要約

  • AFRINICは2025年11月19日、Receiverの同意を得て、日常業務を担う3人の暫定経営委員会を設置したと発表した。
  • 発表された任期は6か月、または新CEOが任命されるまでだったが、別の発効日、取締役会決議の全文、Receiverの書面同意は公表されなかった。
  • 発表日を計算上の仮定としてのみ用いると、6暦月後は2026年5月19日となる。これは公開記録を点検する基準日であり、法的な失効日の認定ではない。
  • AFRINICの連結年次報告書には6月2日付で暫定経営委員会の署名欄があり、6月25日の年次会員総会では同委員会が業務報告を担当する予定だった。
  • 8月17日時点で、公式チームページのCEO欄は氏名が空白のままで、委員3人は本来の部門責任者として掲載されていた。
  • 調査した公開資料からは、延長・更新決議、付託事項、採決と膠着時の規則、署名・支出限度、監督報告、CEO選考の進捗報告を確認できなかった。
  • 公開資料で確認できないことは、内部文書が存在しないことや、個別行為が違法であることを意味しない。確認できるのは、暫定的な執行権限を外部から検証できないという事実である。
  • AFRINICは設置決議、Receiverの同意、正確な発効日、すべての延長、権限表、監督記録、新CEOへの引継ぎ条件を公表すべきである。

6か月という期限の出発点

AFRINICの2025年11月19日付発表によれば、CEO職は2022年11月から空席だった。正式な採用には時間がかかるため、取締役会は1人の暫定CEOを置かず、集団指導方式を採用したという。

構成員と担当分野は明示された。Nirmal Manicが財務・管理、Mukom Tamonが技術・インフラ・戦略、Arthur Carinda N’Guessanがステークホルダー開発・広報を統括する。3人は共同で日常業務を監督し、ガバナンス、財務安定性、運用の回復力、会員対応、能力開発などの優先課題を進め、取締役会とReceiverの双方に報告するとされた。

一方、期間の記述には空白がある。「6か月、または新CEOの任命まで」とあるだけで、6か月の起算日が告知日なのか、決議日なのか、Receiverの同意日なのか、実際の引継ぎ日なのかは書かれていない。満了時に自動終了するのか、引継ぎ中は存続するのか、更新できるのかも示されなかった。

したがって、2026年5月19日は法的判断ではない。11月19日から6暦月を数えた場合の検証用の日付にすぎない。非公開の決議が別の発効日を定めていた可能性も、更新文書や裁判所の命令が存在する可能性も残る。

この留保は、追及を弱めるものではない。むしろ問いを正確にする。AFRINICが期限を公表した以上、その期限と後の行為をつなぐ文書を示す責任がある。

計算上の基準日を越えた二つの記録

まず、AFRINICの2022~2024年連結年次報告書を見る。コーポレート・ガバナンス報告の宣言欄には、報告書が取締役会で承認され、組織のガバナンス実務を適正に反映していると記されている。署名欄は議長と暫定経営委員会の双方について2026年6月2日付である。

6月2日は、告知日起算の5月19日から14日後に当たる。ここから分かるのは、AFRINICがその時点でも委員会を組織上の署名主体として扱っていたことだ。更新の根拠までは分からない。

次に、2026年年次会員総会の通知がある。6月25日の議題5「AFRINIC活動(業務報告)」の説明者は暫定経営委員会とされていた。5月19日から37日後である。

署名と総会日程は、権限が行使された外形を示す。しかし、更新決議そのものではない。起算日が別なら、その日付を示せばよい。正式に延長したのなら、その決議を公表すればよい。引継ぎ期間だけ残ったのなら、終了条件を説明すればよい。

Heng Luの「帳簿係がオリンポスの神々を演じ始めるとき」という議論は、こうした区別を重視する。重要な登録機能を担うことは、権限の根拠を免除しない。肩書が繰り返し使われた事実と、その肩書に法的・組織的な力を与えた行為は別である。

委員会の設置と権限委譲を分けて考える

AFRINIC定款の第15.1条と15.2条は、会社の事業を取締役会の指揮・監督下に置く。第15.3条10号は、必要または望ましい理由と付託事項に基づく委員会の設置を認める。第15.4条はさらに、一定期間、必要または望ましい者に取締役会の権限を委譲できると定める。

11月の発表が引用したのは15.1、15.2、15.3条10号で、一定期間の委譲を明記する15.4条ではなかった。この引用の違いだけで設置を無効とはいえない。だが、委員会を作ったことと、CEO級の日常執行権限を委ねたことを分けて確認する必要がある。

第17条によれば、CEOは取締役会の多数決で任命され、会社の日常業務を管理し、非執行幹部以外の従業員の報酬・雇用条件を決め、追加の委譲権限を行使し、取締役会へ直接報告する。暫定経営委員会の任務は、この日常執行の領域に深く入っている。

そこで必要なのが権限表である。財務担当は単独で支払いを承認できたのか。技術担当はシステム調達や緊急変更をどこまで決められたのか。人事、契約、銀行署名、法律家への指示、公式声明にはどの金額・重要度の上限があったのか。取締役会の専決事項は何か。Receiverの同意は設置時だけか、重要行為にも必要だったのか。

本稿は、これらの分野で不正な行為があったとは認定していない。認定しているのは、外部の会員が権限の境界を読めないことである。

「共同で管理する」だけでは決定は成立しない

発表は3人に協調的・集団的な運営を求めた。だが、全員一致なのか多数決なのか、各担当者が自己の分野で単独決裁できるのか、1人が欠席・利害関係を持つ場合にどうするのかは書かれていない。意見が二対一に分かれたとき、少数意見は記録されるのか。膠着したとき、議長、取締役会、Receiverの誰に上げるのか。

こうした規則は、形式論ではない。財務と技術の両方に関わる契約では、納品確認と支出承認を誰が分担するかが内部統制になる。セキュリティ上の緊急時には、即時対応権と事後審査を組み合わせる必要がある。法律上の指示や重要な人事は、通常業務なのか留保事項なのかを先に決めなければならない。

AFRINICの取締役会委員会ページは、監査、財務、報酬、法務、CEO選考の各委員会を掲載するが、暫定経営委員会は掲載していない。CEO選考委員会と法務委員会の付託事項は未掲載と表示される。調査時点の取締役会文書ページからも、暫定経営委員会の現行決議、規程、更新文書は確認できなかった。

ウェブページが社内記録の全てとは限らない。だから「文書は存在しない」とは書けない。しかし、透明性と共同責任を設置理由に掲げた組織が、共同意思決定の仕組みを公表しないのは明らかな説明不足である。

委譲しても取締役会の責任は消えない

モーリシャス政府が公表する会社法第131条は、定款と委譲禁止事項に従う限り、取締役会が委員会、取締役、従業員その他の者に権限を委譲できるとする。同時に、原則として委譲先の権限行使について取締役会が自ら行使したのと同様に責任を負う。例外には、委譲先が取締役の義務と定款に従うとの合理的な信頼、そして合理的な方法による実際の監視が必要とされる。

公開報告が見つからないからといって、監視がなかったとはいえない。逆に、「委譲した」という一言だけで責任の検討を終えることもできない。

AFRINICの発表は、委員会が取締役会とReceiverに共同で報告すると約束した。ならば報告周期、例外事項、予算差異、重大事故、契約、人事、訴訟、技術リスク、是正指示といった監視の痕跡があるはずだ。個人情報やセキュリティ事項を伏せた要約でも、監視の仕組みと利用実績は示せる。

モーリシャスのコーポレート・ガバナンス国家規範は、上級経営陣の秩序ある承継計画を取締役会の責務とし、取締役会の統治と常勤経営陣の日常運営を区別する。長期のCEO空席と暫定体制について説明するのは、その区別に照らしても必要である。

CEO選考は暫定体制の出口だった

11月の発表は、暫定経営委員会と同時にCEO選考委員会を設置した。任命まで取締役会に定期的に進捗を報告するとしていた。

ところが、AFRINICは2026年3月12日の会員向け更新でも、正式CEOの採用を当面の優先事項に挙げた。8月17日に確認したチームページではCEOの氏名欄が空白で、3人は通常の部門責任者の役職で掲載されていた。

ウェブ更新の遅れはあり得るため、未任命と断定はできない。それでも、調査した公開記録には、約束された進捗報告、選考段階、修正日程、遅延理由、引継ぎ計画が見当たらなかった。

候補者の秘密を守りながらでも、工程は公表できる。募集開始、選考会社の利用、面接段階、遅延理由、次の決定日を示せばよい。「新CEOの任命まで」という終了条件は、選考過程に検証可能な節目があって初めて期限として機能する。

取締役会の正統性を本稿だけで決めない

AFRINICは3月の更新で、取締役会がモーリシャス法に従って職務を再開し、Receiverの正式な解任まで協力していると説明した。一方NRSは、2026年AGMMに関する会員行動文書で現取締役会を「purported Board」と呼び、裁判所による有効化、ガバナンス紛争の解決、Receiverの解任までは権限が確立していないと主張する。

本稿は両者の主張を帰属付きで紹介する。どちらかを確定する判決を得ておらず、NRSの用語を司法上確定した事実としては扱わない。

ただし、背景に争いがあるほど、権限の来歴は具体的でなければならない。取締役会の決定なら、定足数、決議、投票を示す。Receiverの同意なら、形式、範囲、条件を示す。裁判所命令が体制を変えたなら、その命令を特定する。「安定」「復興」「コミュニティ」という自己説明は、署名権や支出権の根拠にならない。

Heng Luの登録機関の権力と責任の乖離は、影響の大きな権限ほど、その根拠、監督、責任、救済を明確にすべきだと論じる。ここでの含意は、委員会を先に有罪とすることではない。私企業の暫定権限を狭く、期限付きで、再検討可能にすることである。

ネットワーク運用への意味

本調査は、サービス停止、不当なアドレス配分、無効な移転、RPKI事故、不正な支出を立証していない。ガバナンス文書の不足を技術障害に言い換えるべきではない。

リスクは、争いが後から表面化する点にある。会員サービス、資源記録、契約、支払い、雇用、ベンダー、インフラ、法務指示は、経営上の署名に依存する。通常は処理されていても、銀行、契約相手、従業員、会員、裁判所が権限を問い始めた時、文書の欠落が遅延や訴訟、継続性コストに変わる。

LARUSのRIRガバナンス判断がインフラに及ぼす影響は、利害関係を持つ運用上の視点として参照できるが、AFRINICで事故が起きた証拠ではない。登録機関の記録と承認に依存するネットワークを守るには、曖昧な裁量を厚くするのではなく、決定権を薄く明瞭にする必要がある。

公表すべき八つの記録

法律相談、個人情報、機密性の高い技術情報を明かさなくても、AFRINICは主要な疑問に答えられる。

  1. 委員会を設置した番号・日付付き決議と、定足数、出席、投票、忌避の記録
  2. Receiverの書面同意と条件
  3. 正確な発効日、当初満了日、すべての更新・延長文書
  4. 付託事項と役割別の権限表
  5. 定足数、採決、異議、膠着、利益相反、緊急時の規則
  6. 契約、銀行、支出、採用、法務指示の限度と署名統制
  7. 取締役会とReceiverによる監督の頻度、要約、例外、是正記録
  8. CEO選考の節目と権限引継ぎの発動条件

これらが有効な延長と実際の監視を示すなら、最大の証拠上の空白は縮まる。更新がないなら、5月以降の重要行為を個別の権限根拠に照らして検討する必要がある。「継続性」という一語で一括処理することはできない。

結論は限定されている。現段階で暫定経営委員会の違法性は立証されていない。しかし、AFRINICが自ら6か月とした暫定権限について、その後の公的行為をつなぐ記録も公開されていない。会員に正確な登録を求める組織は、自らの経営権限の登録も正確に示すべきだ。

不明点を認定事実に変えない

元の決議が法的に発効した日、Receiverの同意全文、更新の有無、各委員の単独権限、採決方式、監督報告、CEO選考の段階、関係する裁判所命令の効果は、調査した資料から確定できない。これらを「存在しない」と断定するのは誤りである。不明点を列挙するのは、結論を変え得る資料を特定するためだ。

また、公開不足を3人の委員個人への非難に置き換えるべきではない。設置、期間設定、監督、更新、公表を決めるのは取締役会とReceiver側の制度的責任である。委譲を受けた人の行為と、委譲制度の質を分ける必要がある。

中心的な懸念を反証できる資料

実際の発効日が告知日より遅いことを示す決議があれば、5月19日という計算基準は修正される。有効な更新が期限前に採択されていれば、6月の行為は説明できる。採決、限度額、署名、監視を定めた規程があれば、集団運営の統制上の疑問は小さくなる。CEOの任命と引継ぎ記録があれば、承継問題は終わる。

本稿の目的は、資料が出ても疑い続けることではない。資料によってより正確な結論へ進むことである。完全な記録が公表されれば、その新しい証拠と併せて評価されなければならない。

業務継続と機関の恒久化は別である

当時、3人の委員会が最も混乱の少ない選択だった可能性はある。登録業務を止めないという目的は正当である。しかし、必要性は設置理由にはなっても、更新決議にはならない。

継続性が守るのは登録簿、会員、ネットワークであり、恒久性が守るのは役職である。役職が期限付きで、監督され、交代可能である間だけ両者は一致する。記録の公開は、AFRINICが役職ではなく機能を守ったことを示す最も直接的な方法になる。

Sources