要約

  • 2020年9月に確認できる制度上の出来事は、AFPUB-2020-GEN-004-DRAFT02の公表と、その版に対するコンセンサス判断である。Draft 1からDraft 2への版移行は確認できるが、認証済みの条項別差分は示されていない。
  • コンセンサス判断を再構成するには、正確な版、異議、証拠、提案者の応答、共同議長の理由、結果となる文言、未解決点を結び付ける異議台帳が要る。公開記録だけでは、その完全な台帳も、影響を受ける者の検討母数も確定できない。
  • Policy Development Process、コンセンサス、Boardの会社法上の地位、RSAの契約効果は、それぞれ別の根拠と適用範囲を必要とする。相互参照によって、どこにも存在しなかった無限定の権限を生み出すことはできない。
  • Boardが法務、財務、セキュリティ、実装可能性、継続性の具体的な危険を指摘する狭い接点には合理性がある。ただし、理由と証拠、期限、再検討、可逆性、責任主体を備えなければ、危険審査は文案支配へ変質する。
  • NRS、Lu Heng、LARUS、BTWは、会員保護、記録係の限界、運用継続性、事実検証という別々の役割からこの境界を明らかにする。いずれも、AFRINICに公権力があることや、Draft 2が具体的損害を生んだことの証明ではない。

L3 — 9月の判断が実際に前へ進めた版

一語が動かしたもの

出発点は2020年9月の手続上の瞬間である。AFRINIC 32のpublic-policy meetingは9月16日に開かれ、公開記録はAFPUB-2020-GEN-004-DRAFT02についてコンセンサスが宣言されたことを示す。ここで「コンセンサス」は、特定された文案について共同議長が行った手続上の評価を表す。その評価が正しく理由付けられていたなら、Draft 2を次の手続段階へ送る働きを持ち得る。しかし、前へ動いた対象は文案であって、制度そのものの法的性質ではない。手続上の動詞を権限創設の動詞へ読み替えると、最初の一歩で分析を誤る。

この区別は形式論ではない。「コンセンサスがある」という文は、少なくとも、対象となったテキスト、検討された異議、判断者、判断時点を特定して初めて検証可能になる。それでも示せるのは、定められた手続内で一つの評価がなされたということまでである。地域の全事業者が同意したこと、影響を受ける全てのresource holderが委任したこと、あるいは国家が管轄権を譲ったことまでは含まれない。言葉の制度的な射程をそのまま保つことが、9月の出来事を過小評価せず、同時に過大評価もしない唯一の読み方である。

D1は起点であって差分表ではない

AFPUB-2020-GEN-004-DRAFT01、すなわちBoard Prerogatives on the PDPのDraft 1は、2020年8月13日に公表された。記録上、その基線には、Boardがpolicy proposalを開始または変更すること、policyを停止すること、ratificationを拒むこと、policy actionを求めることといった介入類型が明示されていた。この列挙は、提案群がどの種類の制度問題を扱っていたかを知るために必要である。他方で、本稿の中心はDraft 1の各条項の是非ではなく、その次の版であるDraft 2と9月の判断である。

確認できる変更は二つの状態変化に限られる。第一に、Draft 1に続いてAFPUB-2020-GEN-004-DRAFT02という新しい版が存在した。第二に、そのDraft 2が9月のコンセンサス判断の対象になった。これ以上に、「この条項が追加された」「この権限が削られた」「文言が狭められた」「範囲が広げられた」と述べるには、真正性を確認できる完全なredlineが要る。現在の公開記録からは、その条項別対応関係を最後まで再現できない。したがって、版番号が変わった事実を、特定の実質修正があったという推測で埋めてはならない。

Draft 1を基線として使うとは、過去の文案をDraft 2へ上書きすることでも、両者を同一視することでもない。基線は問いを作るために使う。すなわち、Draft 1で明示された介入類型のうち何がDraft 2の正確な文面に残り、どの表現が議論対象となり、異議への応答後に何が最終判断の対象になったのか、と問うためである。答えが記録から得られない部分は、空欄のまま示すべきである。空欄は調査の失敗ではなく、証拠の限界を正確に表示する欄である。

日付の精度も証拠の一部である

Draft 2の公表時期について、この記録が支える精度は2020年9月までである。AFRINIC 32の会議日が9月16日だったからといって、それをDraft 2の公表日へ流用することはできない。会議日と文案公表日は別の事実であり、前者の正確さは後者の不足を補わない。この小さく見える区別は、実際にはreview intervalを評価する土台になる。いつ正確な文面が読める状態になり、参加者にどれだけの検討時間が与えられたのかが分からなければ、検討機会の十分性も断定できないからである。

版の識別には、題名や略称だけでなく、公開時刻、固定された本文、可能ならversion hash、訂正履歴を結び付ける必要がある。同じDraft 2という名称の下で閲覧時点によって本文が違えば、ある異議がどの文言に向けられたのか分からなくなる。逆に、固定版が保存されていれば、後から参加した読者も、共同議長が見た対象を自分で照合できる。版管理は編集上の裏方仕事ではない。コンセンサスという判断を、検証可能な制度記録へ変える第一条件である。

宣言が証明したこと、しなかったこと

9月の宣言が証明するのは、Draft 2に関する手続評価が存在したということである。その判断は、記録上、介入条項の最終的な姿と、異議が解消されたと扱われた状態を対象にしていた。だからこそ、検証の焦点は「コンセンサスという語が書かれているか」だけでなく、「解消されたとされた異議と最終文面が対応しているか」に置かれるべきである。

しかし、この宣言だけから、全員の実質的同意、影響当事者の包括的な承認、会社法上の権能、RSAへの組込み、個別partyへの契約効果を導くことはできない。さらに、この時点より後のlast callの完了、Boardの行為、ratificationまたはrefusal、実装、enforcement、litigation、制度的lock-inについても、9月の記録へさかのぼって意味を付け加えることはできない。それらはそれぞれ独立に証明されるべき別の行為である。本稿がそこで立ち止まるのは結論を弱めるためではない。出来事の境界を守るためである。

母数のない賛同像を作らない

会議参加者の人数、mailing listの投稿量、発言の多さは、検討過程を説明する参考にはなり得る。だが、それらは影響を受けるmember、operator、resource holderのうち、正確なDraft 2を実際に読み、評価し、異議を述べる現実的な機会を得た者がどれだけいたかを示す母数ではない。今回の記録は、その分母を開示していない。したがって、沈黙を同意と数えることも、出席者を地域全体の代理人とみなすこともできない。

母数の欠如は、逆方向の断定にも使えない。完全な一覧がないからといって、誰も検討しなかった、異議が全く無視された、判断者が悪意を持っていたと結論する証拠にはならない。分かるのは、公開記録だけでは代表性や到達範囲を数量的に再構成できないということだ。この中立的な不明点を守ることで、コンセンサスの批判は動機の推測ではなく、記録設計の改善へ向かう。

9月時点で残る正確な像

以上をまとめると、9月の像は簡潔である。Draft 1という日付の確かな基線があり、次にDraft 2という識別された版が9月に現れ、AFRINIC 32の文脈でその版にコンセンサスがあるとの判断が示された。完全な条項別redline、全異議を結ぶ台帳、検討者の母数、判断理由の連鎖は、提供された公開記録からは完結しない。この四つの欠落は、宣言が存在しなかったことを意味しないが、宣言がどのように導かれたかを第三者が全面的に追試することを難しくする。

したがって、最も堅実な評価は二層になる。手続上は、識別されたDraft 2を前へ送る判断があった。実体上は、その判断の再構成可能性と、文案が前提とする権限の根拠は別途検査しなければならない。前者を認めることと後者を問うことは矛盾しない。むしろ、手続を尊重するからこそ、手続が実際に決めた範囲だけを正確に承認するのである。