で進めるか、任期途中の空席をどう扱うかが十分に書かれていない――提案者のJordi Palet MartinezとSouad Abidiは、その欠落を問題にした。2019年11月2日付、version 1.0の文書は、Consolidated Policy Manual(CPM)のarticle 3.0を改めるものとして作られ、11月5日にRPDリストへ4ページの添付文書とともに投稿された。

この問題設定は軽く扱えない。手順が明文化されていなければ、候補資格はその場で動き、日程は参加者の予測を外れ、異議がどこへ届くかも、欠員を誰が埋めるかも分からない。議長職が無給の奉仕職であっても、制度上の影響が小さいとは限らない。PDWG議長は討議を組織し、異論が解消されたかを評価し、粗い合意があるかを宣言し、提案がlast callへ進むのか、議論へ戻るのかという手続上の状態に関与する。議長が法律を作るわけではない。それでも、手続の時間と方向を扱う者の選出に予見可能性がなければ、参加者は判断そのものだけでなく、判断者の地位から争わなければならなくなる。

Draft 1の価値は、まさにこの予見可能性を増やそうとした点にある。候補者と投票者を区別し、告示から結果までのカレンダーを置き、電子投票の期間を定め、同票に近い場合のrunoff、選挙後の異議、Boardによる批准、欠員時の代替までを一つの設計に入れた。即興より規則を選んだのである。その選択自体は正しい。

しかし、選挙制度の品質は、条文が増えたかどうかだけでは決まらない。重要なのは、その条文が権限の連鎖を人間までたどれるようにしたかである。誰が有権者名簿に入り、同じ人が複数の資格で重複せず、一票が本人の名で記録され、異議を出したときに別の判断者が調べ、結果がどの票数から導かれたのかを後から確かめられるか。Draft 1は有権者の外周を描いたが、その内側にいる人を一意に確かめる設計までは描かなかった。

同じ文書に残る二つの番号

この提案を読む前に、記録上の小さくない食い違いを固定しておく必要がある。2019年11月5日のRPD投稿に付された同時代のPDFは、表題部とrevision historyの双方で、自身をAFPUB-2019-GEN-003-DRAFT01と記している。ところが、AFRINICが現在示すDraft 2のrevision history、AFRINIC-31の議事録、2019年年次報告書、後年のアーカイブは、2019年11月2日のDraft 1をAFPUB-2019-GEN-007-DRAFT01として扱う。

両者を一つの番号に丸めてはいけない。公開記録から確認できる安全な言い方は、同時代の添付がGEN-003を名乗り、後年および現在のアーカイブ系統が同じ日付の版をGEN-007と呼ぶ、というところまでである。番号が単純な誤記だったのか、付番が後に整理されたのか、別の管理事情があったのかは分からない。利用できる記録は、変更の時点も理由も立証していない。

この不一致は、Draft 1の条項の中身を無効にするものではない。同時に、記録管理上の差異を無言で修復してよい理由にもならない。制度を監査する際、識別子は版、日付、議論、決定を結び付ける索引になる。索引が二つあるなら、その事実自体を読者に開示し、各資料が何を名乗っているかを保持するのが先である。本稿では、選定された現行アーカイブ上の識別子としてGEN-007を使いながら、原本PDFのGEN-003を併記する。

まず候補者をどう作るか

Draft 1は、議長候補を単に「関心のある参加者」とはしなかった。AFRINIC staffは議長になれない。さらに、PDPの段階に直接関わる他の役割と議長職は原則として両立せず、そうした衝突がある場合には、指名時に、当選したらどのように解消するのかを説明する必要があった。議長は任意に担う無給の職であるともされた。

候補者とAFRINIC会員との接続も設けられた。候補になるには、AFRINIC memberのmembership contactであるか、AFRINIC memberの二人のmembership contactから指名されることが求められた。加えて、RPDリストに少なくとも6か月在籍していなければならず、経歴、コミュニティへの貢献、参加状況、経験、当選した場合に何を達成したいかを提示することになっていた。

この組み合わせには理解できる狙いがある。議長は討論の言葉だけでなく、PDPの進み方と運用上の含意を読まなければならない。リストに入ったばかりの人物ではなく、ある程度の期間、議論に触れてきた人物を求めること。会員との接点を通じて、全く無関係な立候補を防ぐこと。候補者自身の経験と目標を事前に読めるようにすること。いずれも、能力と説明責任を可視化する方向に働く。

二人の議長が原則として同じ国から出ないという地理的な条件も置かれた。ほかに受理可能な候補者がいない場合には例外を認め、同じ国の二人になったときは、次の選挙で一方が退くための仕組みを用意した。この条項も、多様性を無視しないという意図を示している。ただし、国籍や居住国の違いが、それだけで運用者、会員、利用者、言語圏、規模の異なる事業者の利害を代表するわけではない。地理的な偏りを抑える補助線と、代表権の根拠は別物である。

任期設計も即興を避けていた。議長は交互にずれる2年任期を務め、連続して再選できるのは一度まで、その後ふたたび立候補するには少なくとも1年の間隔を置く。二つの席が同時に空になるリスクを抑え、経験の継承と定期的な交代を両立させようとした形である。長く在任することで手続知識が蓄積する一方、同じ判断様式が固定する危険もある。交互任期と連続任期制限は、その両方に対する穏当な答えだった。

ここまでの候補者設計は、Draft 1の強い部分である。だが、適格基準が書かれたことと、その適用が客観的に検証できることは同じではない。後述するように、誰を「acceptable candidate」として公表するか、追加情報によって誰を失格とするかという入口はAFRINIC側、とりわけBoardの判断と結び付けられた。候補要件の明文化が本当に効くには、要件ごとの証明方法、失格理由の符号化、判断者の利益相反、忌避、再審の経路まで必要になる。

六か月の登録は、何を証明するのか

Draft 1は、PDWGの参加者一般と投票者を同一にはしなかった。PDWGについては、オンラインまたは対面で参加する誰もがworking groupの一部であるという広い定義を維持した一方、議長選挙で投票できる者を、選挙手続が始まる前にRPDリストへ6か月以上登録していた者に絞った。

これは、会議当日に大勢を連れて来て票を動かすような事態を避け、投票資格を継続的な討議空間への接触と結び付けようとする試みだったと評価できる。出張費を負担できる者だけに投票を限らず、電子的な参加経路を使う点にも合理性がある。リスト在籍期間という条件は、少なくとも選挙の直前に作られた資格と、それ以前から存在する資格を区別する。

けれども、「境界がある」ことと「境界が正しい」ことは違う。リストのアカウントは、人間の本人確認そのものではない。一つのアドレスが一人の自然人にだけ結び付くとは限らず、一人が複数のアドレスを持たないとも限らない。共有アドレス、役割アカウント、転送、組織の変更、長期間使われていない登録などを、Draft 1がどう扱うかは示されていない。公開された有権者名簿、登録者数、重複排除の方法、訂正期間も記されていなかった。

6か月という経過時間も、活動を直接は証明しない。毎日議論を読み書きした参加者も、登録したまま一度も発言しなかった者も、時間条件だけなら同じ資格を得る可能性がある。発言回数を資格にすればよいという単純な話でもない。発言数は熟慮や専門性を測らず、言語、時間帯、職務負担による差を増幅し得るからだ。大切なのは、list tenure、activity、identity、authorityを別々のテストとして定義することである。Draft 1は最初の一つを置いたが、残る三つを十分には制度化しなかった。

さらに、候補者にはmembership contactとの接続を求めたのに、有権者について同じような会員権限を要求したのかは明らかでない。Draft 1の文言からは、個人のリスト登録だけで投票できるのか、その人がAFRINIC memberから投票権限を託されている必要があるのかを確定できない。仮に個人として投票するなら、それはリスト参加者による内部フォーラムの選挙である。仮に組織の権限を背負って投票するなら、どの組織が誰を指定し、複数の職員が同じ組織を代表できるのかという別の記録が要る。二つを曖昧に混ぜれば、票が個人の判断なのか、会員組織の委任なのかを後から説明できない。

そして最も大きな境界がある。RPDリストの購読者は、アフリカの全ネットワーク運用者でも、全AFRINIC会員でも、全インターネット利用者でもない。AFRINICのサービス地域は政治共同体ではなく、メーリングリストは議会ではない。技術議論への参加者は、政策によって影響を受けるstakeholderにはなり得るが、影響を受けることだけで他者のprincipal、すなわち権限の委任者になるわけではない。6か月の境界は、限定された私的フォーラムの内部資格としてなら意味を持つ。大陸を代表する同意の記録として読むことはできない。

一人一票という願いと、確認可能な一票の差

Draft 1は投票を電子化し、「可能な限り」各投票者が一票だけを投じることを確保する仕組みを想定した。この言い回しは、重複投票の問題を認識していたことを示す。一方で、それをどう実現するかは書いていない。使用する投票platform、本人確認の強度、credentialの発行、紛失や誤登録の訂正、duplicateの検知、privacyの保護、監査主体、ログの保存と公開範囲は不明である。

電子投票それ自体は欠点ではない。むしろ、対面会議への渡航、査証、費用、時間帯、会場収容という制約を弱め、PPMの前に投票を完了させられる。2019年の提案がこの利点を狙ったと見ることはできる。しかし、紙か電子かという媒体の選択と、権限記録の品質は別の問題だ。電子化すれば自動的に本人確認が強くなるわけでも、集計が公正だと第三者に分かるわけでもない。

監査可能な選挙には、少なくとも四つの記録が要る。第一に、投票開始前に凍結された有権者集合と、その資格に異議を出して訂正を受ける期間。第二に、一人の確認済み自然人を一つの投票credentialへ結び付けた記録。組織を代表する権限があるなら、個人の本人確認とは別にその委任も記す。第三に、発行票、返送票、無効票、重複として排除された票、訂正された票を区別した集計。第四に、投票内容を公開せず、本人が「自分の名で票が受理されたか」を確認できるreceiptである。

現在のNRSの選挙integrityに関する資料が投げかける「自分の名で票が記録されたかを確かめられるか」という問いは、この最後の点をよく表す。それはDraft 1が後年の争いを引き起こしたという証拠ではない。NRS自身もAFRINICからの委任を主張していない。ここで使えるのは因果関係ではなく、権限記録の設計原則である。秘密投票の内容は守りつつ、本人の名義が無断で使われていないか、投じた資格が集計に到達したかを確認する経路があれば、選挙への信頼は人物への信頼から記録への信頼へ移る。

Draft 1の同時代の議論では、まさに複数アカウントと本人確認が論点になった。これは不正があったという意味ではない。設計時点で、リストアカウントをそのまま一意の人間と扱うことの脆弱性が指摘されたという意味である。利用できる資料は、Draft 1の下で実際に選挙が行われたことも、票の操作、fraud、capture、違法行為、具体的損失が発生したことも示していない。制度上のリスクを述べることと、現実の不正を告発することは厳密に分けなければならない。

日程は細かく、計数の核心は空白だった

選挙日程について、Draft 1はかなり具体的だった。現職の任期が終わる三つの完全な月の前、その月の初日にcallを開始し、その月の自然な長さ、すなわち28日から31日のあいだ募集を開く。受理可能な候補者をAFRINICが公表し、その後10日間の情報期間を設ける。候補者に関する確認済みの情報が寄せられれば、Boardによる失格につながり得る。投票は7暦日行い、結果は直ちに告知する。募集、審査、投票、告知の間隔を予め置いたことは、突然の選挙や情報不足を避けるうえで意味がある。

票差が10%未満ならtieと宣言する規則もあった。候補者が二人を超える場合、上位二人による7日間のrunoffを行う。僅差を機械的に勝敗へ変えず、再確認の機会を置く発想は理解できる。ところが、Draft 1は10%の分母を定義していない。首位候補の票数に対する割合なのか、次点の票数なのか、有効投票総数なのか、全有権者数なのかで、tieになる範囲は変わる。これは数学上の飾りではなく、結果を決める規則そのものの空白である。

分母だけではない。投票率を計算するための有権者総数も、誰がいつ有権者rollを確定するかも書かれていない。電子投票のcredentialを何件発行し、何件が返り、どの票を無効または重複としたかを公表する設計も確認できない。結果を「直ちに」発表することは速度を与えるが、説明を与えるとは限らない。迅速な告知と検証可能な集計を両立させるには、発表時に最低限の計数表と適用規則を添える必要がある。

Draft 1は、electoral use of the RPD listに関してcollusionの証拠があれば候補者を失格にできるとし、fraudを示す十分な兆候があれば、影響を受けた候補者の失格、または選挙手続の無効化とやり直しを可能にした。不正対応を規則に入れた点は評価できる。だが、何をcollusionとし、どの程度を「十分な兆候」とし、誰が情報を収集し、候補者が反論する機会をどう保障し、判断理由をどこまで公開するかについて、完全な基準は示されていない。強い救済権限には、強い理由提示と独立した審査が必要である。

入口、出口、上訴が同じ中心へ集まる

Draft 1の制度的な重心はAFRINIC Boardだった。まずAFRINICが受理可能な候補者を公表する。10日間の情報期間に得られた確認情報を踏まえ、Boardは候補者を失格とし得る。投票結果が出た後、communityからの異議は7日以内にBoardへ提出され、Boardがその重要性と証明を評価する。異議がなければ、または異議が受け入れられなければ、Boardはratificationへ進む。そしてBoardはhighest appeal instanceとされた。

結果が批准されなければ、Boardは次のPPMまで暫定議長を任命し、のちの選挙で当初任期の残りだけを埋める。議長の辞任や責務不履行による欠員にも、同じ仕組みを適用する。これによって空席が長引かないという運用上の利点はある。しかし、投票者が選んだ経路が批准で止まったとき、同じ制度中心が暫定的に席を埋めるため、継続性の確保と選挙経路の上書きが隣り合う。

ここで注意すべきなのは、Draft 1が有権者による完全なrecall voteを定めたわけではないことだ。文書が扱ったのは、辞任、責務を果たさない場合、欠員、暫定任命、残任期を埋める選挙である。選挙人が一定数の署名で議長を解任投票に付すような仕組みを読み込んではならない。

BoardはElection CommitteeやNomination Committeeへ機能を委任できるとされた。この余地は、実務を専門化するために役立ち得る。しかし、委任先の名称だけで独立性は成立しない。誰が委員を選び、任期を決め、指示を出し、報告を受け、判断を覆せるのか。候補審査をした者が、同じ候補への異議も評価するのか。Boardの決定に対する上訴を、Board自身が最終的に判断するのか。候補者やBoard memberとの利害関係があるときに、誰が退き、代わりに誰が判断するのか。Draft 1は、これらの分離を完全には示さなかった。

責任を負う主体を特定すること自体は必要である。すべてを「community」に預け、誰も決定責任を取らない仕組みは、透明とは言えない。問題はBoardが関わることそのものではなく、入口の審査、証拠の評価、結果の批准、欠員の補充、最終上訴という性質の異なる機能を、一つの統治中心の周りに置くなら、各判断を縛る客観的基準、理由、忌避、機能分離、外部的な再検討経路が要るということである。Draft 1は責任主体を見えるようにしたが、責任主体をどう監督するかを同じ精度では書かなかった。

異議申立ては、届くだけでは足りない

結果発表後の7日間という異議期間は、選挙を無期限に争わせないための時計を置いた。Boardが異議のsignificanceとproofを見るという点も、単なる不満と結果を変え得る問題を区別しようとするものだった。だが、異議制度の信頼性は、提出先と期限が分かるだけでは完成しない。

まず、有権者は何を証拠として提出できるのか。自分の名義で投票credentialが発行されたが受け取っていない、投票したのにreceiptがない、重複として排除された、rollから誤って外された、といった問題は、それぞれ必要な記録が違う。候補者に関するcollusionやfraudの申立ては、さらに重大である。申立人を保護しながら、相手方に反論の機会を与え、推測と確認済み事実を分けなければならない。

次に、判断理由が必要だ。異議を「重要でない」「証明不十分」とだけ処理しても、同じ基準が別の申立てに使われたかを確認できない。個人情報や投票秘密を露出させず、争点、適用した規則、証拠の種類、判断、救済をreason codeとして公表すれば、次回の参加者は何を整えるべきかを学べる。Draft 1からは、異議の理由や処分が公表されるかを確定できない。

最後に、最終審査者の距離が要る。候補者を受理し、失格させ得る側が、同じ選挙の異議を評価し、批准を行い、最終上訴も受けるなら、実際に公正であっても、判断の独立性を記録から示しにくい。必要なのは、Boardを悪意ある主体とみなすことではない。善意に依存しなくても一貫して働く構造を作ることである。独立したreviewer、限定された審査範囲、短い救済期限、理由の公表があれば、選挙を止め続けることなく訂正可能性を確保できる。

RPDで試された、設計上の弱点

11月5日の投稿後、11月9日から10日にかけてのRPD議論は、Draft 1の抽象的な懸念を具体的な質問へ変えた。Boardが候補者を任命または失格とし、上訴まで扱うことへの疑問。複数アカウントを一人の投票者へどう集約するか。投票者のidentityをどう確かめるか。電子投票だけにすることの利点と脆弱性。国の多様性をどのように考えるか。collusionを何と認定するか。異議への判断が公表されるか。これらは、選挙に不正があったという告発ではなく、規則を実施可能な設計へ近づけるための問いだった。

12月5日、Luandaで開かれたAFRINIC-31では、「Chairs Elections Process」に30分の予定枠が設けられ、Moses SerugoとAbdulkarim Oleyedeが共同議長として記録された。会議録が残す会場およびremoteからの懸念には、e-votingが不正にさらされる可能性、投票者verification、複数account、list tenureだけを投票資格にすること、対面投票を失うこと、候補者presentation、繰り返し立候補できる条件、gender equalityが含まれる。

この並びは、Draft 1が「電子か対面か」という単一争点で止まったのではないことを示す。候補者を誰が絞るか、有権者は誰か、票は誰のものか、候補者を比較する情報は足りるか、任期の継続と多様性をどう両立するかという、選挙の入口から出口までが問われた。とりわけ、6か月のlist subscriptionをunique voter identityと同一視できないという問題と、Boardの複数役割をどのように分けるかという問題は、条文を少し整えるだけでは解けない。

「支持者なし」という記録にも分母が要る

2019年12月20日、PDWG共同議長はno consensusを報告し、提案をリストへ戻した。未解決の問題として電子投票と候補者criteriaを挙げた。AFRINIC-31の会議録は、PPMでこのpolicyを支持した者はいなかったとも記す。

ここでも、記録を越えて断定してはならない。「誰も支持しなかった」という会議録上の記述には、支持者のheadcount、出席者または参加資格者の総数、roll callが添えられていない。したがって、正確に言えるのは、共同議長と会議録が支持なしと記録し、no consensusと判断したことまでである。全参加者の政治的意思を数量的に証明した、という意味には広げられない。

一方で、no consensusという処分は明確だ。Draft 1は採択された規則ではなく、実施された選挙制度でもなく、拘束力のある統治文書でもない。AFRINICの2019年年次報告書は、AFRINIC-31で提示された提案を年末時点で「Under Discussion」と記録した。利用できる資料は、Draft 1に基づいて実際の選挙が行われたことを示さない。

ここから導くべき結論は、「悪い選挙が行われた」ではなく、「提案された選挙設計には解消されていない監査上の問題があり、合意へ至らなかった」である。選挙の実施も不正の発生も立証されていない以上、fraud、manipulation、capture、illegality、bad faith、discrimination、actual harmをDraft 1の結果として語ることはできない。制度分析が扱うのは、権限を与える前に塞ぐべき空白である。

Draft 2は答え合わせではない

2020年8月19日にDraft 2が提出された。さらに、同年8月30日のstaff assessmentは、議長選出をBylawsの下でPDPの外に置くべきではないか、Boardを選挙上訴の最終地点とすることがCPM section 3.5との関係でどうなるか、といった問いを示した。これは、選挙手続と組織統治の継ぎ目が後にも制度上の論点だったことを確認する材料にはなる。

しかし、Draft 2の変更条項や後年のstaffの問いを、Draft 1に遡って書き込んではならない。2019年当時のDraft 1にどの規則があったかは、2019年11月の4ページ文書と同時代の議論で判断する。2020年の文書は別のinstrumentであり、Draft 1に欠けていた内容を「実は含まれていた」と補う資料ではない。2021年の年次報告書がDraft 2をExpiredと記したことも、Draft 1が採択されたという意味にはならない。

時系列を分けることは、単なる史料作法ではない。制度は、ある時点で参加者に提示された選択肢と情報によって評価される。後の改善案を混ぜれば、当時の欠落が見えなくなり、後の批判を当時すでに決着した論点のように扱ってしまう。本稿の対象は、あくまで2019年11月2日付Draft 1の選挙architectureと、同年12月のno-consensus dispositionである。

議長の手続判断が運用コストへ届くまで

なぜ、私的フォーラムの無給の議長を選ぶ規則に、これほど厳密な監査が必要なのか。答えは、議長の権限が公権力だからではない。手続上の判断が、限られていても実務の時間軸に届くからである。

PDWGでは、議長が討議を整序し、異議が対処されたかを見て、rough consensusの有無を判断し、提案の手続状態を動かす。IPv4の希少性、resource transfer、RPKI、WHOIS、fees、complianceに触れる提案であれば、議論の遅れや不確実性は、ネットワーク拡張、登録情報、セキュリティ運用、費用見通しに関する事業者の期待へ影響し得る。議長が市場を規制するわけではないが、提案がいつ明確になるか、どの異議が未解決とされるかは、運用者が待ち、調べ、備える時間を変える。

その費用は均等ではない。何度も会議へ出席し、リストを追い、技術・法務・policyの担当者を置ける組織は、遅延と反復を吸収しやすい。小規模なoperatorや新規参加者は、travel、attention、engineering、legal、monitoringの費用を同じようには負担できない。手続の不確実性が続けば、常連の方が文脈を保持し、新しい参加者は争点の履歴を取り戻すだけで消耗する。

だから、議長に対する監査可能な内部委任は、判断の内容に同意しない参加者にも価値がある。有権者、候補者、票数、異議、理由がたどれれば、判断者個人を信用するかどうかではなく、定められた手続が守られたかを争える。反対に、委任の記録が曖昧なら、正しい判断でさえ「誰がこの人に決めさせたのか」という不信に巻き込まれる。良い選挙は、議長に大きな力を与えるためではなく、狭い仕事を狭いまま、説明可能にするために必要なのである。

最も強い擁護論を正面から置く

Draft 1を公平に評価するなら、その最も強い擁護論を弱めて提示してはいけない。従来の選出文言は不十分で、書面化された手続には明確な必要があった。6か月のlist thresholdは、会議当日の動員に選挙が左右されるのを避け、少なくとも継続的な討議空間と有権者を結ぼうとした。electronic votingは、Luandaへ行けない者、渡航費を払えない者、遠隔地から参加する者にも経路を開く。

候補者のbio、貢献、参加、経験、目標を公開させることは、名前だけの人気投票よりよい。staffの除外とconflictの説明は、職務の混線を減らす。staggered two-year termsは継続性を保ち、one consecutive re-electionという上限と1年の間隔は更新を促す。同じ国から二人を選ばない原則は、地理的な集中を意識している。calendar、fraud response、result notice、objection window、vacancy mechanismは、規則のない裁量より検査しやすい。

さらに、Draft 1は議長がsovereignであるとは主張していない。officeは行政的なものとして扱われていた。したがって、この提案を、AFRINICが公権力を獲得する宣言だったかのように描くのは誤りである。提案者は、私的なpolicy forumの内部役職を、より秩序立って選ぼうとした。その目的には正当な制度的価値がある。

それでも、擁護論は監査上の欠落を消さない。6か月のアカウントは一人の人間を証明せず、electronic votingという語はplatformとauditを説明せず、候補者情報の公開は失格基準の客観性を保証せず、Boardという責任主体の特定は機能分離を保証しない。良い意図を認めたうえで、実施条件を厳密にするのが制度分析の役割である。

Stakeholderは、いつPrincipalになるのか

ここで、選挙の内部的な正当性と、AFRINICの実体的な権限を切り分ける必要がある。Lu Hengが示す統制原則の核心は、影響を受けるstakeholderと、権限を委任するprincipalを同一視しないこと、attendanceをmandateへ読み替えないこと、service regionをpolityと扱わないこと、private coordinationをsovereigntyへ膨らませないことにある。

RPDに参加するoperator、engineer、researcher、civil-society participant、member contactは、議論に重要な知識を持ち込める。提案の技術的な実装リスクを見つけ、異議を保存し、chairがrough consensusを評価するための記録を豊かにする。その意味でPDWGは有用なevidence channelである。しかし、発言、購読、会議出席、沈黙、投票のいずれも、それだけでアフリカの全利用者や全事業者からの委任状にはならない。「community」という語も、境界、分母、本人、権限を示さなければ、誰の同意かを答えない。

この区別は、参加型プロセスを無価値にするものではない。むしろ、その価値を正しい場所に置く。PDWGは、技術的知識と反対意見を集め、実装上の問題を試し、私的な調整手順を改善する場として役立つ。議長選挙は、その場の進行役に内部手続上のmandateを与えられる。だが、そのmandateは、選挙人が誰かを確認できる範囲に限られ、さらに議長職の定められた職務を越えない。

AFRINICは、モーリシャスで設立された民間の技術的bookkeeperであり、Internet numberの一意性を調整する組織である。正確な番号resource記録を維持し、重複登録を防ぎ、service requestを認証し、境界のあるtechnical serviceを運営し、明確な手順を公表し、自らのprivate associationとpolicy forumを管理できる。これらは重要な仕事だ。しかし、sovereign、legislative、regulatory、police、prosecutorial、punitive、confiscatory、public-law adjudicative authorityは持たない。

したがって、仮にDraft 1が完全に監査可能な選挙を設け、圧倒的な参加を得ていたとしても、結果は議長に大陸を統治する権限を与えない。number-resourceの所有権、markets、networks、operatorsに対する公的な命令権も作らない。内部手続のlegitimacyは、私的組織の狭い職務をより受容可能にする。組織の法的・制度的な外周を押し広げるものではない。

LARUSが与えるoperator continuityとaccountabilityの視点も、この境界で意味を持つ。number registryの判断は運用継続へ影響し得るからこそ、記録、理由、訂正経路が要る。他方、その影響の大きさを根拠に、registryをpublic regulatorへ読み替えてはならない。影響が大きい民間調整機関には強い説明責任が必要である、という命題と、影響が大きいから公権力を持つ、という命題は正反対である。

「Community」「Consensus」「Ratification」を分解する

制度文書では、一語が複数の役割を覆うことがある。Draft 1を評価するとき、とりわけcommunity、consensus、ratification、appealを分解して読まなければならない。

Communityは、日常語としては参加者の連帯を示す。選挙法的な意味を持たせるなら、誰が含まれ、誰が除かれ、何人いて、資格がいつ確定し、誰が訂正できるかを定義しなければならない。Draft 1は6か月のRPD list subscriptionによって一つの境界を提案した。だが、unique person、principal authority、representativenessを同時には定義しなかった。よって、ここでのcommunity voteは、特定のprivate list electorateによる内部選挙以上の意味を持たない。

Consensusは、単純多数決とは違い、提案への異議が十分に扱われ、実装可能な合意の方向があるかを判断する手続概念である。だからこそ、判断者は、どの異議をmaterialとみなし、どの回答で解消されたとみなし、なぜ沈黙を賛成と読まなかったかを説明する必要がある。議長を選挙で選んでも、consensus declarationがlegislationになるわけではない。選挙は判断者の内部mandateを整えるが、判断の理由提示を代替しない。

Ratificationは、組織が選挙結果を受け入れ、役職を成立させる内部行為として理解できる。しかし、Boardが批准を拒めるなら、拒否の根拠、証拠、理由、救済、暫定任命の期間を厳しく限定する必要がある。批准という語は、Boardが選挙に公法的な有効性を付与することを意味しない。私的組織の役職を確定するにすぎない。

Appealも同様である。Boardがhighest appeal instanceとされても、それはpublic-law courtになったという意味ではない。内部の不服申立て経路である。だからこそ、その判断に独立性、理由、conflict ruleがなければ、参加者は内部制度の中で訂正を得にくくなる。反対に、独立した内部reviewを用意しても、それが国家の司法権へ変わるわけではない。

もしDraft 1を薄く、強く作り直すなら

望ましい代替は、規則のない議長選出でも、AFRINICを政府のように作り替えることでもない。必要なのは、権限の範囲を広げず、記録の精度を上げる「薄い」内部mandateである。

第一に、投票前に有権者rollを凍結する。完全な氏名公開がprivacy上適切でないなら、privacy-preserving commitmentを公開し、少なくともeligible count、資格根拠、訂正期間、確定時刻を示す。有権者本人には、自分がrollに入っているか、どの資格で入ったかを確認する経路を与える。rollを作る者、訂正を判断する者、最終版を署名する者も分ける。

第二に、一人のverified natural personを一つのballot credentialへ結び付ける。個人として投票するのか、AFRINIC memberを代表して投票するのかを混ぜない。組織権限を要求するなら、memberが指定したauthorised personの記録をidentity recordとは別に保持する。個人投票なら、組織代表ではないことを明示し、票を会員総会の意思へ読み替えない。

第三に、list tenure、activity、candidate eligibilityを別々に定義する。6か月の登録は、直前の大量登録を防ぐ一条件として残せる。ただし、それが活動や専門性を証明すると主張しない。active participationを要件にするなら、発言回数だけでなく、議論の閲覧、meeting participation、proposal workなどの扱いを予め定め、言語や資源の差を不当に罰しない設計にする。候補者については、経験、conflict、member-contact connectionを項目別に審査する。

第四に、候補者screening、election administration、Board ratification、appealを機能的に分離する。各担当者の任命方法、任期、禁止される利害関係、recusal、replacementを公開する。Boardが最終的な組織責任を持つとしても、票の発行・集計をBoardの候補判断から離し、候補審査への異議を別のreview panelが扱うことはできる。

第五に、候補者の受理または失格についてobjective reason codeを公表する。たとえば、list tenure不足、必要なnomination不足、提出情報の欠落、解消されないrole conflictというように、適用した条項を示す。fraudやcollusionの疑いを扱う場合は、断定前の手続、証拠threshold、反論機会、privacy保護、判断後の公開範囲を別に定める。

第六に、tieの数学を固定する。10%を使うなら、その分母、端数処理、同数票との関係、無効票の扱いを規則に書く。結果発表では、roll上のeligible voters、issued credentials、returned ballots、valid ballots、invalid ballots、duplicates、corrections、各候補の票、runoffの発動理由を、投票秘密を害さない形で示す。速さより前に、同じ数字から同じ結論へ到達できることを優先する。

第七に、各投票者へ、選択内容を明かさず「自分の票が自分の名でrecordedされたか」を確認できるreceiptを与える。誤りがあれば、短いcorrection windowの中で申告し、受付番号を受け取り、処理結果を確認できるようにする。異常を報告することと、選挙全体を無期限に止めることを分けるため、申立ての種類ごとにremedy clockを置く。

第八に、独立reviewを用意する。審査対象は、資格、credential、集計、候補者失格、異議処分、批准拒否など、選挙結果に影響する手続判断に限定できる。reviewerは選挙をやり直す権限だけでなく、roll訂正、票の再集計、理由の補充、特定判断の差戻しといった比例的なremedyを持つべきである。全判断に短い理由を付し、個人情報を除いた決定要旨を公開する。

第九に、chair powersとnon-powersを明記する。議長は議題を整え、異議の記録を保ち、rough consensusを理由とともに評価する。議長はlegislator、regulator、police、prosecutor、punisher、confiscator、sovereign、public-law judgeではない。選挙で選ばれたという事実は、その境界を変えない。この非権限条項は飾りではなく、選挙で得られるlegitimacyをどこまで用いてよいかを決める。