要約

  • 2026年5月14日の命令は、Cloud Innovationへの送達前に、AFRINICの申立書、宣誓供述書、添付資料に基づいて出されたex parteの仮命令だった。
  • 禁止対象は、AFRINIC割当IP資源のリースまたは商業化に最高裁の承認があると虚偽に帰属させる表現であり、司法承認を示唆する資料の撤去も命じた。
  • 命令は5月28日に相手方の立場を確認する手続きを設け、AFRINIC自身の危険負担と、後日の損害命令に従う約束を条件とした。リースの適法性に関する終局判決ではない。
  • AFRINICの公報が加えた登録方針、契約、RIR原則に関する主張は、公開された命令の判断理由には含まれない。

先に読むべきは公報ではなく命令の動詞だ

この事件では、制度の説明より先に、裁判所が使った動詞を読む必要がある。

裁判所はCloud Innovation、その関連会社や子会社、役員、代理人らに対し、モーリシャス最高裁がAFRINIC割当IP資源のリースまたは商業化を司法的に承認、支持、検証したと「虚偽に帰属させる」出版や声明を禁じた。

さらに、裁判所がリース、収益化、移転、商業利用を承認したと述べ、示唆し、または含意する資料を、管理下のウェブサイト、オンラインプラットフォーム、プレスリリース、ソーシャルメディアから直ちに削除、無効化、撤回するよう命じた。

後段は表現の含意も対象にしている。したがって、LARUSが「裁判所はリースを承認した」という一文を書いていなければ自動的に命令の外になる、とはいえない。見出し、説明、証拠リンクの配置全体が司法承認を示唆したかどうかが争点になり得る。

ただし、その具体的判断に必要な資料は公開命令にない。2ページの文書は問題となったURLも文章も引用せず、AFRINICの宣誓供述書と添付資料も収録していない。命令の範囲は確認できるが、どの表現がその範囲に入ったのかを第三者が再現できる記録ではない。

緊急救済には責任の配分が付いていた

裁判官は、Cloud Innovationに申立てを送達する前に介入する必要があると認めた。これはAFRINICの資料のみを先に読んだ段階の判断である。

そのため命令は次の手続きも明記した。Cloud Innovationに送達し、この仮命令をinterlocutory orderにすべきでない理由があれば示させる。e-filingで立場を提出する返戻日は5月28日とされた。

もう一つ重要なのは、命令がAFRINICの「own risks and perils」で出されたことだ。AFRINICは、この暫定救済によってCloud Innovationに生じた損害について、裁判所が後に出す命令に従うと約束した。

緊急時には、相手を聴く前に被害拡大を止める必要があることがある。しかし先に強制力を得た申立人は、判断が維持されなかった場合の責任まで消せるわけではない。返戻日、反論機会、損害の可能性は、仮命令を終局勝訴と区別する装置である。

実際、文書はIPv4リースを違法と宣言していない。IPアドレスの所有権を判断せず、Cloud Innovationのメンバー登録を取り消さず、LARUSの顧客契約や事業モデルを審査していない。

2025年の登録命令は何を支えたのか

LARUSの商業説明には、裁判所文書に裏付けられた部分がある。同社はCloud Innovationを登録側のメンバー地位を支える構造、LARUSを顧客向けリースと運用のレイヤーとして説明した。

2025年6月11日の最高裁命令は、AFRINICの「register of members」を修正し、モーリシャス会社法91条の基準に従ってCloud Innovationをメンバーとして追加するよう明記した。Registrar of Companiesにも会社記録とメンバー名簿への記載を命じた。receiverのGowtamsingh Dabeeは、命令から15日以内にAFRINICの記録を修正するとの書面約束を提出していた。

この原文は、AFRINICが2026年5月9日に示した説明と衝突する。AFRINICは、当時の約束は法定メンバー名簿ではなく資源に関する記録を想定していたとの助言を受けたと述べた。だが裁判所文書はメンバー名簿と91条を明示し、会社登記当局にまで訂正を命じている。

だからといって、2025年命令がIPv4リース商品を承認したことにはならない。法人上のメンバー地位を登録する命令と、顧客向け商取引を承認する判決は別物である。

ここでは両者に同じ精度が求められる。AFRINICはメンバー名簿命令を資源データベース上の誤解に縮小してはならない。LARUSは裁判所が認めたメンバー地位とリース事業を近接表示し、司法承認が事業全体に及ぶとの誤解を招いてはならない。

AFRINICは命令の外側に制度論を付け加えた

5月15日の公報は、仮命令の存在と、司法承認を誤って表現したとのAFRINICの主張を伝えた。そこまでは命令と争いの所在を説明している。

ところが、公報は仮命令が「関連する法的立場を確認する」と述べ、続けてAFRINIC割当資源は登録方針、契約枠組み、RIR制度の確立された原則に従うと宣言した。

公開命令にはその制度論がない。AFRINICの方針を引用せず、Registration Service Agreementを解釈せず、RIR原則を法的根拠として採用していない。司法が命じたのは、裁判所に存在しない承認を帰属させないことだった。AFRINICはそこに、自らの市場統治論を接続した。

この接続は単なる広報上の誇張ではない。AFRINICは資源記録、移転、サービス継続に実務的影響を持つ。銀行、顧客、取引相手、コンプライアンス部門が「裁判所が確認した」という表現を見れば、リースの実体が裁かれる前に取引を止める可能性がある。

Heng LuのNote 20は、執行可能な現実の層と、正当性や物語に依存する象徴の層を分ける。裁判所命令は前者である。AFRINICの制度的解釈は、裁判所がその理由を採用しない限り後者にとどまる。

Note 28の原則も明快だ。レジストリは記録を管理し、法執行は主権機関が担う。本件で最高裁の命令を尊重することと、AFRINICが命令を拡張することを拒むことは矛盾しない。むしろ裁判所の権威を尊重するからこそ、その境界を守る必要がある。

AFRINICの訴訟データは結末を開いたままにした

AFRINIC自身が後に公開したデータは、公報の勝利宣言を制限する。6月25日時点でSC/COM/WRT/000338/2026は「resisted and ongoing」とされ、命令が出たことだけが備考に記録されていた。

同じデータには、Cloud Innovationが6月11日に仮命令の停止、その条項の見直し、または命令の解除を求めた別の申立てもある。これも係争中だった。

凍結した事実パックは、命令が解除されたとは示さない。反対に、当事者双方を聴いた後に維持された、interlocutory orderになった、終局化したとも示さない。確認できるのは、争いが閉じていなかったことだ。

NRSは、LARUSがしていない主張を対象にAFRINICが命令を取ったと批判する。LARUSとCloud InnovationもThe Registerに同様の反論を寄せた。だが最終判断に必要なのは、当事者の声明の数ではなく、AFRINICが裁判所に示した具体的資料、送達記録、5月28日の応答、6月の見直し手続きである。

現在の権限構造が負う公開責任

Heng LuのNote 52は、大きな結果を生む権力には理由、審査、救済、責任が必要だと問う。裁判所は仮命令の中にその仕組みを組み込んだ。AFRINICの自己リスク、損害への約束、返戻日、相手方の異議、後続の審査がそれに当たる。

Note 34が警告するenforcement creepは、レジストリがリースや移転を技術的無効性の問題へ変え、市場参加者に価格化できない制度リスクを負わせることだ。本件では、裁判所への虚偽帰属を止める狭い命令が、リース一般に対するレジストリ権限の裏付けとして語られた点にその危険が現れた。

現在AFRINICを代表するpurported Board、receiverと支持者は、完全な記録を出すべきだ。申立書、宣誓供述書、添付資料、問題となった表現、送達日、Cloud Innovationの5月28日提出、命令の延長や変更、6月11日の停止・見直し・解除申立ての結果が必要である。

そして「裁判所の命令」「AFRINICの主張」「Cloud Innovationの反論」「未判断事項」を分けて公表すべきだ。記録の正確性を使命とする組織が、自らの訴訟記録だけを曖昧にしてよい理由はない。

結論は限定的だが明確である。AFRINICは、IPv4リースへの司法承認を虚偽に帰属させる表現を止める実在の仮救済を得た。IPv4リースを違法とする終局判決は公開していない。前者を後者として流通させることは法的明確化ではなく、裁判所の声を使ったレジストリ権力の増幅である。

情報源